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福島第一原発の停電とインフレへのマインドコントロール(東電の体質と不信、事故と事象、デフレマインド)

事故から2年を経過した福島第一原発で、3月18日の午後7時ごろに使用済み燃料プールの冷却システムが停電によって停止する事故が発生した。
当時の恐怖を思い起こすような事故であり、報道機関への通報の遅れ、および配電盤が仮設であったことが問題となったが、それよりも原因特定の経過に疑義がある。

NHK報道を時系列に列挙すると、
●18日23時50分「福島第一原発で停電 冷却システム止まる」: 「東京電力福島第一原子力発電所で18日夜、停電が発生し、1号機と3号機、それに4号機の使用済み燃料プールの冷却システムなどが止まっています。東京電力は原因を調べていて、原因が特定されしだい使用済み燃料プールの冷却システムの復旧作業に入ることにしています。」
●19日4時26分「停電で燃料プールの冷却システム止まる」
●19日12時23分「福島第一原発で停電 原因特定できず」: 『・・・17時間たった今も電源設備のトラブルの原因を特定できず、燃料プールの冷却を復旧できない状態が続いています。・・・外部の送電線から電気を受けている3つの配電盤で何らかのトラブルが起きたとみて、調査を行い、これまでに2つの配電盤は復旧しましたが、残る1つの配電盤のトラブルの原因が特定できず、発生からおよそ17時間たった今も燃料プールの冷却を復旧できない状態が続いています。・・・』
●19日17時22分「福島第一原発1・4号機 燃料プール冷却再開」: 『・・・東京電力の尾野昌之本部長代理は、「トラブルを起こした配電盤について、目視で確認したところ、目立った損傷はなかったが、現在も電気の流れ具合を評価するなどして、原因を調査している。今回は、設備を復旧するのに、ケーブルでほかの配電盤に切り替えたほうが早いと判断した」と説明しました。・・・』
●20日0時37分「福島第一原発 すべての冷却システム復旧」: 『・・・東京電力は、今回停止した配電盤のうち、残る1つで異常があったとみて調べていますが、目立った損傷などはなく、トラブルの原因はいまだに分かっていません。東京電力は、この配電盤に、何らかの原因で電気が流れすぎたり、電圧が低下したりするトラブルが起きた可能性があるとみて調べていますが、原因の究明にはさらに時間がかかり、今後の再発防止対策に影響が出るおそれもあります。・・・』
○東京電力20日のリリース「福島第一原子力発電所における電源設備の不具合について」: 『・・・本日午後0時36分頃、仮設3/4号M/C(A)の電源盤内において、端子および壁面がすすけていることを確認しておりますが、その後、双葉消防署による確認の結果、午後1時57分、火災ではないと判断されました。』
●20日15時9分「冷却システム復旧 本格的な調査始まる」: 『・・・東京電力は、今回のトラブルは、原発事故をきっかけにトラックの上に設けた、残る1つの仮設の配電盤に異常があったとみていて、20日朝から設備の電気抵抗を調べるなどして本格的な原因調査を始めました。そして20日午後0時半ごろ、仮設の配電盤の内部の端子や壁にすすがついているのを、調査中の社員が見つけました。・・・』
●21日7時1分「送電線からの2系統 工事のため連結」: 『・・・東京電力は、20日から本格的な原因の調査を始め、仮設の配電盤の内部を調べたところ、電気が流れる端子とそばの壁に焦げ跡があるのを見つけ、近くでネズミのような小動物が死んでいました。東京電力は、原発事故後のおととし5月から屋外に設置している仮設の配電盤の内部に小動物が入り込み、端子に接触してショートなどが起こった可能性があるとみています。・・・東京電力は、今回のトラブルの復旧作業の中で仮設の配電盤ではなく建物の中にある配電盤を使う仕組みに切り替えるとともに、使用済み燃料プールの電源を二重に設ける工事を進めることにしています。』

