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カテゴリ:●エネルギー問題( 42 )

 

季節の変わり目と中国(尖閣諸島、反日デモ、雷、停電、選択遮断、コージェネレーション)

2年前の9月上旬に発生した尖閣諸島の中国漁船衝突事件の前後に、商社マンで中国に駐在している義兄と毎日のようにメールでやり取りをしていた。その中で「尖閣諸島」の言葉を入れたメールを送信したところ、そのメールだけが義兄に届いていなかった。中国はそのような統制国家であることを認識させられる出来事であった。

海外へのサイバー攻撃や国内での検索項目の削除などを実行する共産党独裁の国家なのだから、今般の反日デモがネットで呼びかけられた自主的な行動とされてはいるが、国家が反日デモを誘導し、また統制していることは間違いない。
世界的なベストセラーとなった自叙伝「ワイルドスワン」は、1960年代の文化大革命時に政治的に利用された紅衛兵が暴走し、経済と社会を停滞させたことを描いている。反日デモを国内政治と国際政治に利用する中国は、社会に自由があるかのように装ってはいるが、相変わらず民主化が遅れた前近代国家であることを示した。

ところで、一昨日18日の深夜に停電があった。夏の終わりの雷だ。めったに使用しない旧式なエアコンが点滅したが、新型は停電対策が施されているので問題なかった。
生産現場での停電は連続操業を停止させ、多大の被害を生じさせる。コージェネレーションを設置している工場では自立運転可能な場合を除き、停電によって過負荷となりコージェネレーションが停止する。この場合は「選択遮断装置」を設置して、重要でない設備だけを自動的に停電させ、コージェネレーションの停止を回避することによって、停電による被害を最小限に抑えることが出来る。
また、あるフィルム製造工場では雷の接近を感知し、あらかじめ手動で選択遮断を行っていた。

この「選択遮断装置」を設置するには、工場内の配電系統が適切に分割されている必要がある。従来からの配電が適切でないため、多くの工場にコージェネレーションを採用したが、これを採用できた工場は限られていた。将来的にも電力逼迫による電力制限令への対応策として、電力デマンドを保つためにも、この装置は有効であるようだ。

ともあれ、今週末22日は秋分の日で猛烈な残暑も収まる。季節の変化と同様に、毎年8月から9月にかけて、中国は日本に対し刺激を与えてくる可能性があり、注視する必要がある。

by ecospec33 | 2012-09-20 11:46 | ●エネルギー問題  

「原発ゼロ」の反発と評価(革新的エネルギー・環境戦略、国家戦略室、エネルギー基本計画、原発稼働ゼロ)

9月14日に「エネルギー・環境会議」が『革新的エネルギー・環境戦略』を決定した。これに対し、政界、経済界、原発関連自治体、原発反対派などから様々な反発がある。
第一の柱は、「原発に依存しない社会日も早実現」。・・・・
第二の柱が、「グリー ンエネルギ革命 の実現 」。・・・・
第三の柱は、「エネルギー安定供給」。・・・・
しかしながら、政府は新たな討論型世論調査などの国民的論議を加えて、良くまとめたのではないかと私は評価しており、民主党の選挙対策だけとは思っていない。
ちなみに、NHKの9月11日の世論調査結果では、『政府が新たにとりまとめるエネルギー政策に、将来、原発をなくすことを盛り込む方向となっていることを評価するか』に対し、『「大いに評価する」と「ある程度評価する」を合わせた「評価する」が65%で、「あまり評価しない」と「まったく評価しない」を合わせた「評価しない」を大きく上回りました。』となっている。
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原発の建設再開は容易に受け入れ難いが、これからの政府の役割は、原発事故に基づいた安全評価、原発再稼動、廃炉などに関し、原発ごとに「原発稼働ゼロ」に向けて2030年代までの具体的な道筋を示すことであり、また地震多発国における核廃棄物の中長期的な処理方法に対して、国民的な合意を得ることである。国際的な課題を根拠にして、原則を崩すような対応は容認できない。

