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燃料高騰によるコージェネレーションの窮地 (モノジェネ、オンサイト発電=自家発電)

2004年前後だったと記憶しているが、小規模な工場長から「年間約300万円のコスト削減になるから、ディーゼルエンジンの発電機を入れたい。」と要望があった。古くから受変電設備の保守検査会社としてのお付き合いはあったのだが、そのオンサイト発電事業者のエネサーブ㈱からも直接の営業も受けた。
コージェネレーション(発電と排熱利用)ではなくモノジェネレーション(発電のみ)であるから、エネルギーの使用合理化にもならないため導入する気にもならなかったが、その提案書の内容を精査するとコスト削減効果も微妙なところであった。このため、その投資は中止することにしたのだが、納得のいかなかった工場長とは前からも相性が悪かったが、さらに悪化した関係となった。

このディーゼルエンジン・モノジェネ事業を推進していたエネサーブは、その後コージェネ事業も進めているからと役員が来社されたが、これまでの省エネ性と環境性を軽視してきた企業の基本姿勢に信頼がおけないという理由から断り続けた。このエネサーブは燃料高騰によって2007年に経営が傾き、このオンサイト発電事業だけは関西電力が引き継いだと聞いた。その理由を関西電力の営業に問いただしたが、明確な回答はなかったかと思う。

東京電力の子会社であるマイエナジー㈱もオンサイト発電事業を進めており、2004年前後に営業で来社されたが、大型電源事業を志向する企業に分散型電源事業を推進する本気さが見えないので、お付き合いを断ったことがあった。このマイエナジーも燃料高騰によって2006年に事業から撤退した。
一方、ほぼ同時期に燃料高騰を理由に、私が導入を推進した多くのコージェネの内、関係会社に独自に設置したディーゼルエンジンのコージェネの運転を中止させた。

現在も続く燃料高騰は、モノジェネは当然のことながらコージェネといえども、その安定的な運転の継続を窮地に追い込んでいると考えている。
今回の原発事故により原発という大規模電源の脆弱性が証明されたのであるから、原発を継続するための国庫支出の一部を、有用なコージェネなどの分散型電源を維持に活用することが必要と思っている。

なお、この電力供給不足に対し自家発電設備を求めた事業者が、エネサーブが撤退し撤去した発電機を購入していると聞いた。夏場の緊急避難の使用なら少々の増エネ、CO2増も許容されるだろうが、早晩、有用なコージェネに取り替えることが必要である。

by ecospec33 | 2011-04-30 20:39 | ●エネルギー問題  

分散型電源としてのコージェネレーション(新エネルギー>再生可能エネルギー>非化石エネルギー)

2006年2月にある研究会で講演することがあった。その研究会が終わって、その研究会の会長である農工大の柏木孝夫教授から「君の会社ではコージェネレーション導入の状況はどうか。」と聞かれたので、「先ほど講演したとおり、6000kw級の大型ガスエンジン・コージェネレーション3基を設置したので、主要な工場には完備したつもりです。」と答えたところ、彼は「今後コージェネレーションの進展は難しいだろうから、それは良かった。」と意味深長な言葉を返してきた。

その時はまだ気が付かなかったのだが、総合エネルギー調査会新エネルギー部会では、「新エネルギーの概念」の見直しが開始されていたのである。
新エネルギーは供給サイド(太陽光、風力、バイオマスなど)と需要サイド(天然ガスコージェネレーションなど)に分類されていたが、新エネルギーを再生可能エネルギー(Renewable energy)のうち、その普及のために経済的な支援を必要とするものに限定し、これまでの需要サイドを「革新的なエネルギー高度利用技術」とし新エネルギーから除外する審議が進んでいた。
このため、コージェネレーション導入に対する経済的な支援がなくなる可能性が高いということであったようである。
この2年後の2008年に、審議会に基づいて「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」が改正され、太陽光発電、風力発電など10種類の再生可能エネルギーが新エネルギーとして指定された。

さらに、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(「新エネ法」)」の上位法である「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律(「石油代替エネルギー法」)」についても、施行はされてはいないが、早晩「非化石エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」と題名を変更することになっている。
このため、天然ガスコージェネレーションは新エネルギー部会の審議会から消失し、まったく孤立無援という状況に陥るだろう。

