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カーボンフットプリントは曲がり角Ⅲ(CFP宣言認定製品、LCA、パレート図、CO2見える化、低炭素化社会)

前回、「CFP(カーボンフットプリント)宣言認定製品」の品目数増加の推移を示した。次に、このCFP認定製品を有する全121社の事業者別CFP認定品目数のパレート図を示す。
事業者の中には60を超える品目を有する事業者(企業)もあるが、その多くが1、2品目に留まっており、上位10社だけでCFP認定製品の全572品目の50%を占め、上位37社で80%を占めていることが分かる。
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CFP認定製品の68%を占める上位20社とその認定製品数を列挙する。これに加えて、2008年度に経済産業省が大々的に取り組みを開始した「CFP制度の実用化・普及推進研究会」の参加企業31社を右欄に示す。
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これによって、2008年に組み込まれた参加企業の大半が脱落していることが明確である。
特に、イオン、日本生活協同組合を除いた多くの小売り業が脱落したことによって、小売り業の力を借りて消費財メーカーに協力させるという、経済産業省の構想は崩れたのである。


また、上位10社の5社が2012年1月に開始された「システム認証方式」の登録者であるが、登録後に、この方式を活用したのは2社のみに限定されている。
ちなみに、「個品別検証方式」が製品ごとに第三者検証を行なう方式に対し、「システム認証方式」とは事業者がCFPの算定と検証し、登録と公開申請を行うシステムを構築し、それを第三者が認証することで、個別のCFP検証の手続きを経ることなく、認証を受けた種類の製品について、簡便にCFP登録することができる方式であり、現在6社が登録されている。

2009年9月に、日本LCA(ライフサイクルアセスメント)学会が核となって「カーボンフットプリント日本フォーラム(CFP-Japanフォーラム)」という任意団体が創設された。『低炭素社会実現のため、民間主導での産学官民プラットフォームとして・・・』というCPFに関する情報交換の場である。その事務局は「CFP制度試行事業」の事務局と同じ産業環境管理協会であることから、民間主導で発足されたのではなく、経済産業省の指導によって発足されたと言って良い。
そこには61の企業、10の民間団体などの参加が公表されている。しかしながら、参加企業61社のうちCFP認定製品を有するのは15社のみであり、その割合は約25%である。事業者はさまざまな思惑からこのフォーラムに参加しているのだろうが、様子見の状態となっている。
この実態から、産学官の内「学官」はやる気十分であっても、「産」は遠巻きにしている姿が透けて見える。

これらを総括すると、一部の事業者はCFP制度に積極的に取り組んでいるが、多くの事業者は消極的であり、CFP制度の理解が浸透していないことが明白となった。
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2012年度行政事業レビューによれば、2009年から2011年までの3年間の「CFP制度試行事業(CFP制度構築等事業)」に支出した国税は約15億円であった。この費用対効果については様々な見方が出来るが、2013年度からは事業者がCFPに関わる検証と認証、研修等および登録と公開の費用などを負担しなくてはならない。
「金の切れ目が縁の切れ目」となって、遠巻きにしていた事業者は遠ざかる。
CFP制度はCO2を直接的に低減する管理手法ではなく、消費者の購買行動などが事業者のCO2低減行動を促す可能性がある(かも知れないという)管理手法である。このような手法では事業者が納得するようなインセンティブがなく、ましてやCFP制度に法的根拠がないのであるから、事業者はさらに遠ざかるに違いない。

この4年半のCFP制度構築には日本LCA学会の関係者の活躍を見過ごすことが出来ない。
低炭素社会構築という高邁な精神を持っているかは知る由もないが、彼らは国家の先兵となって行動しているという誇りと、国家の威光を借りて若干の優越感を持って、消極的な企業内と統制が取りにくい業界内で多大の努力をされた方もいるだろう。
しかしながら、CFP 制度におけるLCAは実態の分析と把握であり、その後のCO2低減の改善を担保しているものではありず、またCFPマーク(ラベル)は製品の一部の側面を表しているに過ぎないことを、冷静に判断してもらいたいものである。
多分に個人の資質によるのだろうが、時流に担ぎ出される一部の過激な有識者に縛られては社会が混乱するだけである。

# by ecospec33 | 2012-11-21 09:32 | 〇カーボン・フットプリント  

カーボンフットプリントは曲がり角Ⅱ(CFP、PCR 、増加の推移、CO2の見える化、産業環境管理協会)

