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カテゴリ:〇カーボン・フットプリント( 9 )

 

LCA、CFPについて(LCAエキスパート検定試験、エコリーフ、カーボンフットプリント、放射性物質)

本日3月11日は、東日本大震災から2年目の追悼日である。
アベノミクスで円安、株価上昇などで浮かれ始めた社会状況の中で、大震災と福島第一原発事故の記憶が風化しつつあるが、自然災害と事故による悲惨さを忘れてはならない。
当日は犬の散歩中で、周辺の家屋がギシギシと音を立て地震に気がついたが、畑地の台地が波を打つのを見た。この揺れが収まってからも、武蔵野公園の大木が左右に大きく揺れ続けていた。

ところで、先月の中旬に、日本乳業協会環境委員会で、「カーボンフットプリント(CFP)への対応」と題して、40分間講演した。
ブログで連載したことを整理した内容であり、第一は、製品CFPから企業CFP(サプライチェーン)に移行しつつあることを提示し、第二は、牛乳は「GHG排出量」は他の飲料と比べて高いが、「栄養素密度」が非常に高く、「栄養素密度」を「GHG排出量」で割った「NDCIインデックス(NDCI index:The Nutrient to Climate Impact)」が高く、「地球にやさしい飲料」であることを示し、第三は、CFPをポジティブに活用して欲しいと結論付けた。
各国のカーボンフットプリントへの対応は異なるが、日本はCFPマークを製品につけるコミュニケーションに執着し過ぎている。食品について言えば、お米にCFPマークをつけて何になるのだろう。コミュニケーションの方法を再検討すべきであると思う。
      <<ISO発行前に低調となるエコリーフとカーボンフットプリント>>
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本日、CFPプログラムを管轄する産業環境管理協会が、2月上旬に受験した第三回LCAエキスパート検定試験の合格者を発表した。
2月下旬頃にHP上で発表すると公表していたので、どうなったのかと思っていたが、これで気がかりなことが解消された。合格基準は約70点以上で、合格率は約25%と低調だったようである。
前回、前々回の試験内容が公表されていないので、何を勉強しておいたらと不安もあったが、指定された参考書を熟読し、他の資料で補完しておけば合格できるものである。もちろん、環境保全の全般を常識程度に知っておくが基本である。
電卓を使う問題は全問の約40%を占めていたように記憶しているが、LCA手法を論理的に会得していれば、あとは掛け算と割り算が出来さえすれば良い。エネルギー管理士試験の積分のような算術は全く必要ない。
ともかく、合格しさえすれば、満点でも取ったように何とでも言える。
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半月ほど前にも書いたが、この合格が主目的でなく、環境問題への視点を増やすことが目的であった。
このため、参考書ではなかったが、「LIME2(意思決定を支援する環境影響評価手法)」も読みかじった。
産業技術総合研究所が、第2期LCA国家プロジェクト(2003年~2006年)における研究の一環として、このLIME2(Life-cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling:日本版被害算定型ライフサイクル環境影響評価手法)を開発したという。

LIME2では、人体、生態に悪影響を及ぼす放射性物質を、水と同様にインベントリとして捉えていない。
地球温暖化対策として、火力発電などと比較して原発の優位性は揺るがないだろうが、原発事故、核廃棄物などのから放出される放射性物質をカウントする必要があるだろう。
そのリスク(規模の大きさ×発生確率)は小さいという数値結果になるだろうが、心情的には中国から飛散するPM2.5の大気汚染よりも環境への影響は大きいと考えたい。それは一過性の影響でなく、十万年にもわたる持続性のある影響だからである。
これは、科学では答えを得ることがことが出来ない哲学の問題でもある。

by ecospec33 | 2013-03-11 13:45 | 〇カーボン・フットプリント  

カーボンフットプリントとカーボンオフセット(LCA、CFP、J-VER、グリーン電力証書)