今回の原発事故によって大規模電源の脆弱性が明らかになり、それに続く電力供給不足による需給逼迫によって、コージェネレーションが分散型電源として大きな存在感を示している。
しかしながら、燃料の高騰などによって、さらなる普及には経済的な支援が必要であることは言うまでもないことである。
経済産業大臣が「今後のエネルギー政策に関する有識者会議」(エネルギー政策賢人会議)を設置すると表明している。原子力発電事故のみならず、大規模電源と分散型電源のシステムの方向性についても論じてもらいたいと思っている。

by ecospec33 | 2011-04-29 20:46 | ●エネルギー問題  

CO2排出原単位(排出係数、全電源、マージナル電源、火力平均、発電端、送電端、Stora Enso)

昨日、「日本の2009年度の地球温暖化ガス排出量は、景気低迷による落ち込みの影響もあり、京都議定書の目標をクリアした」と報道されている。「2008年度~2012年度の第1約束期間を通して、1990年度比6%削減の目標をクリアできる見込み。」ということだが、その実は、森林吸収と海外からの排出枠購入による低減に因っている。

ところで、東京電力のCO2排出原単位は、この原発事故のために、2002年の原発点検データ改ざんによる原発停止と2007年中越沖地震による柏崎原発被災と同様に、約1.3倍は増加することが決定的である。
この結果、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)による報告のある温室効果ガス排出算定に関し、東京電力のCO2排出原単位を使用する、すべての事業者の温室効果ガス(≒CO2排出量)も確実に増大することになった。
経団連の環境自主行動計画の地球温暖化対策は、CO2排出原単位に発電端の全電源平均(デフォルト値)を使用しているため、2004年度と2008年度のフォローアップ結果がそうであったように、2011年度版、2012年度版は、「・・・一部の原子力発電所の長期停止にともなう電力のCO2排出係数(原単位)の悪化による影響を除いたCO2排出量は・・・」という注釈がなされることが確実になった。

これを当たり前と見るのは軽率な判断である。事業者の地球温暖化対策の努力は、注釈なしに論じられなければならないと思っているからである。
経団連の自主行動計画に参画している日本ゴム協会の関係者が、「事業者の努力、コージェネレーションなどの効果を明確に表すために、経団連の事務局に了解してもらい、自主行動計画の報告にはCO2排出原単位は受電端の火力平均を使用することに変更した。」と話した。関係者とは、㈱ブリジストン環境対策元室長で3年ほど前の話である。
電力会社は、送電ロスの削減、CO2排出が少ないと言われる原子力発電の稼働増加、自然エネルギーの購入などの自助努力を、電力会社以外の事業者は、エネルギーの使用合理化、都市ガスへの燃料転換などの自助努力を、それぞれが明らかにすれば良いのであると思う。また政府、行政は、太陽光や風力などの自然エネルギーの推進、コージェネレーションなどの高効率な分散型電源の推進などの自助努力を明確にすれば良い。これには、原子力発電の推進も入るかもしれないが、将来的に国民の信頼が得られないだろうから、無駄な努力だ。
その場合、電力会社は受電までの責任を負っているのであるから、受電端の全電源平均のCO2を、電力会社以外の事業者は受電端の火力平均CO2原単位を使用して、自助努力を明確にすれば良いと考えている。
さらに言えば、電力会社以外の事業者は火力発電を持ち得ても、原子力発電所を持ち得ないのであるから、購入する電力の火力発電のCO2排出原単位で算定すること、また受電した時点の受電端原単位で算定するのが妥当と思っている。
なお、発電端とは発電所の送電前の時点を言い、受電端とは送電され受電された時点を言う。受電端では発電端と比べ、送電時の送電ロスが算入され、CO2排出原単位が約10%増加する。

これに関して、分散型電源を推進したいガス会社(日本ガス協会)は火力発電がマージナル電源であると主張し、分散型電源を拒絶し大規模集中電源のみを志向する電力会社(電気事業連合会)は原子力、水力も含めた全ての発電がマージナル電源であると主張し合う論争が、長い間続いている。
しかしながら、経済産業省、環境省及び農林水産省が共同で事務局をしている国内クレジット制度を円滑に運営する「国内クレジット認証委員会」が、2年ほど前にこの論争に一定の結論を出している。
「小規模電源の導入等により代替される系統電力の排出係数について」の中で、原子力、水力は非限界電源であり、火力こそが限界(マージナル)電源であるとして、小規模電源を導入する際のCO2排出係数として、受電端の火力平均を使用することを認めている。
ちなみに、次が算定されたCO2排出係数である。
・全電源発電端:0.407(kg-CO2/kWh)
・全電源受電端:0.453(kg-CO2/kWh)
・火力受電端 :0.55 (kg-CO2/kWh)
今回の原発事故と電力供給不足を契機に、東京電力も分散型電源の必要性を痛感しただろうから、これ以上の論争はしないだろうし、するべきではないと思う。