2008年6月から経済産業省が主導して進めた「CFP(カーボンフットプリント)制度の実用化・普及推進研究会」と2009年度から2011年度の3年間の「CFP(カーボンフットプリント)制度試行事業」、2012年度から本事業が民間に移行され、社団法人産業環境管理協会(JEMAI)が継承して進めている「CFPプログラム(カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム)」、この約4年半の成果(評価)は、消費者のCFTの認知度(知名度)向上および事業者による「CFP(カーボンフットプリント)宣言認定製品」の品目数増加と業界団体による「認定CFP-PCR(PCR:Product Category Rule、商品(製品)種別基準)」の件数増加で示すことが出来るだろう。
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消費者のCFTの認知度については、環境省の「消費者のアンケート調査結果」(2012年1月)によって知ることが出来る。他の環境に関わるマークに比べて、カーボンフットプリントは非常に低調な結果であった。
事業者による「CFP宣言認定製品」の品目数増加と業界団体による「認定CFP-PCR」の件数増加については、その推移を「見える化」する。
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両者とも着実に増加し、11月15日現在、CFP宣言認定製品の品目数は572件、認定CFP-PCR は80件に達している。しかしながら、CFT認定製品の品目数は認定PCRの件数の約7倍に留まっており、CFP認定製品の品目数は極めて少ないと言ってよいだろう。
CFP認定製品の製品群別割合は次のとおりである。
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これについて経済産業省は「食品、生活用品、衣料品、印刷、オフィス関連の認証商品が多い。 複雑なサプライチェーン構造を有するエネルギー使用製品の参加が少ない。」と表現する。ここで、『複雑なサプライチェーン構造を有するエネルギー使用製品』とは、『グローバル・サプライチェーンの中で“ものづくり”を進める、海外を含む複雑で長いサプライチェーンを有する電機・電子製品など』を示す。
このことから、経済産業省の狙いを知ることができるだろう。経済産業省は国内で消費される食品などの最終消費財に重点を置いているのでなく、国際競争力を有する製品に重点を置いているということである。
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2012年2月に産業環境管理協会はCFP制度の事業運営を民間移行するに際し「当面の目標」として、数値を掲げている。
認知度、CFPマーク使用商品の市場流通は何とも推定出来ないが、認証商品は現在の状況のままで増加すれば、2014年末に達成するだろう。
「当面(当座、さしあたり、暫くの間)の目標」は、昨日衆議院を解散させた野田首相の「近いうち」よりも曖昧な表現である。達成の期間さえも決めていない目標、すなわち目標とは言えない「目標」である。
(次回に続く)

# by ecospec33 | 2012-11-17 08:01 | 〇カーボン・フットプリント  

カーボンフットプリントは曲がり角Ⅰ(CFP、CO2、見える化、ISO140067、低炭素化、経済産業省)

2008年6月に経済産業省が「CFP(カーボンフットプリント)制度の実用化・普及推進研究会」を立ち上げ、2009年度から3年間、経済産業省が主導して進めてきた「CFP制度試行事業」が終了し、2012年4月から、この事務局を担っていた経済産業省所管の社団法人産業環境管理協会(JEMAI)が「CFPプログラム(カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム)」の運用を開始した。

このことは、経済産業省と関係する環境省、農林水産省、国土交通省が進めたCFP制度化に向けた事業が終了し、CFP制度の運用が民間に移行させたことを示し、事業者の『製品のCO2の「見える化」』に向けた行動が事業者の主体性に任されたことを意味する。
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一方、このCFPの国際規格であるISO140067(Carbon Footprint of Products Requirements and Guidelines for Quantification and Communication)は、予定より約1年半遅れて、2013年7月に発行される予定である。
2008年にCFPに関する国際規格化への機運が高まり、その年にイギリスが英国規格(BSI)のPAS 2050を発効させている。日本においては経済産業省がこの国際規格の策定に向けて力を発揮するために、日本LCA学会の協力を得て、CFP取り組みを事業者に要請した一面があることを認識しておきたい。
このことは、2008年6月9日に、当時の福田首相が発表した『「低炭素社会・日本」をめざして』の中で知ることが出来る。

「2.国全体を低炭素化へ動かすしくみで」で、排出量取引、税制改革(環境税)、見える化の三つの方策を挙げ、次のように述べている。
『見える化:自分の出す炭素に自ら責任を持つことが求められるのは、産業界だけの話ではありません。国民一人ひとりが、低炭素社会の実現に向けて、賢く、そして責任ある行動をとることが必要となります。  そのためには、CO2排出の見える化によって、消費者が的確な選択を行うための情報を提供すること、これが重要となります。
イギリスなどでは、製品や食品の製造から輸送、廃棄に至る過程で排出されるCO2を測定して商品に表示する、カーボン・フットプリント制度やフードマイレージ制度が試行されております。これを国際的にも広げていこうという動きがございます。
我が国としても、このカーボン・フットプリント制度などの国際的なルールづくりに積極的に関与して、そして、わが国の国内での削減を進めるために、来年度から試行的な導入実験を開始したいと思っております。そのための準備を関係省庁に指示するとともに、産業界にも協力を要請してまいります。これが軌道に乗れば、世界最大級の取組みになると期待されます。』
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日経新聞の2008年6月19日の一面に、この行政の動きに慌てた事業者の記事が掲載された。これは行政におもねる日経新聞の誤報とも言われているが、その後のCFPの取り組みは行政、事業者にとって容易ではなかった。
(次回に続く)