今月の第一日曜に産業環境管理協協会の「LCAエキスパート検定試験」を受験したが、奇遇にも知人も受験していた。これは国家資格ではないのだが、LCA(ライフサイクル・アセスメント:Life Cycle Assessment)を理解するために最適な試験である。
お互いに「頭の体操であり、受けることに意義がある。合否は問わない。」などと、下りのエレベーター内で沈鬱な受験生に囲まれながらも笑い飛ばしていたが、彼は私より10歳近く高齢な大先輩であり、いまだ現役の産業総合研究所研究員である。

彼はCFP(カーボンフットプリント:Carbon Footprint)の検証作業を担当するそうで、その準備のために受験したという。こちらも、その約3週間後に日本乳業協会環境委員会でCFPをテーマとした講話を控えているので、その準備の一環として受験した。
合格を真剣に目指している約80名の受験者には申し訳ないが、先輩も私も、この資格を取って職に生かすというよりも、この受験を環境に関する知識を得るためのインセンティブとして利用しているに過ぎないようである。
1970年代前半に公害防止管理者を受験した時は大学院生だったので頭の回転も速かったが、ボケが入った頭では何事も厳しいものがあるのだが、環境に関連した仕事に携わろうと思っている人間は、何らかの国家資格は必要である。というより、その受験過程の勉強が重要であると思っている。
今回も受験勉強の中で、思考するための様々な視点を得たように思う。
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この数日後に、東京国際フォーラムで「カーボンマーケットEXPO2013」が開催され、これに関連した「カーボンフットプリントからオフセットへ」という無料セミナーを聴講した。
一般的に男性より女性の方が環境への関心が高いと言われているにも関わらず、約120名の参加者のうち女性は10名以下であった。個人というよりも企業人の関心事ということから、女性の参加が少なかったのだろうが、環境問題を抱える日本社会は、何ともしがたいほどの男性社会なのである。
この産業環境管理協会よるセミナーの趣旨は、CFP認証済み製品はカーボンオフセットが容易にでき、環境性をアピールできるということ、またその成功事例を紹介することによって、企業のCFPコミュニケーションへの参加協力要請であった。

その成功事例のように環境性をアピールできる製品は限られているように思うのだが、製品の購入者が環境付加価値(グリーンバリュー)にどれだけの経済価値を認めるかということである。
「カーボンマーケットEXPO2013」の展示会場はセミナーに比較して閑散としていた。「オフセット・クレジット(J-VER)」を生かして地域おこしを推進した森林資源を有する高知県、熊本県、秋田県、青森県などの事業者の出展が目立った。
イトーキなどクレジットの売買の仲介等のサービスをおこなうオフセット・プロバイダー、またロイドレジスター、ビューローべリタスなどの認証機関も出展していた。
乱立気味であった認証機関はしだいに淘汰されてきていると聞いている。これは、中小の企業を中心にISO14001認証の継続を取り止めつつあり、また認証機関の審査員も減少していること、およびマルチサイト化とサーベイランス方式の簡素化によって審査総額が大幅に減少したことが要因と思われる。

展示会場のパンフレットにクレジット(J-VER)価格が5,000~15,000円/トンと載っていたが、これは「グリーン電力証書」並みの単価ではあるが、自企業内の環境関連の設備投資と比較検討できるほど高額であると思った。
例えば、CO2の排出量を年間1,000トン削減が出来る設備投資額が2億円であると設定する。
その設備投資には燃料、電力または廃棄物処理など何らかの経済的なメリットを2千万円/年と設定すると、これに環境付加価値として、1,000トン/年×10,000円/トン=1千万円/年が加算されることになる。ということは、この環境付加価値は、設備投資の単純回収期間を、2億円÷2千万円/年=10年から、2億円÷(2+1)千万円/年≒6.7年に減少させるほどの経済価値を有することに相当する。
これは社外からオフセット・クレジットを購入するよりも、自社で環境関連の設備投資した方が有益であるという判断になりうるということである。
どう結論づけるかは企業の環境への姿勢によるが、ここで注意したいことは環境性アピール効果である。