これを読んで、この原因特定と電源復旧の流れを不可解と思わない人はいないだろう。
第一に、停電頻度の少なさを世界に誇っていた東電にとって、恥ずかしいほどの幼稚な事件である。
第二に、原因の特定を進めながら、電源の復旧(停電の回復)を進めるのが常套手段であり、東京電力もそのようにすると発表しているにもかかわらず、原因の特定が復旧よりも後手になったこと。
第三に、トラブルを起こした配電盤に目立った損傷がないと発表していたにもかかわらず、その後、ネズミによる相間短絡(ショート)した跡が見つかったこと。
この停電事故に関連し、第三に、重要な設備であるにもかかわらず、仮設の配電盤を使用し続け、また電力系統の2重化を怠っていたこと。

仮設配電盤が高濃度汚染の場所に設置されていたのかも知れないが、このような不可解な失態を続ける限り、東電の体質が変わっておらず、東電への不信感も払しょくされない
ということである。
東京新聞は3月22日の社説で、このようにも記している。
『会見した東電幹部は、「事故」とは言わず「事象」と呼び、「原子力の世界では、放射性物質の影響が出るようなことがなければ事故ではない」と言い張った。住民の心情より原子力ムラの特別なルールを優先させる思考法も、どうやら変わってはいない。 結局東電には、住民の側に立つ視点が育っていないようだ。』

自民党政権は、民主党政権時代に見直されつつあった原子力発電と電力事業の在り方を、審議会から反原発論者を追い出すなどして、しだいに原発事故以前の姿、原子力村と政官財癒着の構造に戻そうと躍起となっている。
22日の朝日新聞朝刊に、『大都市地価 上向く』という大見出しが躍ったが、一部の実態は見出しに合致しているが、多くは見出しと異なっている。日銀新総裁の就任に合わせて、デフレマインドからインフレマインドへのマスメディアのマインドコントロールが始まっている。

ともあれ、政財界およびマスメディアの動きを注視するマインドを持ち続ける必要がある。

# by ecospec33 | 2013-03-23 07:05 | ●その他社会問題  

サクラ、さくら、桜と新緑、小金井公園桜祭り、アベノミクスとアベノリスク

16日に気象庁が過去最も早いサクラ開花宣言をしたそうである。この約2週間が楽しみであるが、4月に入ってすぐの週末に開催される「小金井(公園の)桜祭り」は、サクラの見ごろは当に過ぎて、葉桜祭りである。
昨日17日から春のお彼岸が始まって、多磨霊園の周辺道路は車が渋滞していた。霊園内の車の混雑ぶりを知っているので、3月に入った早い時期に自転車で父母のお墓参りを済ませている。
甥がお墓詣りで自宅に立ち寄った。3月初めに、30歳に近い彼は一人で伊豆に河津桜を見に出かけたという。
         <<野川沿いの河津桜>>
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焼肉ファミレスで昼食を食べながら、一流企業の子会社でソフト開発を担っている彼の話を聞くと、ここ数年間、昇給がないこと、また労働組合もないという。アベノミクスの効果は感じられないというが、地価が上がって、自宅マンションが高く売却出来ればと淡い期待を抱いていた。それは、2、3年前に購入した都心の新築マンションの借金が身に染みているからである。
いくら金融緩和しても、かってのバブル期のような国民のバブル的な高揚は期待できないだろう。
彼も実態経済が良くなるとは真剣に思っていないようである。原発の安全神話が復活しないように、土地神話が復活しないことも承知している。
彼はマンションの購入より結婚相手を探しと世帯を持つことを優先すべきだったようである。
それでこそ、日本が活性化する基盤となりうることであるように思う。
         <<野川沿いの枝垂れ柳>>
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安倍内閣と自民党への支持率が高まっている。ドタバタな民主党政権下の政治への不満と、大震災と原発事故によるうつ症状から解放されたい期待感がなせる結果である。
アベノリスクへの不安から不支持率も高まっている。かつての政官財癒着の自民党が顕著になれば、人心は離れていく。

さくらの花から新緑へ、金融界だけでなく、日本全体が元気になるように我々自身が行動しなくてはならない。
昨年9月に新しい自動車に買い替えているので、次は国内旅行でもするか・・・・