# by ecospec33 | 2012-11-15 08:20 | 〇カーボン・フットプリント  

下水道を考えるⅧ(下水道普及率、水質汚濁防止法、排水処理、特別免除、上水道、業務移管、ごみ処理)

1958年に旧法が廃止され、下水道法が制定されたが、水質汚濁防止法が制定された1970年度の下水道普及率は20%に達していなかった。その1970年代の前半に、水質汚濁防止法に基づいて特定施設を有する工場には排水処理設備が完備され、その排出水は河川などの公共用水域に放流されてきた。

「下水道法」には、工場の付近に下水道管が通ったならば、河川放流していた排出水を下水道に接続しなくてはならないという規定がある。
それには、特別免除措置のただし書き付きの条項があり、また違反した場合の罰則規定は見当たらない。
『第十条(排水設備の設置等) 公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従って、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない。ただし、特別の事情により公共下水道管理者の許可を受けた場合その他政令で定める場合においては、この限りでない。』

既存と新設の工場については、排水処理後の排出水を下水道に接続する問題に直面することがあるだろう。
これまで河川などの公共用水域に排出水をタダで放流していたが、下水道に接続することによって応分の費用負担が発生する。この年間数億円にのぼるであろう出費が、工場の存続にも影響を与える大問題となる。
とかく、企業経営者ばかりでなく工場経営者は排水処理の管理に人手と費用がかかるから、下水道法流の方が安価で心配もいらないと安直に考える。しかしながら、下水放流をするにしても規制値があり、それをクリアするためには排水処理設備が必要となり、その維持管理が必要となる場合が多いことを認識していないのである。

次のような事例があることを認識するが必要である。
●既存の工場:
毎年、下水放流への特別免除の許可を得ている関東地方の工場では、高度(三次)処理の設備を施し、その管理には最善を尽くすよう心掛けていた。ただし、工場事務所の汚水は下水放流である。
中国地方では工場前の道路に下水道本管が新たに敷設されたため、市から河川放流に代えて接続を要請されたが、放流の特別免除をお願いし、認められた。
関西地方では市の下水道事業の赤字に対し、市議会が問題視しているからとの理由で、河川放流に代えて接続を要請されたが、一部の排出水を流すことで納め、出費を抑制することができた。
●新設の工場:
関西地方と東北地方の工場を立地する条件の一つに、排水処理後の排出水の海域へ直接放流を加えることで、下水放流の特別免除措置を得た。
●製造施設の増設:
関東地方の既存工場について、増設される製造施設の排出水を下水に接続するよう市からの要請あり、工場経営者らの「下水道財政が赤字だから協力すべき」と綺麗ごとの主張どおりに要請を受け入れた。
しかしながら、その結果は下水放流のための排水処理施設を建設し、また毎年数億円の費用負担となった。工場経営者らはその後企業経営者と格上げになったが、企業経営者として、また企業経営にとって汚点となる、その場逃れの決断であったとの疑念は残る。

これらの事例から、『下水道法での排水区域に組み入れられていたとしても、工場の排水処理施設は水質汚濁防止法に従って設置されたものであり、排出水は水質汚濁防止法または条例に従って河川などに放流しているのであるから、下水放流の特別免除を申し入れることが出来、免除を取りうる。』という結論が導き出せるだろう。
下水道法と水質汚濁防止法の制定には社会背景と目的の違いがあり、下水道という社会基盤の整備には長い期間が必要であった。これに対し、水質汚濁防止法に基づいて短期間で作られた工場の排水処理設備が、下水道が整備されるまでの繋ぎであったはずはない。
基本的な考え方として、下水道の赤字体質を作り出したのは行政の責任であり、その赤字を補填するために工場の排出水を下水道に放流させるという、行政からの要請に軽々しく従ってはならないということである。
全ての工場排水が適用されるとは言えないが、中西準子先生の『工場排水と家庭下水の混合処理の矛盾(批判)』という大命題もあり、また、先生は賛同するか分からないが、『工場の排出水が中小河川の渇水を防止する役割を担っている』ことを忘れてはならない。
さらに、工場の排水処理設備と行政の下水道処理施設という、二重の社会インフラによる社会コストの増大問題もあり、下水に流すという安易な判断は、社会的に許されないのである。