ともあれ、何事も事前の準備と、多少は辛い勉強が大切である。

by ecospec33 | 2013-02-17 10:19 | 〇カーボン・フットプリント  

食品のカーボンフットプリント(制度、温室効果ガス排出量、LCA、栄養素密度、NDCIインデックス)

製品に温室効果(GHG)ガス排出量を表示するカーボンフットプリント(CFP)制度に関する国際規格化ついて、米国は全く関与していないようである。
しかしながら、CFPを包含するライフサイクルアセスメント(LCA)については、ヨーロッパ以上に進展している。次に示す様々な食品のカーボンフットプリントの図は、『牛肉の摂取を少なくし、温室効果ガス排出量を減らし、健康になろう』という趣旨の報告書「Meat Eater's Guide to Climate Change + Health 2011」から抜粋した。
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製品群については、このように有効的に活用できるだろうが、CFPの精度上の問題からも、個々の製品については期待できない。
同様に、様々な飲料についての「GHG排出量(CFC;カーボンフットプリント)」を示す。これは北欧のデータであり、上記の米国とは異なっている数値も見られる。
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各国では、食品のエネルギーと栄養素の推奨摂取量を男女と年齢別に提示している。
北欧では21種の栄養素の推奨摂取量を定めている。それぞれの食品が含有する栄養素が推奨量を充当する割合の合計に、5%以上の充当割合のある栄養素数の割合を掛け合わせた数値を「栄養素密度」と定義して、様々な飲料については、次の図のとおりである。
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食品、飲料はビタミンなど様々な栄養素が含有されており、単位エネルギー当たりの栄養素含量を「栄養素密度」と一般的に定義しているが、この北欧の報告書では、「栄養素密度」(Nutrient Density:ND)として、様々な栄養素を総括した数値を採用している。
この「栄養素密度」を「GHG排出量」で割ったものを、NDCIインデックス(NDCI index:The Nutrient to Climate Impact)と定義し、この数値が大きいほど「地球にやさしい飲料」としている。
その結果は、次のとおりであり、様々な飲料の中で牛乳が一番「地球にやざしい飲料」という結論である。
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製品毎のCFPは後の話題にして、製品群のCFPを取りまとめることが先決であり、それを有効に活用することを優先すべきである。

安倍第二次内閣が始動した。過去の自民党の醜さが表れれば、株価の上昇は止まるだろう。
ともあれ、来年は今年より良い年でありますように!!!

by ecospec33 | 2012-12-27 16:53 | 〇カーボン・フットプリント  

カーボンフットプリントは曲がり角Ⅴ(勘三郎、キリン、サプライチェーン、産官学、オフセット、マーク)

昨日、歌舞伎俳優の中村勘三郎が57歳で亡くなった。食道がんが遠因という。酒が強かった医者の義弟を10年ほど前に同年代で食道がんで亡くしているので、活躍盛りの彼の早世が残念でならない。
ところで、日本橋界隈で生まれ育ち、お祭り好きであった私の父は、「そこをまっつぐ(真っ直ぐ)だよ」と、やや甲高く明るい声で話す江戸っ子らしさを残していたが、その父の父、私の祖父は明治初期に甲府の町から東京に出てきた。その祖父は歌舞伎小屋の7代目の跡取りであった。江戸時代には甲府に2つほどの芝居小屋があり、その中でも繁盛していたそうで、小屋の跡には市川団十郎の石碑が残っているそうである。
歌舞伎には無縁ではなかったはずなのだが、小さい頃、伯母に連れられて歌舞伎を一度見に行った記憶があるだけで、歌舞伎には関心があるわけでもないが、勘三郎の人なつっこさとバイタリティーに好感を持っていたので、これからの彼の活躍に期待していただけに無念に思う。