余談となるが、フィンランドの世界最大級の製紙・製材会社であるStora Enso(ストゥラ エンソ)社は、その関係会社が原子力発電所を所有し、その電力を購入している。このため、CO2排出量が少ないと「Sustainability Report」の中で記述している。
数年ほど前に、東京電力の営業担当者にこの話題を提供し、「原子力発電がCO2排出少ないというなら、原子力発電の電力のみを環境価値という価格を加えて売ってくれないか。」と本気で投げかけたことがある。その一週間後に、Stora Ensoの実態を調査した営業担当は、「そのようなことは出来ません。」という真顔で回答してきた。
しかしながら、将来的に電力会社が牛耳っている発電と送電の事業が分割されれば、発電会社は事業者の要望によって、個別の電源に相当する電力を売却できる時代になることもあり得ることであり、これによって、事業者の地球温暖化防止の自助努力がさらに明確になることは確実である。

by ecospec33 | 2011-04-27 18:19 | ●エネルギー問題  

野川を下り深大寺へ (武蔵野公園、野川公園、調布飛行場)

ママチャリで、深大寺まで30分ほどである。
野川に沿って、武蔵野公園、野川公園と下って、府中飛行場、天文台が横に見えたら、すぐである。

武蔵野公園の桜はほとんど終わったが、八重桜の関山がまだ見頃だ。野川公園は柳の薄緑がよい。
この日曜日は、子供たちが野川に入ってオタマジャクシすくいで賑わっていたが、平日はカメラマンとバードウォチャーのご高齢者が目立つ程度である。
毎年のことだが、水量が減って小川のようなところが目立ってきたが、淵にはコイが元気である。
川沿いの菜の花も見頃になった。

深大寺は浅草寺に次ぐ東京の古刹だが、昨年の「ゲゲゲの女房」の舞台となったことで、参拝者が増加した。今日も観光バスが来ており、そば屋さんには行列ができていた。
こちらも、ご高齢の方ばかりだ。
今日は被災から77日法要ということで、初めて深大寺本堂に上がって、お焼香をさせていただいた。

まだ高齢とは言えないが、そうならない前に、暖かくなったので、せいぜいママチャリでも続けたいものだ。

by ecospec33 | 2011-04-26 18:34 | ●季節の変化と日常生活  

ESCO事業者の選定 (エスコ、エネルギーアドバンス)

2003年に、日本で初めて創設したというESCO事業者の創業社長の来訪を受けた。
ESCO事業者はエネルギーコスト削減などを目的に、エネルギー(CO2)を削減する設備などを調達し、相手企業の敷地に設置し、その維持管理を行う事業者のことであり、その削減できたコストを、ESCO事業者と相手企業とで分かち合うことで成り立っている。

同業他社の関東にある工場でコージェネレーションを入れ、その排熱を排水処理の汚泥発酵に利用したという実績があったので、その社長は何度も来訪した。その他社での実績を調査してみると眉唾な実態が見えてきたが、社長の押しが強いので、ある工場に連れて行き、工場長とも面会させた。
都市ガスが来ていない工場なのでコージェネを導入しても、技術者にとっては面白みに欠ける提案であったが、社長は「排熱利用で新しいことをやりましょう。新しくなくても、新たな名前をつけて新鮮さを印象づければ、補助金を取れますから。」と言い出す始末であった。その場では平静を装ったが、補助金狙いの「気味の悪さ」に、それ以降の交渉は取り止めにした。
社長は朝日新聞日曜版の一面を飾ったほど時代の寵児となったが、最後にある会合で見かけた2006年末には、エネルギッシュさと快活さを失っていた。その直後に退任したと聞いた。

2009年になるが、私の後任とその上司が、廃棄物を有価物に変えて廃棄物費用を削減するというESCO的な提案をNPO法人から受け、相手の話に乗ってしまった。
私はそのNPO法人とは適度な距離でつきあってきたが、私が会社を辞したので、うまく入り込んできたのだと思う。この噂を関係者から聞きつけたので、関係する役員にメールを入れて、問題がある危うい計画なので交渉を打ち切るよう促した。
幸いにして、会社のトップが計画を中止させてくれたので安堵したが、NPO法人と設備メーカーそれにリース会社が結託して、農水省の補助金を狙った「気味の悪い」事業内容であった。
お世話になった農水省の元環境対策課長からも、「元教授などを会長にしているNPO法人は公正さを売りにはしているが、裏に設備メーカーがいると考えてよい。補助金の会計監査時に問題が発生しうる。」と注意喚起されていた。

