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食品企業の環境対策の変遷と対応

昨日は、環境調査会社を訪問した。
2008年に財団法人の政策科学研究所が解散したため、独立して会社を興した人物に約3年ぶりにお会いした。過去の経験と実績から、容器包装リサイクル関係の調査依頼が多く、忙しいためか相変わらずの細身の体型であった。
いろいろと話をさせももらったのだが、彼が10年以上前に食品産業センターで講演した件を思い出し、その時の冊子を借り受けてきた。
その冊子は、農林水産省食品流通局補助事業で作成された「食品製造業者の環境対策マニュアル」(1999年政策科学研究所)である。

当時の首相は小渕恵三であり、1999年は石原慎太郎が東京都知事に初当選し、東海村JCOの臨界事故が発生し、また、大みそかには情報機器の2000年問題のために本社内で最初で最後の年越しした年であった。
環境に関しては、環境ホルモンが話題となり、「ダイオキシン類対策特別措置法」が制定された。この制定前に、多くの小型焼却炉を廃炉指示した年でもあった。

過去を振り返り、新たな発想も得られるのではないかとの思いで目を通した。
このマニュアルでは実情に合わない記述も目立ったが、不思議に思うことを列挙すると、
 ・環境法令の記述がない。
 ・環境マネジメントシステム:上位に記すべきものなのに、していない。
 ・ISO14001認証取得を推奨している。:今は古臭くもなっている。
 ・地球温暖化問題は重要課題として捉えている。:今も変わらず最優先課題である。
 ・オゾン層破壊問題を代替フロンと記述している。:今も変わらず重要課題である。
 ・産業廃棄物問題を記してはいる。:ダイオキシン、環境ホルモンが抜けている。
 ・環境報告書(エコレポート)を推奨している。:今はCSRレポートに変貌した。
 ・環境会計の記述ある。:今でも徹底した議論がない。
 ・LCAとエコラベルが記述されている。:CFPに変貌した。
 ・容器包装リサイクル法と問題が記述されていない。:当時、法は施行されていたのだが。
1999年以降の新たな環境法令の制定と新たな環境問題を列挙すると、
 ・循環型社会形成基本法と3R
 ・食品リサイクル法
 ・容器包装リサイクル問題
 ・経団連の自主行動計画
 ・エコアクション21認証
 ・GRIガイドライン、環境報告書ガイドライン
 ・産業廃棄物のゼロエミッション
 ・CSRとCSRレポート
 ・ISO26000 
 ・CFP(カーボンフットプリント)
 ・排出量取引

地域限定の公害問題から地球規模の環境問題へと、グローバル化と情報化が進み、時代とともに環境問題は新たな局面を迎える。
それぞれの企業は、油断なく優劣をつけて果敢に対応していくことが必要である。

by ecospec33 | 2011-06-30 16:16 | ●CSRと環境対策  

企業の合理化と日本人の美徳

日本経済は興隆期から低迷期に陥って、すでに久しい。
国内の経済規模の縮小を補完するために、企業は国内では工場の閉鎖など合理化を進め、海外への事業展開を進める。
これによって産業の空洞化が進み、さらに経済規模の縮小を生むという負のスパイラル(悪循環)が止まらない。

昨日と本日に行われた東京電力など電力各社の株主総会で、福島原発事故を受けて脱原発を求める意見が株主から相次いだ。役員の責任の取り方への不満も出たという。
今夜のNHKクローズ・アップ現代で「ドナルド・キーン先生は何故日本を選んだか」が放映され、その理由に、今回の大震災でも発揮された『日本人の美徳』を挙げた。
これは、第二次大戦の混乱時でも発揮された我慢強い日本人の姿であったという。
庶民、市民、国民の姿に大きな変化はないのだろうが、企業の姿は大きく変化したと思う。
かつての国内企業は合理化に対し、担当の役員は責任をとって辞職するケースが多かったように思う。しかしながら、企業存続には合理化は当然という理由で、今はそのような対応はとらない。

『日本人の美徳』は変わることがなく、『企業の美徳』は薄れていくようである。これでは、日本の経済再生などあり得ないだろう。
福島第一原発事故の責任は東京電力だけではない。安全責任の所在が不明確とIAEA(国際原子力機関:International Atomic Energy Agency)から指摘されてはいるが、行政府の長の責任がかすれているようである。これでは、原子力発電の復権などあり得ないだろう。

by ecospec33 | 2011-06-29 22:03 | ●その他社会問題  

ゼロエミッションとゼロエミッション電源(原子力発電が?)