自民党の総裁選候補者すべてが、この「原発ゼロ」を拙速と批判しており、自民党政権が総選挙で政権を奪還すれば、この『革新的エネルギー・環境戦略』を反故にすることは間違いない。
現政府がこれを基にしてより法的根拠の高い「エネルギー政策基本法」に基づいた『エネルギー基本計画』を閣議決定したとしても、改定は容易に可能である。
これを取りまとめた「国家戦略室」は、政治主導という流れの中で閣議決定で設置されたが、自民党政権下では「国家戦略室」を消滅させる可能性すらある。
政治が安定しないのであるから、官僚は長期的な展望をもった国家のための仕事はしない。

「これまで『エネルギー基本計画』を読んだことがある。」と言える国民は少ないだろう。政治家も少ないに違いない。
私は企業の立場からこれを読み、コージェネレーション、太陽光発電、バイオマス熱利用、省エネ対策など、国のエネルギー政策と合致しているかを確認しつつ、それを経済性と環境性の天秤にかけて実行してきた。また、これを読むことによって、新たな原発建設の不可能問題と核廃棄物の問題など原発行政の行き詰まりを知ることができた。

ともあれ、エネルギー政策に関心をもち、『エネルギー基本計画』を読む国民が増えることを期待したい。
それが、政財界、産官学の暴走を止めると確信している。

by ecospec33 | 2012-09-17 07:17 | ●エネルギー問題  

電力会社の成長戦略:オール電化社会の構築?Ⅱ(都市ガス化率、ガスヒートポンプGHP、COP、APF)

電力会社の成長戦略の一つが「オール電化社会の構築」であり、その戦術上の武器がヒートポンプ給湯器;エコキュート、IH調理器などの電化厨房、ターボ冷凍機など高効率なヒートポンプと蓄熱、電気自動車と急速充電装置などである。

本年2月中旬にビッグサイトで開催されたHVAC&R JAPAN 2012(ヒーバックアンドアールジャパン)冷凍・空調・暖房展では、一般財団法人日本エレクトロヒートセンターと同様に電力会社が運営している、財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターがヒートポンプと蓄熱システムの普及拡大を図る展示をしていた。
ちなみに、このヒートポンプ・蓄熱センターに、勤務していた大手食品会社に感謝状を贈呈させるよう働きかけたが、それまで宿敵である都市ガスを使用するコージェネレーションの導入が顕著であったために、感謝状を贈呈してもらうまで数年かかるほど難儀した思いがある。

ヒートポンプ・蓄熱センターの倍以上の展示スペースを割いていたのが、一般財団法人日本ガス協会と東京ガス、大阪ガス、東邦ガスである。
ヒートポンプ・蓄熱センターが『ヒートポンプ・蓄熱システムは電力需要の少ない夜間に水や氷に熱を蓄え、昼間の空調に使うシステムです。ピーク電力の削減と省エネルギーを同時に達成できます。』としてやや控え目の展示に対し、日本ガス協会は『震災以降、ガス空調は電力ピークシフトに貢献するシステムとして改めて注目を集めました。・・・節電対策、エネルギーセキュリティの向上ならびに低炭素化社会に寄与する最新のガス空調(GHP、ナチョラルチラー)システムについて・・・実機を展示・・・』として、華やかな展示であった。

原発安全神話崩壊による電力需給逼迫(ひっ迫)という中で、ユーザーとしてエネルギーセキュリティを配慮すると、電力会社が目指す「オール電化社会」を選択することは出来ない。ここが都市ガスの出番である。
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「電力化率」に対応する「都市ガス化率」なるものを図示した。電力化率に比べて極めて控え目である。