2012年8月に閉鎖されたアサヒビール西宮工場では古くから専用の下水道管を通して下水放流しており、当然ながら、下水放流の規制値を守るための大規模な排水処理設備を備えていた。阪神大震災によって、その下水道管が壊れ、これによって操業の再開が大幅に遅れたと聞いている。
これは、下水道放流のリスクという視点から付け加えておく。

下水道、汚水処理について、様々な観点から8回にわたり連載したが、今回で最終としたい。
さいごに・・・・・
家庭から排出される「一般廃棄物のごみ」の収集・運搬・処理の事業の全てを市町村が管理しているが、家庭から排出される「一般廃棄物のし尿と生活雑排水」、いわゆる汚水の収集・運搬(下水道管)事業を市町村が管理し、処理(流域下水道)事業を都道府県が管理している。
また、東京都の上水道事業はここ数年間で、一部の市を除いて市から東京都に業務移管されている。
生活に密着した上水道、下水道の事業は都が担っているが、ごみ処理事業だけが市に取り残されている。これは、東京都だけの問題でなく、他の府県の問題でもあるだろう。
自宅のある小金井市は自前のごみ焼却施設を持たず、近隣の市町村に委託して処理してもらっている。それがうまくいかず、市長の辞職にも発展したのは、つい数か月前のことである。
一市町村では解決できないごみ処理事業について、上水道、下水道の事業と同様に、都が真剣に取り組まなくてはならない。
・・・・という結論であった。

# by ecospec33 | 2012-11-07 06:29 | 〇下水道と汚水処理  

下水道を考えるⅦ(技術と法令の歴史、テムズ川、散水ろ床、活性汚泥法、水質汚濁防止法、浄化槽法)

産業革命が終盤を迎えた1800年代の初めのヨーロッパでは、ロンドンなどの大都市に人口が集中する社会状況にあり、近代的な下水道が整備されつつあったが、大地への放出と農地への還元が主流であり、河川への直接放流が当たり前の時代であった。このため、テムズ川では悪臭が発生し、国会が開催できなくなるほどであったという。
1848年から52年にかけて、テムズ川に下水を放流している下流から取水した水を飲料した方が上流よりも、伝染病であるコレラによる死亡率が高いことが突き止められたが、これを防止するための本格的な下水処理施設の建設は1895年以降であった。
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日本でも明治時代の初めから下水道が整備され、1922年に日本で初めての下水道処理施設(sewage treatment plant)三河島汚水処分場で運転を開始した。先進都市のロンドンに遅れること、約30年であった。
その処理法は1870年代から英国で開発が進められ、1895年から1920年にかけて多数の下水処理施設の建設で採用された『散水ろ床法』(Filer bed, Biological filter, Trickle filter)であった。英国では現在も中小規模の下水処理施設で採用されているが、ハエの大量発生ばかりでなく、ろ床に付着した嫌気性汚泥を排除が不完全なことなど大規模施設への対応が困難であった。
これに代わって開発されたのが、『活性汚泥法』(Activated Sludge process)である。1913年に英国で開発されたが、英国ではすでに散水ろ床法の下水処理施設建設に投資されていたために、その採用が遅れ、米国で大幅に採用され、世界の下水処理法の主流となった。
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三河島汚水処分場では、1934年に処理方式を『パドル式活性汚泥法』に代え、1959年から『散気式標準活性汚泥法』へ改修し、現在に至っている。
(国土交通省「下水道の歴史」、東京都下水道局「三河島水再生センター」、P. F. Cooper「Historical aspects of wastewater treatment」を参照)
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『市街地における生活排水や雨水の停滞による不衛生状態を改善し、土地の清潔を保持することを目的』にして、1900年に「旧下水道法」が制定されている。
1958年に旧法が廃止され、『都市の健全な発達と公衆衛生の向上に寄与すること』を目的とした「下水道法」が制定され、1970年には公害対策の観点から『公共用水域の水質保全に資すること』が目的に加わった。
また、同年の1970年に工場の排水処理施設と密接に関連する「水質汚濁防止法」が制定され、また、1983年に浄化槽の設置・保守点検・清掃・製造について規制する「浄化槽法」が制定された。

1970年度の下水道普及率は20%に達しておらず、1983年度でも約35%である。そのような下水道が整備される以前の1970年代の前半に、水質汚濁防止法に基づいて特定施設を有する工場には排水処理施設が完備された。また、家庭などに浄化槽が整備されていった。