アサヒビールの茨城工場が1996年に産業廃棄物の100%再資源化を果たしたことから『ゼロエミッション工場』を宣伝文句に使い、「環境に優しい企業」を大々的にアピールしたこともあり、ゼロエミッションとは廃棄物を排出しないという環境用語として広く認識されていた。
しかしながら、この「ゼロエミッション(zero emission)」とは廃棄物に限定した環境用語ではなく、1994年に国連大学が、人間の活動から発生する排出物を限りなくゼロにすることを目指しながら最大限の資源活用を図り、持続的な社会を構築するための理念と手段として提唱した概念である。

企業の環境などの社会的貢献を先駆的に推進したキャノン社長であった山路敬三氏が、環境を企業理念の一つに据える外資系紙パックメーカーである日本テトラパック会長に1995年に就任されたことは、食品業界で特筆する話題であった。
その山路氏は、ゼロエミッションの概念の普及と実践を目指す「国連大学ゼロエミッション・フォーラム」の会長をされていたが、2003年に急逝された。

福島第一原発の事故を受け、菅首相は5月10日に、従来の原発依存の「エネルギー基本計画」を白紙に戻して見直すことを表明した。
経済産業省が、2010年6月に策定された「エネルギー基本計画」の改定ポイントを挙げている。その目標の一つに、2030年に『ゼロエミッション電源比率を現状の34%から約70%に引き上げ』と記載している。
「ゼロエミッション電源」という言葉は、基本計画の本文には記載されていないが、原子力および太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギー由来の電源を指している。

CO2排出がないという意味で「ゼロエミッション電源」を造語したようであるが、「原子力発電がゼロエミッション?」と奇異に感じるのは、私だけではないだろう。
原子力発電は発電段階ではCO2の排出は少ないだろうが、再生可能エネルギーにはありえない核燃料廃棄物という厄介な排出物(エミッション)が後世まで残るではないか。
経済産業省はゼロエミッションの概念を理解しつつも、原子力発電と再生可能エネルギー由来の電源を同レベルに扱う工作をしたようにさえ感じる。
山路氏がご健在であれば、このような造語は許さなかったに違いない。即刻「ゼロエミッション電源」という言葉を抹消しなくてはならないだろう。

余談であるが、『ゼロエミッション工場』で話題をさらったアサヒビールは、名古屋工場が1999年に冷凍機などの全てのフロン冷媒をアンモニアなどの冷媒に変更したことから、オゾン層を破壊しない『ノンフロン工場』を次の宣伝文句に使用した。
当時現場を見せてもらい、自販機の冷媒までもノンフロンにしたのかと思ったが、その数年後には自販機メーカーがそうせざるを得なくなる時代になった。人を引き付ける魅力のある旭興一専務の陣頭指揮のもと、環境経営のターゲットに向けた改革が進んだと思っている。
アサヒビールの「環境報告書(エコレポート)」も同業他社とは異なり非常に派手目で「環境に優しい」という良いイメージを企業宣伝に巧みに利用していたが、その実態も先進的であった。
次のターゲット、宣伝文句は『CO2排出原単位の50%削減』を予定していたが、残念ながら良好な結果は伝わってこなかった。

by ecospec33 | 2011-06-28 19:10 | ●エネルギー問題  

気化熱の冷却効果とガスタービン(水打ち、コージェネレーション)

電力不足の夏を乗り越えるため、気化熱の冷却効果の活用が盛んに報道されている。
屋外でミスト吹き出しての雰囲気温度低減、濡らした布を首に巻きつける体感温度低減、スーパークールビズ向けのクールテックシャツなどの吸湿速乾機能による体感低減などがある。