電力会社のオール電化に対抗する武器が、都市ガスなどを燃料とする家庭用燃料電池;エネファーム、ガス発電・給湯暖房システム;エコウィル、潜熱回収型高効率給湯器;エコジョーズ、コージェネレーション、ガス吸収式冷凍機(冷温水機);ナチョラルチラー、蒸気ボイラーなどである。
電力会社はこれを省エネ効果がない、CO2が削減出来ないと徹底的に批判してきたが、福島第一原発事故以降、この非難が沈静化している。また、2006年からエアーコンディショナー(エアコン)の省エネ性の判断(評価)基準として、エネルギー消費効率をCOP(成績係数;Coefficient Of Performance)に代わって、年間の使用実態に合わせたAPF(通年エネルギー消費効率;Annual Performance Factor)が設定されたことにより、ガスヒートポンプ(ガスヒーポン、GHP;Gas engine driven Heat Pump)ではガスエンジンの排熱を活用するために、暖房効率の優位性などが評価されたことが大きい。
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2000年前後に、ある乳業工場の休憩室にガスヒートポンプを設置したことがあった。それは暖房時の性能が電気モーターヒートポンプ(EHP;Electric Heat Pump)に比べて格段に良かったためであった。このAPFの基準によって、当時の判断が正しかったことが明確になった。
また、2007年に、食品研究所の空調用熱源設備の更新計画があり、エンジニアリング会社から提案された計画は氷蓄熱に重きを置いたシステムであった。
氷蓄熱の年間の使用時間・期間が短いことから、COPではなくAPFで検討し直すよう計画の練り直しを指示することによって、電力を使用するターボ冷凍機と都市ガスを使用する吸収式冷凍機を組み合わせたシステムに落ち着いた。

電力会社による「オール電化社会構築」というイメージ先行の宣伝、またガス会社の的を得た宣伝にも惑わされたはならないということである。

by ecospec33 | 2012-06-25 11:11 | ●エネルギー問題  

電力会社の成長戦略:オール電化社会の構築?Ⅰ(FOOMA、電力化率、ヒートポンプ、IH)

ここ1週間の間に、大飯原発の再稼動と原子力規制委員会の設置など、慌ただしく決定された。
6月上旬に、2012国際食品工業展(FOOMA JAPAN 2012)が東京ビッグサイトで開催された。曜日にもよるのだろうが、2日目の火曜日は、中国からの団体視察らしき入場者もいて大混雑であった。

本会場外の通路(ガレリア)の一角に、特別企画『省エネ・省コスト・生産性向上を実現する「食品工場のプロセスイノベーション」』のブースが開設されていて、ヒートポンプやIH(Induction Heating、高周波誘導加熱)など、電気を効率的に熱に転換する技術を食品工場に導入した事例がパネル展示されていた。しかしながら、節電が叫ばれている最中、電力を使用する設備は忌み嫌われているだけに、派手さに乏しく、ひっそりと展示していたために、立ち寄る人は少ないようであった。
日本エレクトロヒートセンターが企画協力したという、その特別企画の狙いは、食品工場では、殺菌、乾燥などの常温から温度を上昇させる加熱(昇温)工程と冷凍、冷蔵などの常温から温度を降下させる冷却(降温)工程を合わせ持つ場合が多いため、この生産工程に電気をいかに直接的、間接的に使用させるかであり、言い換えれば電力を多く使用させること、さらに言えば電力化率(最終エネルギー消費量に占める電力消費量の割合)を向上させることにある。この行くつく先は「オール電化」である。
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この図から、民生の家庭、業務部門での電力消費量、電力化率の上昇が顕著であること、また電力化率は欧米に比べて数%高い傾向が続いている。このような上昇が続けば、2030年には電力化率は30%に達すると推定される。