# by ecospec33 | 2013-03-18 14:14 | ●季節の変化と日常生活  

LCA、CFPについて(LCAエキスパート検定試験、エコリーフ、カーボンフットプリント、放射性物質)

本日3月11日は、東日本大震災から2年目の追悼日である。
アベノミクスで円安、株価上昇などで浮かれ始めた社会状況の中で、大震災と福島第一原発事故の記憶が風化しつつあるが、自然災害と事故による悲惨さを忘れてはならない。
当日は犬の散歩中で、周辺の家屋がギシギシと音を立て地震に気がついたが、畑地の台地が波を打つのを見た。この揺れが収まってからも、武蔵野公園の大木が左右に大きく揺れ続けていた。

ところで、先月の中旬に、日本乳業協会環境委員会で、「カーボンフットプリント(CFP)への対応」と題して、40分間講演した。
ブログで連載したことを整理した内容であり、第一は、製品CFPから企業CFP(サプライチェーン)に移行しつつあることを提示し、第二は、牛乳は「GHG排出量」は他の飲料と比べて高いが、「栄養素密度」が非常に高く、「栄養素密度」を「GHG排出量」で割った「NDCIインデックス(NDCI index:The Nutrient to Climate Impact)」が高く、「地球にやさしい飲料」であることを示し、第三は、CFPをポジティブに活用して欲しいと結論付けた。
各国のカーボンフットプリントへの対応は異なるが、日本はCFPマークを製品につけるコミュニケーションに執着し過ぎている。食品について言えば、お米にCFPマークをつけて何になるのだろう。コミュニケーションの方法を再検討すべきであると思う。
      <<ISO発行前に低調となるエコリーフとカーボンフットプリント>>
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本日、CFPプログラムを管轄する産業環境管理協会が、2月上旬に受験した第三回LCAエキスパート検定試験の合格者を発表した。
2月下旬頃にHP上で発表すると公表していたので、どうなったのかと思っていたが、これで気がかりなことが解消された。合格基準は約70点以上で、合格率は約25%と低調だったようである。
前回、前々回の試験内容が公表されていないので、何を勉強しておいたらと不安もあったが、指定された参考書を熟読し、他の資料で補完しておけば合格できるものである。もちろん、環境保全の全般を常識程度に知っておくが基本である。
電卓を使う問題は全問の約40%を占めていたように記憶しているが、LCA手法を論理的に会得していれば、あとは掛け算と割り算が出来さえすれば良い。エネルギー管理士試験の積分のような算術は全く必要ない。
ともかく、合格しさえすれば、満点でも取ったように何とでも言える。
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半月ほど前にも書いたが、この合格が主目的でなく、環境問題への視点を増やすことが目的であった。
このため、参考書ではなかったが、「LIME2(意思決定を支援する環境影響評価手法)」も読みかじった。
産業技術総合研究所が、第2期LCA国家プロジェクト(2003年~2006年)における研究の一環として、このLIME2(Life-cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling:日本版被害算定型ライフサイクル環境影響評価手法)を開発したという。

LIME2では、人体、生態に悪影響を及ぼす放射性物質を、水と同様にインベントリとして捉えていない。
地球温暖化対策として、火力発電などと比較して原発の優位性は揺るがないだろうが、原発事故、核廃棄物などのから放出される放射性物質をカウントする必要があるだろう。
そのリスク(規模の大きさ×発生確率)は小さいという数値結果になるだろうが、心情的には中国から飛散するPM2.5の大気汚染よりも環境への影響は大きいと考えたい。それは一過性の影響でなく、十万年にもわたる持続性のある影響だからである。
これは、科学では答えを得ることがことが出来ない哲学の問題でもある。

# by ecospec33 | 2013-03-11 13:45 | 〇カーボン・フットプリント  

野川、武蔵野公園の野鳥(キタテハ、ヤガラ、シロハラ、コゲラ)