様々なESCO事業者がいるだろう。見極めるには直観と少々の経験が必要であろうが、「初対面でWIN―WINの関係と言い出すような相手は信用するな。うまい話には必ず裏がある。技術力のないESCO事業者に明日はない。」と思った方がよいだろう。
東京ガス子会社の㈱エネルギーアドバンスは技術力があり、信用力も絶大である。都市ガスへの燃料転換、分散型電源の代表であるコージェネレーション、蒸気の高度利用、食品バイオマスの利活用など、数多くのコスト費用削減の設備計画を協力して実行に移すことが出来た。

by ecospec33 | 2011-04-24 18:42 | ●エネルギー問題  

「CSRレポート」への転換(環境報告書、サステナビリティレポート、ガイドライン、GRI)

ここ数年で、どこの大手食品会社も「CSRレポート」を発行するようになった。
環境への取組の説明責任を果たし、社会から信頼を得る一手段である「環境報告書」を他社より早く発行していこうという競争意欲をかきたてた時期が2000年前後であり、「環境報告書」から「社会・環境報告書」、さらに「CSRレポート」へと転換した時期が、私が編集を担当していた2004年~2008年の5年間であったと思う。
企業の社会的責任であるCSR(Corporate Social Responsibility)については、2004年に経団連が「企業の社会的責任推進にあたっての基本的考え方 」を公表してから、各企業はCSRの部署を新たに組織し、または組織横断的なチームを結成したこともあり、「CSRレポート」への転換が促されたのである。

2003年に環境省は「環境報告書ガイドライン」を策定し、報告内容の標準化が図られたが、国際的な動きはもっと早く、国連環境計画(UNEP)の公認協力機関であるGRI(Global Reporting Initiative Guideline)は、2000年にCSRに関するレポートのガイドラインを策定している。
キリングループは環境省のガイドラインの策定にも関与していたが、早くからGRIに則した「CSRレポート」への転換を図り、食品会社にとって模範とすべき報告書であった。
私は部下に対し、キリングループの「経済面、社会面及び環境面のトリプルボトムライン」を参考とするよう指導していたので、おのずと環境から幅の広いCSRへと転換していき、その報告内容にあった「CSRレポート」へと表題も改めていった。
余談であるが、私は東京理科大学で環境に関する「装置工学概論」を6年間講義していたが、毎年キリングループの「CSRレポート」を教材として利用させてもらった。

環境対策を専任していた担当者は、この「CSRレポート」時代に反発している部分もある。
昨年末のエコプロダクト展で、大手乳業メーカーの知人に「CSRレポート」一冊をお願いしたところ、「乳業と製菓を一緒にまとめたこともあるが、昔ほど内容は面白くないよ。」と言いながら手渡してくれた。知人が言うとおり、環境対策のページが約3分の1に圧縮されて、環境対策の実態が掴みにくくなくなったため、参考とならないのである。このため、「CSRレポート」の他に、環境だけを取り出した冊子を発行する大手企業もある。

ヨーロッパの企業では、業績などの「Annual report(年次報告書)」と、CSRに関連した「Sustainability Report(持続性報告書)」を発行するのが常識のようだが、米国の企業は、私が知る限りでは発行していなかった。
キリングループは、2010年版からレポートの名称を「CSRレポート」から「サステナビリティレポート」に変更した。これも大手食品企業の世界戦略の一環だろうか。

by ecospec33 | 2011-04-23 10:36 | ●CSRと環境対策  

原子力発電容認の背景 (新エネルギー部会、コージェネ、ESCO、補助事業)

今夏の電力需給逼迫に対し、火力発電再開で電力供給量が増大されたことから、政府は節電の目標を一律15%削減へと、やや緩和させる方向である。
この件は、経済産業省の所管であろうが、一方、環境省は、風力発電の余地が原子力発電の約7~40基分に相当すると試算し、自然エネルギー導入を推進したい意向のようである。