# by ecospec33 | 2012-11-05 11:39 | 〇下水道と汚水処理  

下水道を考えるⅥ(終末処理場、下水処理場、水再生センター、液中膜、流動床型生物膜、技術、展開、移転)

2012年10月24日に、府中市にある北多摩一号水再生センターを視察させてもらった。
かつては有料道路だった稲城大橋に隣接する、多摩川沿いにある流域下水道の『終末処理場』、いわゆる『下水処理場』である。また、これは水質汚濁防止法の『特定施設』に相当する。
処理区域は、府中市と国分寺市の大部分、立川市、小金井市、小平市、東村山市の一部である。
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小金井市東側にある自宅の周辺地域は野川処理区と呼ばれ、ここで処理されるのでなく、直線距離で約25km下流にある東京湾沿いの森が崎水再生センターで処理されている。これは、野川水再生センターの計画がとん挫したためのようであるが、これこそが中西準子先生が河川から水が消え、水循環を途絶えさせ、水環境を悪化させると指摘する流域下水道の問題ではあるが、この野川処理区と小河川の渇水を除いて、多摩川中流域では良好のように思える。
それよりも、汚水と雨水とを同じ管渠で排除する合流式下水道の割合が多いことの方が問題である。
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北多摩一号水再生センターの都職員の方には懇切丁寧なご対応をいただき、食品工場などの産業排水の処理との違い、またA2O法(嫌気無酸素好気法)などの高度処理も知ることができ、非常に有意義な視察であった。
1800年代後半以降から発展した近代的な下水(汚水)処理で培った水処理技術が産業界へと技術移転していったこと、これからも続くであろうことを知っておく必要がある。
これは、液中膜の納入実績の件数を表しているが、し尿処理施設で採用された数年後に、産業排水処理施設に適用されている好事例である。
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2005年に乳業工場の排水処理施設の増設について、この液中膜を検討したことがあったが、設備費および維持費が高額であることから、流動床型生物膜好気性処理+沈殿槽を多段に設置し、スペースを有効に使うことで対応した。
この流動床型生物膜処理も汚水処理から技術展開された技術である。
ともあれ、汚水処理の技術を産業排水処理で採用する際は、その実績による安定性はもちろんのこと、経済性がネックになりうることを確認すべきである。

# by ecospec33 | 2012-11-01 13:27 | 〇下水道と汚水処理  

下水道を考えるⅤ(し尿処理施設、浄化槽汚泥、液中平膜、広域化、長寿命化、農業集落排水、談合)