本題に戻して、2009年8月に、キリングループは地球温暖化防止のための新しい戦略を策定し、自らが直接排出するCO2排出量削減の中期目標に加え、開発から廃棄・リサイクルにいたるすべてのバリューチェーンのCO2排出量削減に向けて、2050年までに1990年比半減という高い目標を掲げた。
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この一環として、2011年4月に、キリングループは「バリューチェーン(価値連鎖)CO2排出基準」を独自に定め、2009年のCO2排出量を算定した。また、目標の進捗状況を公表している。
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20年以上前の1990年の実態把握が可能であったかなど、この目覚ましい進捗状況に半信半疑な部分もある。
しかしながら、東京理科大学で教鞭をとっていた時も、「キリングループ サステナビリティレポート」を参考書として毎年使用させてもらうほどで、この取り組みは大手食品企業といえども真似することができない、また世界を見回しても数少ない活動であり、グローバル企業であるキリンの先導者としての実力を示している。
ただし、キリングループはカーボンフットプリント(CFP)制度に何ら参加していないのである。
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一方、CFP制度を社団法人産業環境管理協会に民間移行させる直前の2012年3月に、経済産業省と環境省は、世界の潮流に乗り遅れないようにと、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」を公表した。
これは、キリングループが既に具現化して目指している地球温暖化対策手法と合致するものであるが、CFP制度と同様に、日本LCA学会の幹部を委員とした委員会の産物である。
「官と学」が既成概念を作り上げ、「産」に押し付ける一方的な手法は、CFP制度と全く同じである。
CFP制度は、来週に開催される「エコプロダクツ2012」に向けて、またもや新たなエコマークを決定した。これは制度が機能していないことの表れである。
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CFP制度では、消費者が消費財のメーカーに対し、直接的、間接的に、地球温暖化対策を要求することに期待しているが、このサプライチェーンは、核となるメーカーの要求に期待したいしているのであるが、CFP制度がうまくいかなければ、サプライチェーンに期待するような地球温暖化対策は、実をとることは容易でない。
カーボンフットプリントは曲がり角に来ており、次のサプライチェーンも曲がり角が見えている。

by ecospec33 | 2012-12-06 09:33 | 〇カーボン・フットプリント  

カーボンフットプリントは曲がり角Ⅳ(CFP宣言認定製品、マーク、グリーンエネルギー認証制度、GEマーク)

「グリーンエネルギー」には、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの自然エネルギー(再生可能エネルギー)から発電された「グリーン電力」と、太陽光、雪氷などの自然エネルギーから得られた熱である「グリーン熱」がある。ともに、再生可能エネルギーである。
「グリーンエネルギー」は環境に良好なエネルギーであることから、エネルギー(電力と熱)そのものの価値と切り離して、グリーン(環境良好性)という「環境付加価値」を「グリーン電力証書」、「グリーン熱証書」という形で取引することが可能となっている。これを「グリーンエネルギー認証制度(システム)」と呼ぶ。
2002年に東京電力など主要電力会社が出資して「日本自然エネルギー株式会社」が設立され、グリーン電力の取引が先行して開始された。その後、数社が参入した。
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2008年5月にグリーンエネルギーを普及させるために、経済産業省資源エネルギー庁は財団法人日本エネルギー経済研究所グリーンエネルギー認証センターに委託し、『国民のグリーン電力証書等に対する認知度の向上を図るとともに、消費者がグリーン電力等を使用した商品を信頼して購入できることを目的』に「グリーン・エネルギー・マーク(GEマーク)」を制定した。製品やサービスなどに使用したエネルギーをグリーンエネルギーで賄ったことを示すものです。
また、2008年6月に経済産業省資源エネルギー庁の指導のもとに、「グリーン・エネルギー・パートナーシップ」が創設された。グリーン電力の普及に協力的な事業者、証書発行事業者、発電事業者、自治体などの情報交換の場である。
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グリーンエネルギー認証制度は着実に広がりを見せているが、GEマークも消費者には認知されておらず、グリーン・エネルギー・パートナーシップも活動を停止しているかのようである。
これと同様な構図が「カーボンフットプリント」にも見られる。
●所管:省経済産業省環境調和産業推進室/資源エネルギー庁新エネルギー対策課
●マーク:「カーボンフットプリント・マーク」/「グリーン・エネルギー・マーク」
●情報交換:「カーボンフットプリント日本フォーラム」/「グリーン・エネルギー・パートナーシップ」
●事務局:社団法人産業環境管理協会/財団法人新エネルギー財団と財団法人日本エネルギー経済研究所
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CFP宣言認定製品には「カーボンフットプリント・マーク」を使用することができる。しかしながら、前述したとおり、このマークの認知度は低く、また、2012年度からCFP制度の事業運営を産業環境管理協会に民間移行し、2013年度から様々な手続きとマークの使用が有料化されることから、CFP制度が消滅しかねない様相を見せている。
CPFに関する情報交換の場である「カーボンフットプリント日本フォーラム」も活動停止になりかねないのである。