2010年9月に東京電力は「中長期成長宣言 2020ビジョン」を策定した。その中の基本理念の実行プランとして「7つのバリューアップplan」で、「plan2 あらゆる分野で電化をおすすめする-電気を“つかう”側への働きかけ-」を挙げ、電化率の向上を目指している。
本年5月に、東京電力が福島第一原発事故以降にオール電化住宅の新規営業を中止していたのに対し、関西電力はCMを自粛したものの販売促進を継続実施し、オール電化住宅の着工を昨年度も着実に伸ばしていたことが批判された。
全ての電力会社が家庭ばかりでなく、業務、産業、運輸の全ての部門で電化を推進し、合わせて低炭素社会の構築を目指している。この「オール電化社会の構築」こそ、原発事故後も変わらない電力会社の成長戦略である。
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最終(二次)エネルギーとして都市ガスなどの他のエネルギーより優れた電力のユーザー特性に、利便性、安全性、効率性、制御性、環境性、搬送性などがある。家電製品があふれるオール電化社会がバラ色の将来を象徴しているかのようである。
しかしながら、あの昨年の電力需給逼迫(ひっ迫)時に、オール電化住宅の住民は何を思ったのだろうか。また緊急的に自家発を設置した事業者は何を思ったのだろうか。
電力会社から供給される電力に大きなリスクが潜在していたこと、それが顕在化したということである。

電力会社が目指す「オール電化社会の構築」に安易に乗ってはならないという警鐘であった。

by ecospec33 | 2012-06-21 11:08 | ●エネルギー問題  

行政の作為と不作為(原子力委員会、原子力安全委員会、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会)

6月4日に、国会の事故調査委員会の要請によって、1991年に原子力安全委員会が電源喪失の安全指針の見直しの検討をした際、電力会社の強い反発を受けて見直しを見送ったことが判明した。
この事業者の作為と行政の不作為が、その20年後に長時間の電源喪失による福島第一原発事故を発生させたと言える。

5月24日には、原子力委員会の原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会が、原子力発電を推進する事業者、原子力委員長など原子力委員などを集めて事前勉強会を秘密裏に(非公開で)20回以上開催し、小委員会の報告書案を開示していたことが判明した。
これには、ベクトル方向が合った事業者と行政の作為が見られる。

資源エネルギー庁で現在審議が進んでいる総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の経緯を注視していると、行政の作為と不作為を垣間見ることが出来る。

再生可能エネルギーを推進したいNPO法人代表の飯田哲也委員が、エネルギーミックスの選択肢案に原子力発電割合15%も加える提案をしたが、新日本製鐵会長の三村明夫委員長が感情的に拒否したことがあった。
この提案は、飯田氏にとって現実的で妥協的な選択肢の提案であり、事務局(資源エネルギー庁)は事務局資料に追加せざるを得なかったが、地球環境産業技術研究機構理事長の山地憲治委員や日本エネルギー経済研究所理事長の豊田正和委員が推す原子力発電割合35%の選択肢を事務局資料から削除することはしなかった。

東京工業大学大学院教授の柏木孝夫委員がコージェネレーションに関する資料を提示すると発言した。その後、委員本人が提示するものと思いきや、事務局が資料を提示した。これでは、委員と事務局との馴れ合いである。なお、事務局が好む柏木氏はコージェネレーションを推進するコージェネレーション・エネルギー高度利用センター理事長でもある。
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これに対し、事務局が好まない飯田氏の発言を擁護するような資料を事務局は提示しようとしない。
飯田氏はスペインでは再生可能エネルギーの割合が約33%を占めているから、日本でも再生可能エネルギーを同様に増加させることできると主張したが、柏木氏はヨーロッパでは電力送電網が張り巡らされ、全体として原子力、火力、再生可能エネルギーがベストミックスしていると主張していた。最近になって、事務局が、「欧州は陸続きで他国と送電網が通じているので、我が国と(再生可能エネルギーの)状況が異なるとの議論がされることがあるが、スペインはフランス国境との間で送電網が基本的に切れており、我が国類似の状況にあるため、参考にしやすい側面あり。」という、極めて重要な資料を提出した。

このように、行政の作為と不作為が混在している。
国民として、その行動を許すか、許さないかで、国の将来が決まる。

追記するが、6月4日に開催された総合資源エネルギー調査会総合部会の電気料金審査専門委員会では、6月1日に朝日新聞が報じた、経済産業省が東京電力の料金値上げの審査日程を、あらかじめ作っていたことが議題として取り上げられた。
消費者団体代表の批判に対し、中央大学教授の安念委員長が、『事務局がシナリオを作るのは自由だが、そのシナリオに委員会は全く拘束されない。枝野大臣から事務局からも「こうしてほしい」という話は受けたことがない。』と述べている。
このように、行政の作為を排除しなくてはならない。

by ecospec33 | 2012-06-06 10:38 | ●エネルギー問題  

国内のコージェネレーションの将来は?(日本ガス協会、CHP;Combined Heat and Power、熱電併給)