小池さんが環境大臣だったころから盛んに行われ始めた「水打ち」イベントは、気温を2℃下げる効果があるという。涼を得たという見た目もあるのだろうが、これも気化熱による冷却効果である。
旧国鉄時代に新幹線の車両が見られた中央鉄道学園跡地に建設された「都立武蔵国分寺公園」には、風変わりな噴水がある。ミストが下から噴出して周囲が霧となる「霧の噴水」である。この中に入れば、びしょ濡れにならないで結構涼しいものである。
自然界では滝周辺が涼しいことはもちろんのこと、降雨の後に森林周辺の気温が低下するのは、葉っぱの水分蒸発による気化熱の冷却効果である。

産業用では、冷蔵庫や冷凍庫を冷却する冷凍機において冷媒の凝縮熱を、水冷式の冷却塔で放熱している。この水冷式凝縮機は空冷式よりも効率的で大容量に向いている。
空冷式でも、夏場だけ水を噴射して気化熱の冷却効果で効率を上げる方法もあるが、使用する水質と周辺空気の質によっては、放熱管にダメージを与えかねないので、実施時は注意が必要である。
節電に合わせた報道で紹介されても良いと思うのだが、換気装置のトップメーカーである鎌倉製作所には、気化熱の冷却効果を利用した涼風装置がある。

コージェネレーションで発電割合が大きいガスエンジンに押され気味なガスタービンは、一番使用したい夏場に発電出力が低下する。気温が30℃まで上がると、約一割出力が低下する。
このため、吸気する空気を井戸水で冷却するなどの工夫をするのだが、低温の用水が得られない工場があったので、この気化熱の冷却効果を試みた。砂漠などでは良く活用されている技術なのだが、高温多湿な日本では無理と思われていたが、東京ガスの若手技術者と技術開発をおこなった。
大きな投資が不要な気化熱冷却の成果は、2003年5月の月刊誌「省エネルギー」に掲載された。その数ヵ月後、この技術を適用したいとの連絡が旭化成の姫路工場からあった。

ともあれ、節電対策として、気化熱はまだまだ活用出来るに違いない。

by ecospec33 | 2011-06-27 09:31 | ●エネルギー問題  

収監されたホリエモンから想起したスピンアウト者

11年前になるが、週刊誌にも次期トップと噂されていたセブンイレブンの取締役が辞職し、会社を設立した。
スピンアウトか更迭かは定かではないが、コンビニには欠かすことが出来ない弁当、総菜などの工場を、資本投下なしに傘下に収めるシステムを構築した人物であったという。
小平に本社のある「わらべや日洋」では鷹揚に振る舞い、古参に向い『今のセブンイレブンは自分だけが儲かるシステム、弁当など製造工場が儲からないシステムを作ってしまったね。』と話し、古き時代の両社の良好な関係を懐かしがっていた。
6月20日に収監された派手なパフォーマンスのホリエモンを見ていて、急にその人物を思い出した。当時、営業担当の役員から要請があり、その人物とは何度か接触したが、ホリエモンの匂いが彼を彷彿とさせたのである。実態が見えない「胡散くささ」という匂いであった。

彼は日配食品分野のサプラインチェーンの再構築を目指し、手始めに納豆をターゲットとして「あづま食品」に目をつけ、その製造工程を簡素化し、味の良い「冷凍納豆」という新事業を始めたいということで、経済力と技術力の援助を求めてきた。
セブンイレブンという傘の下でなら進展も期待できようが、その人物だけの創造力、企画力だけでは困難と判断し、お付き合いをお断わりした。
その関係が途絶えてから2年後、はたまたその会社から出資の支援があった。「味の素」が年間1千万円で食品開発の契約を結んでいるので、同様な契約をという趣旨であった。
過去の経緯を役員に説明し、これもお断りしたが、セブンイレブンの弁当工場の経営からは首尾よく撤退している「味の素」の大人の対応に納得する思いがした。

彼のその後は知る由もないが、ホリエモンのように創業企業家ではなくとも、企業内には彼のように新たなビジネスモデルを構築するような改革者が存在するかと思うが、食品企業という保守的な体質では、なかなかお目にかかれなかった。
有名なコンサルタント会社に勤めている知人に、『企業内の改革者は苦しい思いをしているだろうから、少数の彼らを見つけて支援するようにすれば、企業の実態も把握できるだろうし、改革を進めることが出来るだろう。』と話したことがあった。
セブンイレブンからスピンアウトした彼は楽しい思いもあったろうが、苦しい思いをしていたと勝手に考えている。

by ecospec33 | 2011-06-26 10:45 | ●その他社会問題  

世界自然遺産とラムサール条約湿地(小笠原諸島)