今日3月6日は、3月下旬から4月中旬の陽気な天気となり、湿度も低いので散歩には最適である。
野川沿いは、冬を成虫で越した蝶、キタテハが飛び始めた。
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武蔵野公園の梅の木にはヤガラが飛び交っている。
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コゲラが、桜の木を突いている。
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下の灌木にはシロハラが跳ねる。
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昨日、気象庁は、関東から以西で10日頃からの1週間に平均気温より2.6℃以上の高温となる可能性が高いという「異常天候早期警戒情報」を出した。
この暖かい気温が続く。

野川の渇水も続くということだ。
カワセミは見かけなくなってしまった。
冬鳥も里山に戻っていく。

# by ecospec33 | 2013-03-06 15:13 | ●季節の変化と日常生活  

野川の渇水による生態系の変化(カメ、カエル、カワセミ)

今冬は雨が非常に少ない。
昨日はゴルフの予定であったが、埼玉県のゴルフ場がミゾレの可能性があるので延期したほどであったのに、低気圧が南下し過ぎたために、東京もお湿り程度だった。
このため、野川は渇水で喘いでいる。
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カワセミも今日は見かけなかった。水深が浅くなったために飛び込んで小魚を取ることが出来なくなったからである。
昨日は、野川沿いの道路に20cmもあるウシガエルが這いつくばっていた。カラスにつつかれた痕がある。甲斐犬を散歩させていた、見るに見かねた勇気ある女性が水が溜まっている上流に運んでいった。
野川の渇水による生態系の変化(カメ、カエル、カワセミ)_e0223735_1827321.jpg
今日は、知り合いのマイケルのパパ(以前に飼っていた犬のご主人)とカメを助けた。
ひえ上がった川底のあちこちにカメが途方に暮れていた。その一匹はスッポンで、長さ30cmもある大物だった。噛まれないようにと捕まえたが、弱っていたのか、寒さのためか、さほど暴れることもなく、200m下流まで運ぶことが出来た。他の3匹は、良く見かけるカメであった。
私より4歳上のマイケルのパパは、「竜宮城に連れてってもらえるかな。」と、ふざけていたが、彼は小金井市役所に出向いて、野川の窮状を訴えたが、相手にしてくれなかったという。
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このような渇水では、カエルもカメもカワセミもいなくなってしまう。
春の雨を期待したい。

# by ecospec33 | 2013-02-28 18:33 | ●季節の変化と日常生活  

庭の蕗の薹と野川の野鳥(八甲田温泉、バードウオッチング、カメラ小僧、武蔵野公園)

45年近く前の夏場に青森県の八甲田温泉の前庭でキャンプしたことがある。
早稲田大学のWFRサイクリングクラブの夏合宿で、早朝に青森駅に着き、一日をかけて上ってきた。隣に野営していた自衛隊から中華鍋を借りて食事を作り、ラムネ温泉に入った思い出がある。次の日の旅程は渡良瀬渓谷から十和田湖畔であった。
<<45年前の八甲田温泉>>
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八甲田温泉は八甲田山の東北側に位置するが、その西側にある酸ヶ湯温泉では、最大級の寒波で国内最高の積雪量を記録したという。
雪の多い地方には申し訳ないが、自宅の庭で数少ないが蕗の薹を摘み取ることが出来た。
<<風を避けるシメ>>
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<<雪が残る野川岸で餌をついばむシメ>>>
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一昨日も昨日も、野川の同じ場所にカワセミがいた。野川の水量が極端に減って、小魚が住む溜り部が限られているためである。
それを撮影するカメラ小僧は昨日も少なかったが、一昨日は望遠レンズを持った約10名の爺婆のカメラ小僧集団は漂鳥のシメを狙っていた。シメは1月から単独で見る機会があったが、今は20匹近い群れで行動している。
<<野川のジョービタキ>>
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渡り鳥のジョウビタキは単独で野川の両岸を飛びまわっている。
モズは当たり前のようにいるし、見慣れない野鳥も見かける。小学生、中学生にとっても野鳥図鑑を見るような楽しい野川と武蔵野公園である。

# by ecospec33 | 2013-02-23 05:44 | ●季節の変化と日常生活  

ピンチテクノロジーと省エネ、省水対策(熱ピンチ、水ピンチ、カスケード利用)