昨日10月27日、日本ガス協会の鳥原会長(東京ガス会長)が『天然ガスコージェネレーションシステムによる発電出力は現在460万kW(原発5基相当)であるが、2030年頃にはその6.5倍、3,000万kW(原発30基相当)の導入が可能と考えている。コージェネレーションは、分散型システムとしてエネルギーセキュリティーの向上に資するだけでなく、再生可能エネルギー導入による出力変動の調整機能を果たすこともでき、さらには「需要サイドでの効率的なエネルギー利用」という点から、社会的コストの低減にも寄与するシステムである。』と発表した。
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1993年という食品業界の中でも早い時期にコージェネレーションの導入を進めた私の経験から、この発表の内容と意義は良く理解できるのだが、コージェネレーションの導入予想があまりにも過大と思わざるを得ない。または、希望的な導入予測の発表とも思う。その予測が当たったとしても、それが運用(運転、稼働)されるとは限らない。
その理由は、燃料である都市ガスの高騰にある。都市ガスの原料であるLNGの高騰は円高によって緩和されているとはいえ、コージェネレーション設置する経済的なメリットは激減しているのである。
原子力発電の停止により火力発電を稼働させるために、電力各社の利益が減少しており、電力料金の上昇が考えられ、コージェネレーション導入の経済的なメリットが、相対的に増加する可能性があるが、2000年前後までのように、設備投資回収が数年となるような好条件は期待できない。
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2003年前後と記憶しているが、設置後数年間にわたり運転していたコージェネレーションを停止させたことがあった。燃料は重油であったが、運転するほど赤字になるからである。福島第一原発の事故による原発運転停止による電力需給逼迫までは、このコージェネレーションは不要の長物と化していた。
原発事故前の2010年末に、ESCO事業者の経営者に、1990年代に設置したコージェネレーションの更新を検討すべきと話したところ、「更新の提案など怖くて出来ない。経済的メリットが減少しているので、そのコージェネを撤去しろと言われかねない。」と話していたのである。

エネルギーの効率的利用、CO2削減という国家の大きな目的を持った、国の支援、施策を受けなければ、電力需給逼迫が解消された途端に、コージェネレーション導入件数は極端に落ち込むに違いない。
2010年7月26日~8月2日に「原子力発電の行方と代替電力」をブログに連載し、その中で代替となりうるコージェネレーションについても記述した。その時の導入予測は上の図の通りであり、日本ガス協会の予測の半分ほどである。
火力発電所の発電効率も上昇しており、コージェネレーションの省エネというメリットも、今後とも縮小していく。このため、ガス会社含めコージェネレーションを取り巻く業界は、国内において今年度のような好況が続くだろうといった甘い期待は止めた方が良い。

by ecospec33 | 2011-10-28 17:58 | ●エネルギー問題  

福島原発事故後のエネルギー政策決定の在り方

福島原発事故を受けて、原子力依存を増大させるなど、昨年閣議決定された「エネルギー基本計画」を白紙に戻して見直す手続きが動き出した。昨日3日に、「総合資源エネルギー調査会 基本問題委員会」の第一回が開催されたのである。
この傍聴を希望したのだが、外れてしまった。多くの人が関心を寄せているのだろう。

しかしながら、その全てを「にこにこ動画」で公開されていたので、確認することが出来た。
ベテラン委員、若手委員、原発推進委員、反原発委員が、自分の立場と意見を数分で述べるに終始した。1年間で意見を取りまとめるそうであるが、各委員の経験、知見などのレベルが違い過ぎていて、容易に結論が得られるとは思えなかった。
数値を上げて、論理的にという意見も多々あったが、各委員自らが作成することが必要である。その上で意見を主張することが必要である。