6月24日に、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が、小笠原諸島を「世界自然遺産」に登録することを決めた。
東京から南南東の太平洋上1000kmも離れていて、25時間の船旅でしか行くことが出来ないので、他の地域より固有の生態系を守るには有利だろうが、外部から影響を受けやすい脆弱な生態系でもあるのだろうから、そう容易でもないことだろう。
世界自然遺産とラムサール条約湿地(小笠原諸島)_e0223735_94854.jpg
日本では「世界自然遺産」としては、屋久島、白神山地、知床に続き、この小笠原諸島が4か所目の登録という。「世界文化遺産」として、法隆寺、白川郷、原爆ドームなど11か所が登録されており、平泉が1両日中に登録される予定とのことである。芭蕉も現代人も遠い昔の栄華を思い浮かべる地である。
『夏草や兵どもが夢の跡』
『五月雨の降り残してや光堂』 
世界自然遺産とラムサール条約湿地(小笠原諸島)_e0223735_944825.jpg
「ラムサール条約湿地」も環境を学ぶ上での常識として知っておいた方が良いだろう。
「ラムサール条約」は、特に水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を促進することを目的としており、日本では尾瀬、釧路湿原など37か所が登録されている。
北海道には何度も出かけたが、一度だけ釧路湿原近くの鶴居村で鶴の親子を見たことがあった。

by ecospec33 | 2011-06-25 09:02 | ●CSRと環境対策  

東京五輪招致の課題と賛否(オリンピック招致、スポーツ基本法)

1964年の「東京オリンピック」は、中野区立第七中学校の2年生の時だった。
これについては、それほどの印象が残っていないのだが、1959年に「東京国体」が開催された時、江原小学校近くの十三間道路を聖火ランナーが通過するということで、生徒全員が沿道で声援したことを鮮明に覚えている。
そのためか、オリンピックを礼賛する気持ちが薄いようで、2008年にNHKが東京都の排出量取引について取材に来た際に、排出量取引制度に反対したあげく、「オリンピックの招致活動費用を太陽光発電設置にまわした方が良い。」と持論を展開したことがあった。
今回の都議選で、東国原候補が全く同じ主張をしていたので驚いたのだが、多大な招致費用が不透明に浪費されるのであれば、高齢者福祉など優先順位の高いものへ支出した方が良いと、今でも思っている。

2020年の東京五輪招致が静かに進行している。
6月17日に「スポーツ基本法」なる法案も制定し、スポーツ振興は国家戦略の一つとなった。
私の妹は日本トランポリン協会で活躍し、石川県で市民スポーツの振興を目的にしたNPOを立ち上げており、この法案の制定には大いに賛同しているに違いないと思うのだが、この法案が時代とともに曲解され、スポーツに疎い国民、特に私などは非国民扱いされかねない危惧も抱く。
この五輪招致に関し、新聞各社の社説が出そろった。
読売は当然のように「復興の証しに聖火を灯したい」と大賛成、産経は「今度こそ国一丸で実現を」と賛成、日経は「東京五輪を実現するためには」と実に控えめな論調、朝日は「東京五輪―都民は望んでいるか」と反対というところだ。

2020年の日本は、東日本大震災からの復興を果たしたとしても、大都市東京への一極集中問題、過疎と高齢者福祉問題、人口減少問題など、不透明で多難な問題が解決されないままの時代なのだろう。
国民の理解、支持を得られなかったことが、2016年の五輪招致の失敗の一因と言われている。2020年以降の明るい国家の姿を明確に出来ない限り、再度の失敗となりうるだろう。
首尾よく招致できたとしても、1964年の東京オリンピックは、戦後からの日本の復活、復権という一時代を照らすエポックメイキングな出来事であったと思うが、2020年のそれは一過性の出来事に終わるような気がしてならない。