我が国のエネルギー政策は、経済産業省資源エネルギー庁が所管する総合資源エネルギー調査会の審議を反映している。自然エネルギーに関する政策である、RPS法、太陽光発電買い取り制度などは、新エネルギー部会が審議している。
この審議会の結論と前述の環境省の風力発電の試算とは、大きな隔たりがあるかと思う。
今年の2月5日に、家電エコポイント制度は「二酸化炭素(CO2)の削減効果は年間400万トン」と政府がうたっていたが、実態はその6分の1しかないことが判明し、2年前に算定した資料が、環境省内で廃棄されていたとの報道がなされた。
そのような過去のある環境省の試算を信用してよいのだろうか。

最近まで新エネルギー部会長を務められた柏木孝夫東工大教授は、「原子力発電の新規建設は難しいだろう。・・・大規模集中電源(原子力、火力など)と分散型電源(太陽光、風力、コージェネなど)を適材適所で使い分けるエネルギーミックスが最適解なのではないか。」(週刊ダイヤモンド4/16)と述べている。同じ誌面で、原子力反対の立場の有識者は「・・・御用学者のすべての刷新・・」を叫ぶが、柏木教授の談話こそが、日本のエネルギー需給実態に則した回答のように思う。

かつて、新エネルギー部会の下部委員会である「コージェネレーション導入調査小委員会」の一委員として参加したことがあるが、その委員長であった柏木教授はESCO事業の推進を挙げていた。
今でこそ当たり前になったが、1999年当時にESCO事業の概念を披歴する有識者は皆無だった。
CO2削減が省エネにとって代わる中で、その投資の回収期間が延び、関連の設備投資が困難になりつつある中で、新たな手段を見出した柏木教授の先見性は見逃せない。
その後、投資期間が6年程度の省エネ=CO2削減の設備投資案件について、私はこの手段を活用させていただき、大きな成果を得ることが出来た。

ただし、コージェネレーション導入の最近の展開は、はかばかしくない。都市ガス含めた燃料の高騰と政策的な補助事業の打ち切りによるものである。
環境省の「温室効果ガスの自主削減目標設定に係る設備補助事業」(自主参加型国内排出量取引制度)といった補助事業は止めて、経済産業省は分散型電源の拡充を前面に出してもらいたいと思う。

by ecospec33 | 2011-04-22 11:07 | ●原発問題と電力需給逼迫  

環境ISOの認証登録から自己宣言へ (EMS、ISO14001、EMAS、JAB、自己宣言)

環境マネジメントシステム(EMS)を「ISO14001」認証登録と同一視する向きもあるが、それは大きな間違いである。
勤務していた乳業会社では、1991年に環境対策室が設置され、環境マニュアルを策定し、1993年から独自の環境マネジメントシステムで自社、関係会社の工場を管理していた。
1996年にISO14001認証登録が開始されたことから、1999年にモデルの2工場で登録を開始し、数年経過して自社工場すべてが環境ISOでの環境マネジメントシステムに切り替えた。
その切り替えに出遅れた関係会社の工場は、2006年から環境省が策定した「エコアクション21」の認証登録を進めた。

日本適合性認定協会(JAB)のホームページには、国別の認証登録組織数が掲載されており、日本が他国を圧倒していることがわかる。EU諸国は環境ISOでなく、EMAS(Eco-Management and Audit Scheme)での環境マネジメントが行われていることは良く知られていることであるが、登録が多いドイツでも日本の10分の1以下である。
ところが、この日本の認証登録組織数が頭打ちから低下傾向にある。

環境ISOを維持するには大きな経費が必要なことから、本社の認証登録の3年後の更新時期に合わせて全工場を本社が統一管理するマルチサイト化を進め、さらに2年後には全数審査からサンプル審査する認証機関へと変更させた。これによって、維持経費を年間1000万円削減することができた。
このように工場、事業所などのサイト数は増加しても、マルチサイト化によって登録組織数は減少するものと考えられる。

しかしながら、それだけが原因ではないと考えている。
私が担当した数年間を見ても、3年という1区切を3回迎えた工場ばかりでなく多くの工場で、外部審査の指摘内容は浅く広くというジレンマに陥っており、審査機関は環境に係るコスト削減を進めるコンサルタント業務をする対応を見せつつあった。このため、私はJISに明確に記載されている「環境ISOの自己宣言」方式への切り替えを一時は意識した。
結果的には、「認証登録」という“ブランド”は得難いものと判断し、認証機関の変更に留め、新たな観点から審査してもらうことにした。