1997年に、姫路駅から北へ20kmほど向かった、河川沿いの農地が広がる一角にある、稼働を開始したばかりの中播衛生センターを視察する機会があった。このセンターは姫路市を含め周辺5町のコミュニティプラント、合併浄化槽、単独浄化槽から排出されるし尿と浄化槽汚泥を処理する『し尿処理施設』であり、廃棄物処理法の『一般廃棄物処理施設』に位置づけられる。
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日本庭園を有する日本家屋風な豪華な建造物で、汚水処理場とは思えない佇まいであり、周辺環境に考慮し過ぎていると思うほどであった。機能を優先する一般企業では考えられないほどの費用をかけたであろうことが容易に想像できた。「平成21年度 兵庫県の一般廃棄物処理」によれば、㈱クボタが施工し、1993年に着工、1996年竣工し、その総事業費は約49億円であった。
また、液中平膜(槽浸漬型平膜分離装置)を採用し始めた初期のし尿処理施設の一つであり、視察時には、平膜を引き上げて点検しているところであり、安定運転できているのかと疑義を抱いたことを記憶している。
●視察時の処理方法:膜分離高負荷生物脱窒素処理方式+凝集膜分離+活性炭吸着
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2012年に設備が大幅に設備が改修されてはいるが、改修後も最終段に膜分離を使用している。
発注支援業務を請け負った日本環境衛生センターが下書きしたと思われる公募要領書である「中播衛生センター改良工事 技術提案書公募要領」(中播衛生施設事務組合 平成21年(2009年)9月)から抜粋する。
『・・・中播衛生施設事務組合が所管する施設は、計画処理量130kL/日( 内訳:し尿 90kL/日、浄化槽汚泥40kL/日)、膜分離高負荷脱窒素処理方式によるし尿処理施設で、平成7年(1995年)8月の稼働開始以来、およそ13年を経過している。この間、現有施設では、設備装置の計画的な整備、補修等により、適正維持に努めてきたが、施設各所に経年的劣化が目立つ状況になっている。また、施設に持ち込まれる処理対象物が、従来のし尿主体から浄化槽汚泥主体へと変化し、当初の計画と質的量的に異なるものとなって、施設の安定運転に苦慮している。・・・』
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設備改修するための真の要因は、下水道の普及によって計画当初よりし尿の搬入が減り、浄化槽汚泥の割合が増加し、この固形物濃度が高く負荷変動の大きい浄化槽汚泥によって、これまでも安定運転が困難であったことがうかがえる内容である。
施設が建設される前に、「し尿処理施設に搬入される浄化槽汚泥の問題点」(衛生工学シンポジウム論文集1993-11-01)が提起されているにもかかわらず、これを過小評価して当初の設計が行われたと考えてもよいだろう。
また、施設全般の延命化対策を考慮した表現なのだろうが、『・・13年を経過し・・・経年的劣化が目立つ・・・』は、一般企業では考えれれないほどの早い劣化である。設備の法定耐用年数は超えているのだろうが、経済耐用年数を超えたとは言い難い。
改修にともなって、し渣と脱水汚泥の焼却処理を止め、焼却設備を廃止したことは、焼却用燃料単価の高騰およびリン原料として外部委託単価の低化による運転維持費の低減につながるのであるから、当然な結論である。
●改修後の処理方法:浄化槽汚泥対応型膜分離高負荷生物脱窒素処理方式+活性炭吸着
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かつて視察したことのある中播衛生センターの改修にかかわる問題を記したが、これは、全国のし尿処理施設にかかわる問題でもある。
環境省は「し尿処理広域化マニュアル」(平成22年(2010年)3月)の中で、『近年、し尿処理を取り巻く状況は、大きな転機を迎えている。既存のし尿処理施設では、し尿等収集量の減少や浄化槽汚泥混入率の増加による処理効率の低下、処理設備の老朽化とそれに伴う処理機能の低下、適正な整備運営に対するし尿処理財源の減少など、様々な問題点を抱えている。一方で、施設の整備運営に関する経済性の向上、環境保全対策の強化、廃棄物系バイオマスの利活用推進、地球温暖化防止対策への貢献などは、社会的な要求事項となっている。』と説明している。
また、環境省は「廃棄物処理施設長寿命化計画作成の手引き」(し尿処理施設・汚泥再生処理センター編)(平成22年(2010年)3月)の中で、『し尿処理施設の場合、放流水質基準の強化、搬入物の量及び性状の大きな変化等への対応と設備装置の経年劣化を理由に、竣工から20~30年程度で施設全体の更新が行われるケースが多くなっている。一方、近年は生物学的脱窒素処理方式ならびに各種高度処理方式による技術の確立によって、高度な性能の達成が可能となっている。また、腐食性ガスによる損傷を受けやすいとされる水槽コンクリートについても、防食被覆技術の向上により、その耐用年数をできるだけ長く保持するための対策が可能となっている。 このような状況から、し尿処理施設については、延命化対策の際に併せて新技術の導入により、性能の向上を図ることや、日常の運転管理と定期的な点検整備、基幹的設備の更新等を適正かつ的確に実施することで設備機能を保持し、施設をできるだけ長く維持活用することが求められており、ストックマネジメントの考え方を導入することにより施設の長寿命化を図ることが重要である。』と記してる。

ともあれ、下水道にとどまらず、汚水処理施設には施設の建設費と管理維持費ともに多大な費用がかかる。
ここで、「1998年に全国の市町村の農業集落排水事業の発注をめぐり、大手プラントメーカーが10年以上にわたり談合を繰り返していたとの疑いで、公正取引委員会が、荏原、クボタ、ユニチカ、栗本鉄工所、前沢工業、日立化成テクノプラント、西原環境衛生研究所など10数社を独占禁止法違反容疑で立ち入り検査し、1999年10月5日に内9社に対し独占禁止法違反で警告した。」という事件を忘れてはならない。
この事件の一年前、1997年に農水省は全国の市町村に対し、「農村集落排水事業の設計の約90%受託している日本農業集落排水協会に委託するように強制していない。」という趣旨の局長通達を出したという。
この一連の動きから、産官の馴れ合いを財団法人という隠れ蓑で覆う構図が透けて見えてくる。

このような社会情勢の中で、身近にお付き合いしていた中小の水処理プラントメーカーは、収益性が高いという「うまみ」を失くした官公庁の事業から撤退した。社内での裏金作りが難しくなったためとも聞いた。自由に使える資金がなくなり、銀座に何度かお誘い頂いた責任者らも去っていった。

# by ecospec33 | 2012-10-30 12:40 | 〇下水道と汚水処理  

下水道を考えるⅣ(汚水処理人口普及率、地方公営企業、繰入金、債務現在高、元利償還額、会計検査院)