原発の再稼働はあるとしても、新たな原発の建設は国民のコンセンサスを得られないだろうから、減原発が脱原発につながるという流れは止まらないと考えており、また、再生可能エネルギーだけでは、この原発相当分の電力を補うことが出来ないこと、そのためにも分散型電源の代表であるコージェネレーションを推進させることを、これまでのブログで明らかにしてきた。

この国民の代表でもない委員の結論がどうであれ、国民の代表である政治家が責任をもって、今後のエネルギー政策を結論付けなくてはならない。

by ecospec33 | 2011-10-04 17:34 | ●エネルギー問題  

9.11と3.11、それにコージェネレーション

今日9月11日は、米国の同時多発テロから10年の節目の日であると同時に、東北大震災と福島第一原発事故から半年の節目の日でもある。各地で追悼式が行われている。

20年前の9月11日はワシントンにいた。米国エネルギー省(DOE)を訪問した前後の日である。9月13日の夜は、世界貿易センタービルの最上階にあるレストランで食事を楽しんだ。日本人の団体観光客もいて混んでいた覚えがあるが、エンパイヤ・ステート・ビルディングが眼下に見えて、ライトアップされている自由の女神がやっと確認できるほどの高さであった。
その日は、ペンシルバニア州にあるキャタピラー・ヨーク社のガスタービンと蒸気タービンのコージェネレーション設備を視察した後、高速道路を北上した。
この視察は、東京ガスと東邦ガスが企画し、団長は当時は農工大、現在は東工大の柏木教授であった。三菱重工、川崎重工、IHI、新潟鉄工、三井造船などのプラントメーカーと、トヨタ、ホンダ、JRなどのユーザー、総勢10数名が参加した、米国のコージェネレーション事情を調査する視察であった。
マンハッタンの高層ビル群が、高速道路から見えてきた感動は忘れられない。次第に大きくなる摩天楼の中で、ひときわ高い建物が世界貿易センタービルであった。

この視察を終えた2年後には、乳業界で初めてのコージェネレーション設備を設置することになり、約20年近い間に、自ら企画して10数基のコージェネレーションを導入した。
これらのコージェネレーションは、今回の電力需給逼迫に大いに活躍したと自負しているのだが、燃料高騰の点から経済性が解決出来ない問題である。

今後も続くであろう、特に関西電力管内における電力需給逼迫に対し、新たにコージェネレーション設備の設置を検討しているところもあるだろうが、難点は、その経済性である。
緊急避難的に設置した自家発電は、やむを得ずというような捨て金であったろうが、本格的なコージェネレーションの設備投資となれば容易ではない。
この時とばかりに、プラントメーカーは高い値を言い出すだろうが、お互いに落としどころを考えないと時間がない。来年の夏まで、1年を切っているのである。

9.11では、ニューヨークの象徴、世界の中心都市の象徴が消失したことに寂しさを覚えた。3.11では、地震と津波、それに原発事故に脅威と恐怖を感じた。
どちらも歴史のターニングポイントとして記憶されるに違いない。9.11から世界融和への道筋を、3.11から脱原発への道筋を、確実に歩まなくてはならない。

by ecospec33 | 2011-09-11 20:56 | ●エネルギー問題  

アンモニア冷凍システムの実態とエネルギー管理統轄者の資質

1998年に競合他社が大規模な工場を利根川沿いに建設し、運用を開始した。
その工場では新たな冷却設備を導入した。一次冷媒にNH3を使用し、二次冷媒(ブライン)を冷却し、このブラインをサイロ型タンクに貯蔵し、工場に隣接した冷蔵庫と製品を冷却させるシステムである。冷凍システムの成績係数(COP)が高く、冷蔵庫の温度が安定していることが特徴であるとの触れ込みであった。