ともあれ、カーボンフットプリントは曲がり角に来ており、CFP宣言認定製品をマークで消費者にアピールすることは二義的なこととして、その基礎となるデータの収集と精度を上げ、公表し利用できるようにすることに重点をおき、事業者にCO2削減を促していくことが必要である。

by ecospec33 | 2012-11-29 15:44 | 〇カーボン・フットプリント  

カーボンフットプリントは曲がり角Ⅲ(CFP宣言認定製品、LCA、パレート図、CO2見える化、低炭素化社会)

前回、「CFP(カーボンフットプリント)宣言認定製品」の品目数増加の推移を示した。次に、このCFP認定製品を有する全121社の事業者別CFP認定品目数のパレート図を示す。
事業者の中には60を超える品目を有する事業者(企業)もあるが、その多くが1、2品目に留まっており、上位10社だけでCFP認定製品の全572品目の50%を占め、上位37社で80%を占めていることが分かる。
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CFP認定製品の68%を占める上位20社とその認定製品数を列挙する。これに加えて、2008年度に経済産業省が大々的に取り組みを開始した「CFP制度の実用化・普及推進研究会」の参加企業31社を右欄に示す。
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これによって、2008年に組み込まれた参加企業の大半が脱落していることが明確である。
特に、イオン、日本生活協同組合を除いた多くの小売り業が脱落したことによって、小売り業の力を借りて消費財メーカーに協力させるという、経済産業省の構想は崩れたのである。


また、上位10社の5社が2012年1月に開始された「システム認証方式」の登録者であるが、登録後に、この方式を活用したのは2社のみに限定されている。
ちなみに、「個品別検証方式」が製品ごとに第三者検証を行なう方式に対し、「システム認証方式」とは事業者がCFPの算定と検証し、登録と公開申請を行うシステムを構築し、それを第三者が認証することで、個別のCFP検証の手続きを経ることなく、認証を受けた種類の製品について、簡便にCFP登録することができる方式であり、現在6社が登録されている。

2009年9月に、日本LCA(ライフサイクルアセスメント)学会が核となって「カーボンフットプリント日本フォーラム(CFP-Japanフォーラム)」という任意団体が創設された。『低炭素社会実現のため、民間主導での産学官民プラットフォームとして・・・』というCPFに関する情報交換の場である。その事務局は「CFP制度試行事業」の事務局と同じ産業環境管理協会であることから、民間主導で発足されたのではなく、経済産業省の指導によって発足されたと言って良い。
そこには61の企業、10の民間団体などの参加が公表されている。しかしながら、参加企業61社のうちCFP認定製品を有するのは15社のみであり、その割合は約25%である。事業者はさまざまな思惑からこのフォーラムに参加しているのだろうが、様子見の状態となっている。
この実態から、産学官の内「学官」はやる気十分であっても、「産」は遠巻きにしている姿が透けて見える。