前回、汚水処理の用語と、その施設の特性と機能について確認し、地域の地形などの特性、水質保全と災害防止の効果、経済性等を勘案して施設を効率的、計画的に整備する必要があることを記述した。

これらの汚水処理施設の整備による普及を示す、関係する三省が取りまとめている「汚水処理人口普及率」は、2013年度末で88%弱まで進捗している。その多くは下水道による。
注意すべきは、汚水処理がなされたとしてもトイレが水洗化されまでには数年かかるという実態があり、また、この普及率と環境省が公表している「水洗化率」と整合していないことである。
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本題の下水道事業を始めとして、水道事業、交通事業、電気事業、ガス事業、病院事業などは、地方公共団体が一般的な行政活動の他に地域住民の生活や地域の発展に不可欠なサービスを提供する事業として「地方公営企業」と規定されている。これら地方公営企業は独立採算の原則に基づいて、常に企業の経済性を発揮して効率的な運営を行うこととされ、事業の性質上経営に伴う収入を充当することが適当でない行政的な経費、或いは経営収入のみをもって充てることが困難な不採算経費等については、一般会計から繰り入れることができると規定されている。(総務省HPを参考に編集)
下水道含めた汚水処理事業は他からの繰入金で賄っている。繰入金(逆からは繰出金)の規定から、この全てが赤字分とは言えないが、地方財源を圧迫していることは間違いない事実である。
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また、その債務残高は約30兆円あり、水道、病院、交通など他の地方公営企業に比べても非常に高く、旧国鉄の債務約20億円を大幅に超過している。
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地方財政の健全化が求められている中で、下水道事業も財政健全化による債務削減に大きく舵が切られていることは明白であるが、その道は遠いようである。単純計算でも債務を全額償還するまでに約30年がかかり、その間に施設、設備、装置の老朽化が進む。
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本年2012年9月26日に、『会計検査院が全国の下水処理施設の稼働実態を調べたところ、1年以上にわたって使われていないなど余剰設備を抱える施設が約90あり、また建設費用などとして国庫補助金だけで約250億円が無駄に支払われた形で、検査院は下水道事業に補助金を出している国土交通省に改善を要求した。』などと、新聞各紙が報じた。
しかしながら、この債務残高からすれば、それが極めて小さな金額であることを承知しておくことが必要である。

# by ecospec33 | 2012-10-23 09:22 | 〇下水道と汚水処理  

下水道を考えるⅢ(汚水、生活排水、下水道、浄化槽、処理施設、水質汚濁防止法、廃掃法、所管)

「汚水」は普通一般的に使用されない言葉だが、下水に関して、その用語を整理しておく必要があるだろう。これについては、関連するそれぞれの法律の第2条に「定義」が規定されているので、慣例的、便宜的に使用されている用語も含めて、次の通り整理した。
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ここで、次の用語を確認しておきたい。
●汚水=生活排水+事業系排水+雨水
●生活排水=し尿+生活雑排水=一般廃棄物-ごみなど
●下水道=下水を処理するための、排水施設+処理施設+補完施設
●浄化槽=生活排水を処理するための、合併浄化槽

先に記したとおり、汚水を処理する施設については所管する省庁が異なる。これについても、行政が関連する法令を基に公表している分類に従って、次の通り整理した。
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ここで、汚水処理には集中処理と個別処理があること、また汚水処理施設と所管省庁を確認しておきたい。
●国土交通省所管:公共下水道、流域下水道
●農水省所管:農業集落排水施設、漁業集落排水施設、林業集落排水施設、簡易排水施設
●環境省所管:地域し尿処理施設(コミュニティ・プラント)、特定地域生活排水処理施設、個人設置の合併浄化槽
●総務省所管:小規模集合排水処理施設、個別排水処理施設