私ばかりでなく、このように考えている担当者は多いはずで、環境ISOの認証登録から自己宣言への切り替えが着々と進行していることが、登録組織数の減少の原因と考えている。このことは、審査機関にとって経営上由々しき問題であろうが、“ブランド”がなくても日本の企業が環境保全に対する取り組みを軽視するなどといった、本質的な問題は生じないと思っている。

by ecospec33 | 2011-04-21 19:11 | ●CSRと環境対策  

自然エネルギー導入について (バイオマス利活用、グリーン電力証書、日本自然エネルギー、柏木孝夫教授)

勤務していた会社で新工場を数年前に建設した際に、環境良好性をアピールする必要があることから、太陽光、風力、水力という自然エネルギーの導入を推進した。
新工場は海に面した埠頭に立地していることから、大規模な風力発電を設置したいという会長の強い要望もあったが、風況から風力発電に適していない気象条件であること、また採算性がないことなどを理由に、小型のものを導入した。その他の自然エネルギーも、数か所の照明に利用できる程度の小さなものであったが、地域の子供たちへの環境教育と他社への波及効果を狙って導入を推進した。

一方、この新工場の建設が開始されると同時に、グリーン電力証書を発行する日本自然エネルギーと交渉を重ねた。
日本自然エネルギーは、東京電力の関係会社で、担当者の中には原子力発電所と火力発電所を経験した人物もいた。彼らと協議して乳業工場に関連したグリーン電力を獲得することを企画し、北海道に出向き、乳牛の糞尿を発酵して得たメタンを燃料として発電している酪農家に、その電力の環境付加価値を売却してくれるよう交渉した。
これら酪農家のバイオマス設備は、そのほとんどが国、北海道、町などの補助金で建設されており、酪農家が独自で建設しても経済性を追求できるものではない。
北海道庁の研究案件ということで無駄足だったところもあったが、新工場の建設と同時に、数軒の酪農家のグリーン電力証書を得ることができた。
ただし、このグリーン電力は、新工場の使用電力量の5%程度にしか相当しなかった。

また、この新工場の建設が開始される前から、乳業工場のバイオマスの利活用の検討も開始していた。これについては、10年ほど前のゴルフ帰りに、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長の東工大柏木孝夫教授から、食品企業なのだからバイオマスに取り組くよう勧められたことが契機となっている。
市乳工場の回収液を利用したメタン発酵のテストをクボタさんの協力で進め、また抽出後のコーヒー粕から熱回収するボイラーのテストをタカハシキカンさんの協力で進めていた。
最終的には、東京ガスの子会社であるエネルギーアドバンス(ENAC)さんの技術支援を得て、NEDOとの共同研究案件として、新工場で計画を実行に移すことができた。
この生産工程へ送気する蒸気を得るバイオマス利活用は、新工場で使用燃料エネルギーの50%以上を削減することができた。

新しいことを進めるには社内に様々な障害があり、自然エネルギーの導入も容易ではないし、その効果も大きいとは言えない。しかしながら、原発事故の今の時期にこそ、企業も率先して取り組まなくてはならない案件であることを認識すべきと思う。

by ecospec33 | 2011-04-21 14:14 | ●エネルギー問題  

グリーンエネルギーの環境付加価値と価格 (自然エネルギー、バイオマス利活用、グリーン電力証書)

勤務していた乳業会社の新工場を建設した数年前に、環境良好性をアピールする必要があることから、太陽光発電、風力発電、 水力発電、グリーン電力証書、バイオマス利活用といった考えうるグリーンエネルギー(自然エネルギー)を取り入れた。

太陽光、風力、水力までは誰もが考えるし、企画から実行までに1年程度しか要しなかったが、それ以外の自然エネルギー活用については、企画から実行までに数年を要した。
グリーン電力証書は風力が一般的なのだが、乳業に関連した酪農家のバイオマスのグリーン電力を選択することがキーポイントであった。
乳業工場のバイオマスは、生産工程から排出される回収液、コーヒー粕などがあるが、これを熱などに転換することが出来るかを判断することがキーポイントであった。

最後に述べたバイオマス利活用だけが、投資に見合う経済性を算定できたが、その他の自然エネルギーは経済性が成り立つとは言えなかった。
環境付加価値を価格に換算すると、グリーン電力証書でkwh当たり数円であった。CO2削減の価値は1円に満たないから、広報的な価値をどう見るかによって、廉価にも高価にもなりうる。
このことは、自然エネルギーの導入が、経営者の判断に大きく左右されるということではあるが、環境保全を推進する担当者は、信念をもって対処すべきと思っているし、そのようにやってきたつもりである。

by ecospec33 | 2011-04-20 06:38 | ●エネルギー問題