ピンチテクノロジー(Pinch Technology)は1970年代に英国のリンホフ博士(Linnhoff)が開発した省エネ手法である。
省エネルギーセンターの用語集では、「ピンチテクノロジー」を『プロセスシステムでは、冷却を要する流体と、加熱を要する流体が混在している。プロセス流体を与熱側と受熱側に分類して、複数の与熱流体に対して、同じ温度区分の熱量を統合すると「与熱複合線」が得られる。同様に複数の受熱流体からなる「受熱複合線」が得られる。これらを重ね合わせて「熱複合線図」を作成することが出来る。与・受熱複合線を、熱量軸に沿ってずらすことによって、プロセス流体間の理論的な最大熱交換量を推算することが出来る。又、与熱複合線と受熱複合線が接する点を「ピンチポイント」と言う。』と説明している。
この用語説明だけでは理解が難しいだろうから、「ピンチテクノロジー」(巽浩之・松田一夫(千代田化工)共著)を参考としていただきたい。
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ここでは、殺菌プロセスなどで使用する単体の熱交換装置をイメージしてもらうことが理解の上で最適である。『温度の高い(与熱、加熱、排熱)側と温度の低い(受熱、冷却)側の熱複合線図を図示化することによって、熱再生(熱回収)の最大熱量を見出すことができ、これを基にして省エネ改善を進める手法である。』と言えるだろう。
このような単体の装置(プロセス)での熱の授受の問題にとどまらず、ピンチテクノロジーは複数の装置、設備(プラント)、施設、工場、企業(コンビナート)に広げた熱の授受に関して、「熱のカスケード(Heat Cascade)利用(Heat Cascading)」を徹底する省エネ手法であると言うことも出来る。
ここまでは、熱投入量と排熱量を減らすための熱ピンチテクノロジー(Thermal-Pinch Technology)の概説であるが、用水使用量と排水量を減らすための水ピンチテクノロジー(Water-Pinch Technology)があり、さらには投入資源量と廃棄物を減らすための物質ピンチテクノロジー(Mass Integration)に発展している。
また、ピンチテクノロジーは「プロセス統合化(Process Integration)」の一手法であるとも言われる。
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水(ウォーター)ピンチテクノロジーについてはクリタが手掛けており、国内ではサントリーが初めて既設工場でこれに取り込み、飲料工場を新設する際にも適用し、用水使用の原単位を大幅に改善したという。
サントリーのCSR用語集では「ピンチテクノロジー」を『・・・「ピンチ」は、英語で『つまむ』という意味。飲料工場で製品を製造するには中味以外にも空容器の洗浄やタンク、配管、充填機などの設備の洗浄に水を使用する。こうした設備洗浄・冷却に必要な水の品質・量とそれらの使用後に出る水の品質・量を把握し、解析を行うことで使用後の水の再利用を図るしくみのこと。』と紹介している。

この水ピンチテクノロジーを乳業工場で適用したことがあるが、そのキーポイントは次のとおりである。
1.用水、排水の使用量と水質(CODなどのランク付け)を工程別に実態調査する。
2.工程別の用水使用箇所の要求水質を確認調査する。
3.「水質・水量線図(コンポジットカーブ)」を作成する。
4.用水使用量と排水量の削減余地を算定し、削減案を策定する。
5.削減案の経済的と技術的な実現可能性を評価し、改善案を策定する。
6.改善案を実施に移す。

これらの工程は省エネ手法と全く同じであり、水質を温度、水量をエネルギー(熱)量、用水をエネルギー、排水を排熱に代えれば、まったく省エネ手法となる。
複合線図を作成する準備の段階である1.と2.の段階で多くの時間と労力を要するが、その調査過程で削減案、改善案は見出されるものである。
ちなみに、日量約5,000トンの用水を使用する乳業工場では、その約10%に当たる約500トンを削減することが出来た。

# by ecospec33 | 2013-02-19 18:18 | ●地球温暖化問題  

カーボンフットプリントとカーボンオフセット(LCA、CFP、J-VER、グリーン電力証書)