この工場の稼働開始前から設備メーカーと競合他社の設備担当者から情報が入り、この冷凍システムは成績係数が計画値より低い(計画:4.5、実態:2.8)こと、ブライン冷却装置の維持管理が面倒なこと、ブラインと水と熱交換させて製品冷却に使用していることなど、負の面も明らかになっていた。
当時、私が加入していた日本冷凍空調学会から、私が関与した「アンモニア吸収冷凍機と電動圧縮式冷凍機を組み合わせたハイブリッド冷凍システム」の見学会を要請してきたが、上司の反対で受け入れられなかった。このため、前述の競合他社のアンモニア冷凍システムを見学するよう薦めた。
もちろん、同業者の私はその見学会に参加することは出来なかったが、その様子は1999年に学会誌に掲載され、計画時の高い成績係数が記載されていた。

2000年前後だったろうか、製造部門の役員とその腰巾着の若手社員が、突然に「工場の電力使用量を半減させろ。」と言い出し、続けて「同業他社が新工場で電力使用量を半減したのだから、出来るはずだ。」と、経済誌に掲載された競合他社の社長談話を根拠に言い放った。
その記事も承知していた私は「冷凍システムの電力使用量は半減しただろうが、総電力使用量における冷凍に係る電力使用量の割合は25%程度であるから、記事のように半減できるはずはない。」と反論した。すると、その役員は「経済誌を信用しないのか。」と、憤懣やり方ない様子であった。これでも役員かと呆れ返る思いであった。
余談であるが、その役員と若手社員は共に経済専門の国立大学出身者で、役員は2期で終わったが、腰巾着であった社員は、現在生産部門の一部門長を務め、工場の閉鎖に邁進している。今も誰かの腰巾着を続けているのである。

一昔前とは違うだろうが、省エネ法(エネルギー使用合理化に関する法律)のエネルギー管理統轄者が、このような頓珍漢な人物であったとしたら、誰がコントロールするのだろうと想像を膨らませ、笑ってしまう事件であった。

by ecospec33 | 2011-08-31 08:35 | ●エネルギー問題  

ISO 50001(エネルギーマネジメントシステム、EnMS)の概要

今日、BSIジャッパンによるISO50001のセミナーがあったので、参加した。
他社の環境対策室長の薦めがあり、3年ほど前にISO14001(環境マネジメントシステム、EMS)の認証機関をロイド・レジスター(Lloyd's Register)・ジャパンからBSI (British Standards Institution、英国規格協会)ジャパンに変更した。どちらも、英国発祥の認証機関であるが、その名称が示すとおり、格はBSIの方が上と言える。

ISO 50001(エネルギーマネジメントシステム、EnMS)の規格概要の説明と、この7月に日本で初めて認証を取得した㈱山﨑砂利商店の紹介がなされた。
本規格は、米国が開発した規格(ANSI/MSE2000)とBSIが開発した規格(BS EN16001)を基にして2011年6月に発行されたのだから、出来立てほやほやの規格である。
エネルギーの削減、CO2の削減に特化した規格であり、ISO14001の一部門を深化させたと考えればよく、このため、規格の統合化も可能という。
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出典:省エネセンター
企業人であれば、ISOが新たに発行されると対応しなくてはならないと思うだろうが、本規格に関連して、マネジメントの以前に省エネ法があり、法令順守を優先することが必須であり、本規格はエネルギーの削減、省エネを推進する手法(マニュアル)では決してない。また、この認証を取得すれば、エネルギーの削減が保証されるということではない。
しかしながら、本規格の「エネルギーレビュー(エネルギー分析)」を行うことによって、「著しいエネルギー使用」という改善点を発見することが可能である。実際に改善するのは、その後である。

㈱山﨑砂利商店は、認証取得にコンサルタントを活用したとのことで、その行政書士の資格を有するコンサルタントが約8か月の取得までの工程を説明された。エネルギー管理士ならば認証取得のためのコンサルタントも可能と思っていたが、行政書士が・・・と唖然としたが、その人物の資質によるものかと思う。
本規格への対応については、大企業と中小企業と異なるはずであるだろうが、将来的には、省エネ法順守の公明性、透明性を補完(証明)する大きな武器になるに違いない。

by ecospec33 | 2011-08-25 21:18 | ●エネルギー問題