「汚水処理施設の効率的な整備・管理に関する有識者会議 報告書」(平成20年 日本下水道協会)から、それぞれの『汚水処理施設の特性』を抜粋する。
●下水道:都市部の市街化区域や人口密度が高く比較的大規模な集落等を対象に、管渠を面的に配置して汚水を収集し処理するものであり、生活排水だけでなく事業場排水や昼間増加人口による排水も受け持っている。また、雨水排除の機能も有しており、都市部等における公衆衛生の向上、浸水の防止、水環境の改善に寄与する公共施設である。管理者は地方公共団体である。
●農業集落排水施設:農業振興地域内の農村集落を対象に、管渠により汚水を収集し処理するものであり、農村環境を改善する農業基盤施設としての性格を有している。法律上は、浄化槽法の適用を受ける。管理者は地方公共団体あるいは土地改良区である。類似の施設に漁業集落排水施設や林業集落排水施設がある。
●合併処理浄化槽:一般的に人口密度が低い地域等を対象に、し尿と雑排水を処理するために宅地等の単位で設置されるもので、大規模な施設もあるが、多くは5人槽、7人槽等の小型のものである。浄化槽法の適用を受け、生活環境や公衆衛生の向上に寄与する施設である。管理者は市町村の場合もあるが、主に個人である。
また、それぞれの『汚水処理施設に求められる処理機能』は、次のとおりとなる。
●下水道:下水処理場は水質汚濁法の特定施設に位置づけられており、排水基準を超過した場合には罰則を受ける規定が設けられている。下水道管理者が放流先水域の水質・水量を勘案して、有機物汚濁の指標であるBOD、湖沼等の富栄養化の指標である窒素、リンについて、計画放流水質を自ら定めることとなっている。計画放流水質は、年間を通じて超過を許容しない水質基準値として位置づけられており、下水道法において遵守義務が規定されている。
●浄化槽(農業集落排水施設を含む):一般的に、501人槽以上の大型合併処理浄化槽が水質汚濁防止法特定施設に位置づけられており、家庭用の小型合併処理浄化槽には、同法は適用されないことになっている。放流水質の基準として、BOD 等について、一律の基準値が設定されている。ただし、合併処理浄化槽の性能評価にあたっては、BOD 等の水質項目ごとに全試験データの75%以上が水質基準値を満足していることが評価基準となっている。

ともあれ、地域の人口密度、地形などの特性、水質保全及び浸水などの災害防止の効果、経済性等を総合的に考慮して、汚染処理施設を効率的、計画的に整備する必要がある。

# by ecospec33 | 2012-10-22 08:27 | 〇下水道と汚水処理  

下水道を考えるⅡ(小金井小次郎、汚水、雨水吐き室、スクリーン、合流式下水道、分流式、吐口、野川)

小金井市の現代の有名人として、詩人の串田孫一、作詞家の星野哲郎、画家の安野光雅を挙げることができるが、江戸末期から明治時代にかけての有名人は小金井小次郎(1818年~1881年)であった。
小金井小次郎こと関小次郎は、清水次郎長(山本長五郎:1820年~1893年)と並ぶ侠客の一人で、小金井の大名主、関家の次男として生まれたが、13歳で勘当され、府中の藤屋万吉親分(市村万吉:1801年~1865年)に可愛がられ、跡目を相続した。小金井はもとより、青梅街道沿いの小平、五日市街道沿いの四軒寺(吉祥寺)、甲州街道沿いの府中、調布、烏山、笹塚、中野、大久保、新宿、川崎街道沿いの溝の口、東海道沿いの川崎、鶴見、生麦、子安、横浜を縄張りとして、三千人の子分をかかえる博徒の大親分であったという。
彼は維新前後の12年間、三宅島に流罪となっていたが、その間、井戸を掘って荒地の開墾に尽くした人物でもあったという。彼の孫が第2代の小金井市長に就任していたそうであるから、超有名人であったに違いない。
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2009年に、小金井小次郎が眠る鴨下家と関家の墓所の南西角、塀越しに小次郎の石碑が望める場所に「雨水吐き室 スクリーン制御盤」が設置された。
雨水吐き室とは、雨水と汚水を同時に管渠(埋設された排水管)に収集、排除する合流式下水道(⇔分流式下水道)において、降雨時に雨水相当分を越流ぜき(オーバーフロー部)から河川や公共用水路への管渠に排除するために設けられた構造物で、スクリーンは越流ぜき上部に設置され、河川などに夾(きょう)雑物が流れ込まないように分離し、これを下水処理場に流出させるための仕掛けである。
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合流式下水道は、1973年に「下水道施設設計指針」が改訂され、分流式下水道が原則採用される以前に、下水道が整備された大都会に多く、東京都の区部で面積比率の約85%が、多摩地域で40%弱が合流式下水道となっている。
この合流式下水道では、降雨時に未処理下水が河川などに放流され、水質汚濁や悪臭、公衆衛生上の観点から問題視されていたことから、2002年に「下水道法施行令」が改正され、分流式下水道並の汚濁負荷とすること、未処理放流水の回数半減、夾雑物の流出防止を図ることとなった。
この対策の一環が、小金井小次郎のお墓近くの「雨水吐き室 スクリーン制御盤」である。
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この「雨水吐き室」以降の管渠は汚水と雨水に分離され、天神橋の下にある「吐口」から野川に放流されている。
この吐口にはゴミなどの大きな夾雑物が見られ、スクリーンの効果は?と疑問が残った。なお、小金井市では、13か所の雨水吐き室にスクリーンが取り付けられたという。

# by ecospec33 | 2012-10-18 12:15 | 〇下水道と汚水処理