今月の第一日曜に産業環境管理協協会の「LCAエキスパート検定試験」を受験したが、奇遇にも知人も受験していた。これは国家資格ではないのだが、LCA(ライフサイクル・アセスメント:Life Cycle Assessment)を理解するために最適な試験である。
お互いに「頭の体操であり、受けることに意義がある。合否は問わない。」などと、下りのエレベーター内で沈鬱な受験生に囲まれながらも笑い飛ばしていたが、彼は私より10歳近く高齢な大先輩であり、いまだ現役の産業総合研究所研究員である。

彼はCFP(カーボンフットプリント:Carbon Footprint)の検証作業を担当するそうで、その準備のために受験したという。こちらも、その約3週間後に日本乳業協会環境委員会でCFPをテーマとした講話を控えているので、その準備の一環として受験した。
合格を真剣に目指している約80名の受験者には申し訳ないが、先輩も私も、この資格を取って職に生かすというよりも、この受験を環境に関する知識を得るためのインセンティブとして利用しているに過ぎないようである。
1970年代前半に公害防止管理者を受験した時は大学院生だったので頭の回転も速かったが、ボケが入った頭では何事も厳しいものがあるのだが、環境に関連した仕事に携わろうと思っている人間は、何らかの国家資格は必要である。というより、その受験過程の勉強が重要であると思っている。
今回も受験勉強の中で、思考するための様々な視点を得たように思う。
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この数日後に、東京国際フォーラムで「カーボンマーケットEXPO2013」が開催され、これに関連した「カーボンフットプリントからオフセットへ」という無料セミナーを聴講した。
一般的に男性より女性の方が環境への関心が高いと言われているにも関わらず、約120名の参加者のうち女性は10名以下であった。個人というよりも企業人の関心事ということから、女性の参加が少なかったのだろうが、環境問題を抱える日本社会は、何ともしがたいほどの男性社会なのである。
この産業環境管理協会よるセミナーの趣旨は、CFP認証済み製品はカーボンオフセットが容易にでき、環境性をアピールできるということ、またその成功事例を紹介することによって、企業のCFPコミュニケーションへの参加協力要請であった。

その成功事例のように環境性をアピールできる製品は限られているように思うのだが、製品の購入者が環境付加価値(グリーンバリュー)にどれだけの経済価値を認めるかということである。
「カーボンマーケットEXPO2013」の展示会場はセミナーに比較して閑散としていた。「オフセット・クレジット(J-VER)」を生かして地域おこしを推進した森林資源を有する高知県、熊本県、秋田県、青森県などの事業者の出展が目立った。
イトーキなどクレジットの売買の仲介等のサービスをおこなうオフセット・プロバイダー、またロイドレジスター、ビューローべリタスなどの認証機関も出展していた。
乱立気味であった認証機関はしだいに淘汰されてきていると聞いている。これは、中小の企業を中心にISO14001認証の継続を取り止めつつあり、また認証機関の審査員も減少していること、およびマルチサイト化とサーベイランス方式の簡素化によって審査総額が大幅に減少したことが要因と思われる。

展示会場のパンフレットにクレジット(J-VER)価格が5,000~15,000円/トンと載っていたが、これは「グリーン電力証書」並みの単価ではあるが、自企業内の環境関連の設備投資と比較検討できるほど高額であると思った。
例えば、CO2の排出量を年間1,000トン削減が出来る設備投資額が2億円であると設定する。
その設備投資には燃料、電力または廃棄物処理など何らかの経済的なメリットを2千万円/年と設定すると、これに環境付加価値として、1,000トン/年×10,000円/トン=1千万円/年が加算されることになる。ということは、この環境付加価値は、設備投資の単純回収期間を、2億円÷2千万円/年=10年から、2億円÷(2+1)千万円/年≒6.7年に減少させるほどの経済価値を有することに相当する。
これは社外からオフセット・クレジットを購入するよりも、自社で環境関連の設備投資した方が有益であるという判断になりうるということである。
どう結論づけるかは企業の環境への姿勢によるが、ここで注意したいことは環境性アピール効果である。