by ecospec33 | 2011-06-24 10:16 | ●その他社会問題  

野川を下って深大寺、神代植物園水生公園へ

昨日22日の夏至は雨季の晴れ間となり、関東各地で35℃を超える猛暑日となった。
その暑さの中、武蔵野公園から野川公園を野川に沿った道をママチャリで下り、深大寺近くの神代植物園の水生公園に向った。
自宅から8kmほどの距離を20分程度で着いたが、花菖蒲は思ったほどではなかった。明治神宮の菖蒲園が見頃だと報道されたので期待したのだが、以前よりも整備が行き届いていないという感じであった。
それでも、この水生植物公園は日本的な里山風景で、清流が流れ、オニヤンマとシオカラトンボが飛んでおり、真夏を思わせていた。
野川を下って深大寺、神代植物園水生公園へ_e0223735_1134527.jpg
同じ道を戻ったが、水車小屋付近で青大将を見つけて急ブレーキをかけた。と同時に、蛇は草むらに戻っていってしまった。5月末から3回目の青大将との出会いであった。一度は自宅前、二度目は野川公園の自然観察園沿いの小道である。一度目が1.5m弱、二度目が2m弱、今回が1m強で一番小さかった。今回も写真を撮れずに逃げられてしまった。
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6月16日に北陸地方が、また21日に東北地方が梅雨入りしたという。昨日は冷房を入れずにいられないほどの湿気だった。今日も雨空ながら朝から入れた。
電力不足への節電対応は、冷蔵庫とクーラーはともに新型で、フィルターの掃除は終えた。サッシもエコガラス仕様、白熱灯をなくし、日差しを抑えるシートを広げる算段はしているし、太陽光発電は屋根の向きが悪いし、これ以上はやりようがないようだ。
昨日は、東京電力管内は予想を超える電力需要であったが、節電の効果が出ているらしい。それでもだめならば、家庭だけに限っての1時間程度の計画停電は許容できると思うので、大停電を起こす前に、早めに警告を発してもらいたいものである。

by ecospec33 | 2011-06-23 11:37 | ●季節の変化と日常生活  

CSRと石原都知事(帰宅難民、JR、核保有、軍事政権、徴兵制)

食品企業で環境対策室長であった数年間は、CSRへの業務の拡大を図り、環境対策室からCSR室を分割独立させることに腐心した。
それぞれの企業によってCSRの組織、役割が異なるが、CSRが「企業の社会的責任」だけと勘違いされている方もおられるようだ。
文字通り、CSRはCorporate Social Responsibilityであるのだが、消費者の社会的責任(CSR: Consumer Social Responsibility)、市民の社会的責任(CSR: Citizen Social Responsibility)をも表している。

このようにCSRを明確に認識したのは、数年ほど前の容器包装に係る座談会での、ある大学教授の発言だった。
「容器包装廃棄物問題では、EPR(拡大生産者責任:Extended Producer Responsibility)とPPP(汚染者負担原則:Polluter-pays Principle)という一対の概念がある。CSRも企業と消費者の社会的責任という一対の概念があり、持続的な社会を構築するためには、どちらも協調すべき概念と言える。」

3月11日の東日本大震災における帰宅困難者問題で、3か月以上経過した6月20日になってJR東社長が駅の閉鎖と乗客の構内締め出しに関して、石原都知事に陳謝した。
JR東日本には、乗客の安全を最優先させるというCSRから言い訳があるのだろうが、乗客の求めるCSRでは許されないことだったように思う。
かつて、本社の「環境マネジメント・マニュアル」を作成するため休日出勤していた当日、帰り支度をしていた矢先に地震が発生し、部下ともども数時間、山手線の運転再開を待ったことがあった。その部下は、東日本大震災の当日もJRが止まり、車道まで広がった歩行者の中、数キロ先の地下鉄駅に向かい、地下鉄と私鉄を乗り継いで翌朝帰宅したと聞く。
JRは私鉄より地震対応が緩慢なことは確かで、石原都知事の本件に関する発言は乗客、市民を代表して正しいと思っている。

一方、陳謝を受けた当日に石原都知事は、「日本は核を持たなきゃだめですよ。・・・日本が生きていく道は軍事政権をつくること。・・・徴兵制もやったら良い。」とも発言している。
ロシアと国境を接するフィンランドも徴兵制なのだが、ちょうど私が出張していた時に、知人の息子が入隊して行った。危機感はなく、ごく当たり前の涼しげな光景であった。また、私の甥は高校時代に海外留学し、大学では2年間休学し自衛隊に体験入隊した。まさに徴兵制を体験したのだが、その間で、生活する姿勢、態度が大人に成長したと思っている。
兵役により、市民としての社会的責任が育成されるとは思うが、「韓国が徴兵制だから急激に発展している。」などと安易に結び付けてはいけない。これまで、「軍事費を抑えたから、徴兵制がなかったから、日本は栄えた。」とバブル前には言ってきたのではないか。
石原都知事は施政者としてCSRの原則を学んでもらいたいものである。

by ecospec33 | 2011-06-22 09:41 | ●その他社会問題  

電力供給不足に電力貯蔵の効用(NAS電池、日本ガイシ)

2008年にある工場でNAS電池(ナトリウム・硫黄電池)の設置を検討した。
電力会社とメーカーである日本ガイシが現地調査をしてくれたのだが、その当日、本社に突然電話がかかってきた。その日本ガイシの技術担当者が「また一緒に仕事がしたいですね。」と懐かしい声で話しかけて来た。
数年前に用水処理など環境事業部門を切り離したが、2000年当時は、日本ガイシは焼却施設を手掛けていて、数社と競合させた上で選択した企業であった。
その焼却施設は食品企業の工場として最大規模のもので、ダイオキシン対策はもちろんのこと、熱回収装置も施されたエネルギー効率を高めた非常に完成度の高い設備であったが、連続操業に課題があった。これを、電話をくれた彼、設計者である若手技術者と解消したのである。
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日本ガイシは愛知県にある優良企業で、ノリタケ、TOTO、INAXなど世界最大のセラミックス企業グループである森村グループの一つである。私としては、手堅い仕事をする企業との印象が非常に強い。
NAS電池は東京電力と日本ガイシが、NEDOの支援のもとで開発した二次電池(充電式電池、蓄電池)である。このNAS電池の設置に対し、瞬停(瞬間停電)、電力負荷平準化、ピークカット、非常用電源としての経済的なメリットが少なかったため、残念ながら、彼とは仕事が出来なかった。

東京電力の技術営業は、2000年以降何度となく売り込みに来ていたのだが、柏木孝夫東工大教授からも「電力貯蔵はエネルギー増大につながることを、忘れてはならない。」と直接ご指導いただいたこともあり、電力貯蔵には懐疑的であったので断り続けていた。
NAS電池はコンパクトで高効率と言われているが、放電(電池から電気を供給)が吸熱反応であるため300℃の加熱が必要であり、約80%である。
また高額であることがネックである。東京電力がその開発費を負担しているということで、東京電力とその他の電力会社とは価格が異なっていて、東京電力管内の方が安価であり、15~25万円/kWであったと記憶している。
またナトリウムを使用しているため消防法の適用も受けるので、離隔距離を取った十分な設置スペースが必要である。
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2006年にアサヒ神奈川工場、キリン取手工場では、それぞれ1,000、3,000kWを、2007年にホンダ四輪開発センターでは最大級12,000kWを導入している。電力負荷平準化でコージェネレーションとの相性が良く総合効率を上げることが出来ると思うのだが、エネルギー供給の競争相手である電力会社とガス会社が頑ななため、進展は少ないようだ。
発売から10年近くが経過し、風力発電、太陽光発電など自然エネルギー(再生可能エネルギー、グリーンエネルギー、クリーンエネルギー)発電の揺らぎを防止するなど、その適用はますます増加している。
この6月17日に東北電力は、原発停止対応として電力供給強化のために、能代火力発電所構内に大容量8万kWのNAS電池を設置する計画を発表した。電力需要が低い深夜のうちに蓄電しておき、需要が高まる時間帯に放電する仕組みである。
電力供給不足の節電対策として、キリンビールは取手工場のNAS電池を最大限活用するという。
ともあれ、高質な技術力と技術者が時代の要求に沿って開花していくことを期待したいと思う。

by ecospec33 | 2011-06-21 09:56 | ●エネルギー問題