ともあれ、何事も事前の準備と、多少は辛い勉強が大切である。

# by ecospec33 | 2013-02-17 10:19 | 〇カーボン・フットプリント  

祝!!全国牛乳容器環境協議会 創立20周年

この2月7日に、全国牛乳容器環境協議会(容環協)「創立20周年記念シンポジウム」がグランドパレスで盛大に開催され、私もOBとして招待頂いた。
<全国牛乳容器環境協議会会長山登正夫(雪印メグミルク取締役常務執行役員)挨拶>
祝!!全国牛乳容器環境協議会 創立20周年_e0223735_14182242.jpg
容環協は1992年(平成4年)に設立された。
創立前年の1991年には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」が大幅に改定され、また「再生資源利用促進法(「資源有効利用促進法」として抜本改正)」が制定され、事業者は3Rに資する役割を果たし、環境配慮型製品(エコプロダクツ)を目指すことことなどの規制強化があった。また経団連は「経団連地球環境憲章」を公表し、企業に対し環境問題を担当する社内体制を整えるなどの指針を提示したことから、各社に環境対策室などの名称の担当部署が創設された時期であった。
1992年には、「リオ・サミット(環境と開発のための国際連合会議)」が開催されたことから、地球環境問題への国際的な意識が高まった時期でもあった。
容環境協設立の「趣意書」から、社会状況の変化に積極的に対応する団体の精神を読み取ることが出来るだろう。
祝!!全国牛乳容器環境協議会 創立20周年_e0223735_14201415.png
容環協の事務局は九段下にある日本乳業協会内に置かれている。
日本乳業協会をはじめとして日本酪農乳業協会など4団体、テトラパックなど飲料用容器メーカー7社、丸富製紙、信栄製紙、山田洋治商店などの再生紙メーカーと古紙回収業者10社、および乳業メーカー135社から構成されており、牛乳パック(紙パック)リサイクルの環境良好性を啓発し、その促進を図る任意団体である。
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1995年に「容器包装リサイクル法」が制定されたが、この法制定以前から小規模ながらリサイクルが進んでいたことが評価され、また有価で取引されている市場実態から、再商品化義務の対象とならなかった。ちなみに、当時の日本乳業協会会長であった大野晃氏(現森永乳業会長)が農林水産大臣に再商品化義務免除を陳情したことが、この政策決定に大きな影響を与えたということは、あまり知れれていない事実である。
1997年に通商産業省の指導により、牛乳パックだけでなく、飲料用紙パックのリサイクルを推進する「飲料用紙容器リサイクル協議会」が容環協を中核として設立された。これは、有価取引でなくなった場合に関係事業者がその赤字分を補てんするためである。
飲料用紙パックの販売量の推移、販売割合の推移が示す通り、その中核である飲用牛乳は漸減状態にある。容環協に参加する乳業メーカーが2004年には166社あったが、現在では135社となり、この8年間で31社減少していることも同様な実態を示している。
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紙パックの回収率は2011年度に初めて減少した。
震災の影響は少なくないようであるが、スーパーなど小売店での店頭回収量(実績値)が減少していること、店舗数から推定する回収量(推定値)が店舗数の減少によって減少していることが要因と思われる。
シンポジウム、その後の懇親会でも、「飲料用紙容器リサイクル協議会」を構成する全国清涼飲料工業会、日本果汁協会、発酵乳乳酸菌飲料協会が影に隠れていた。飲用牛乳以外の販売割合が増加しているのであるから、回収率向上に向けて、彼らにも活動の一部を担ってもらうことが必要である。

ともあれ、確かに容環協は数年前より組織が強固となったように思う。これは、前会長の中嶌賢治氏(清水乳業社長)と渡邉孝正常務理事らの事務局の努力の結果であるが、「仏造って魂入れず」に陥らないよう、これからの活動に期待したい。

# by ecospec33 | 2013-02-08 14:26 | 〇容器包装リサイクルの行方  

技術者、エンジニアの感性(プラント・エンジニアリング会社、コージェネ、マッチポンプ、バイオマス)

アルジェリアでのイスラム系武装勢力によるテロ行為で犠牲となった日本人の多くは優秀な技術者(エンジニア)であったに違いない。非常に悲惨な事件であり、国家の損失であった。
前副社長から派遣社員まで、その知識、技術、管理能力のレベルとプラント建設における役割は異なってはいるが、数百人のアルジェリア人と協力して砂漠の中に天然ガスプラントの建設を強い意志で遂行していたことは間違いない。
大学同期で日揮に就職したものはいなかったが、化学工学を学んだ者にとって、石油精製、石油化学、天然ガス等のプラント・エンジニアリング会社の大手3社である日揮(当時は日本揮発油)、東洋エンジ二アリング(TEC)、千代田化工(千代化)は、学んだ知識をフルに生かせることから花形の就職先であり、成績優秀者の就職先であった。

どの分野でも同じだろうが、技術者も一朝一夕には育たない。技術者としての感性を持つまでに、実体験という時間を要すると考えている。感性とは想像力と構築力である。
技術者は形のないところから形あるものを想像し、実在のものへと構築していく能力が必要であり、それを実体験することによって、技術者としての感性は磨かれていく。この経験と経済、社会の要請とのバランスを取りながら、社内外の様々な難関を克服して先進的な技術に取り組んむ姿勢が必要である。

1990年代の初めは、コージェネレーション(熱電併給発電、CGS;Cogeneration、CHP;Conbined Heat & Power)は一般的な知られた設備ではなかったが、乳業界で初めて導入することを企画したことがあった。
第二次オイルショック後の1980年代の後半から、国内に設置されたCGSを視察しながら、自工場への導入の機会をうかがっていた。その省エネ性、環境性、経済性が認められている時代ではなかったため、導入するに際して社内では賛否両論があった。その設備のレイアウト一つとっても、役員、部長、上司らが会議をしても決定できないほど、訳のわからない代物だった。
そのCGSの導入を決定前に直属上司の計らいで米国のCGS視察団に参加したことが契機になって、社内でCGSが認知されていった。それでも、論理的でない理由をつけて導入に強行的に反対する先輩技術者がいた。当時、彼は技術者として感性を持ち合わせていないと感じたが、その後もマッチポンプ(偽善的な自作自演)が目立つ人物に終始した。

2005年前後に、食品廃棄物のバイオマスの熱利活用の設備の導入を企画した。これも乳業界初の試みであった。
この施設は昨年度に「平成24年度循環型社会形成推進功労者」環境大臣賞を受けたが、導入するまでの過程は容易ではなかった。導入する数年前から設備メーカーの技術協力を得て小型バイオマス実験装置を工場に設置してテストを繰り返していたが、工場長から難癖をつけられて撤去を余儀なくされるなど大きな反発があったからである。
その工場長は現在関係会社の社長になっており、『矢崎さんは時代を先取りしていた。大したもんだよ。』と、今でこそ理解を示してくれるが、10年近く前に社内の理解者は皆無だった。本設備を導入する間近になっても埒が明かないので、日経新聞の記者にバイオマスの関連記事を掲載するように促し、その記事で社内を強引に説得したこともあった。
幸いに優秀な社外の技術者の協力を得て、この設備が結実し、社会的に評価されたことは幸いである。

太陽光発電の導入など様々な環境関連設備の導入を企画し実行してきたが、残念ながら後輩技術者には、難関を乗り超えるような意欲が見られないようである。
先日、本社の元役員で関係会社社長が、『後輩連は自分の好きな仕事はやるが、それ以外は仕事をやらされているという意識が強い。困ったものだ。』と話があった。何事も積極的に取り組めば、技術者としての感性が磨かれる。やらされていると受動的に取り組めば、感性は鈍化するだけのことである。

2月中旬に日本乳業協会の環境委員会で話をさせてもらう予定である。後輩たちの意欲を鼓舞することもあるが、環境問題への対応を体系的に、経年的に、例示しながら把握してもらうことを一つのテーマとしている。
食品工場も他の産業に違わず閉鎖が続いているが、後輩技術者の奮起を期待していきたい。
ただし、マッチポンプに終わってはならない。

# by ecospec33 | 2013-01-31 10:08 | ●その他社会問題