これらを総括すると、一部の事業者はCFP制度に積極的に取り組んでいるが、多くの事業者は消極的であり、CFP制度の理解が浸透していないことが明白となった。
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2012年度行政事業レビューによれば、2009年から2011年までの3年間の「CFP制度試行事業(CFP制度構築等事業)」に支出した国税は約15億円であった。この費用対効果については様々な見方が出来るが、2013年度からは事業者がCFPに関わる検証と認証、研修等および登録と公開の費用などを負担しなくてはならない。
「金の切れ目が縁の切れ目」となって、遠巻きにしていた事業者は遠ざかる。
CFP制度はCO2を直接的に低減する管理手法ではなく、消費者の購買行動などが事業者のCO2低減行動を促す可能性がある(かも知れないという)管理手法である。このような手法では事業者が納得するようなインセンティブがなく、ましてやCFP制度に法的根拠がないのであるから、事業者はさらに遠ざかるに違いない。

この4年半のCFP制度構築には日本LCA学会の関係者の活躍を見過ごすことが出来ない。
低炭素社会構築という高邁な精神を持っているかは知る由もないが、彼らは国家の先兵となって行動しているという誇りと、国家の威光を借りて若干の優越感を持って、消極的な企業内と統制が取りにくい業界内で多大の努力をされた方もいるだろう。
しかしながら、CFP 制度におけるLCAは実態の分析と把握であり、その後のCO2低減の改善を担保しているものではありず、またCFPマーク(ラベル)は製品の一部の側面を表しているに過ぎないことを、冷静に判断してもらいたいものである。
多分に個人の資質によるのだろうが、時流に担ぎ出される一部の過激な有識者に縛られては社会が混乱するだけである。

by ecospec33 | 2012-11-21 09:32 | 〇カーボン・フットプリント  

カーボンフットプリントは曲がり角Ⅱ(CFP、PCR 、増加の推移、CO2の見える化、産業環境管理協会)

2008年6月から経済産業省が主導して進めた「CFP(カーボンフットプリント)制度の実用化・普及推進研究会」と2009年度から2011年度の3年間の「CFP(カーボンフットプリント)制度試行事業」、2012年度から本事業が民間に移行され、社団法人産業環境管理協会(JEMAI)が継承して進めている「CFPプログラム(カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム)」、この約4年半の成果(評価)は、消費者のCFTの認知度(知名度)向上および事業者による「CFP(カーボンフットプリント)宣言認定製品」の品目数増加と業界団体による「認定CFP-PCR(PCR:Product Category Rule、商品(製品)種別基準)」の件数増加で示すことが出来るだろう。
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消費者のCFTの認知度については、環境省の「消費者のアンケート調査結果」(2012年1月)によって知ることが出来る。他の環境に関わるマークに比べて、カーボンフットプリントは非常に低調な結果であった。
事業者による「CFP宣言認定製品」の品目数増加と業界団体による「認定CFP-PCR」の件数増加については、その推移を「見える化」する。
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両者とも着実に増加し、11月15日現在、CFP宣言認定製品の品目数は572件、認定CFP-PCR は80件に達している。しかしながら、CFT認定製品の品目数は認定PCRの件数の約7倍に留まっており、CFP認定製品の品目数は極めて少ないと言ってよいだろう。
CFP認定製品の製品群別割合は次のとおりである。
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これについて経済産業省は「食品、生活用品、衣料品、印刷、オフィス関連の認証商品が多い。 複雑なサプライチェーン構造を有するエネルギー使用製品の参加が少ない。」と表現する。ここで、『複雑なサプライチェーン構造を有するエネルギー使用製品』とは、『グローバル・サプライチェーンの中で“ものづくり”を進める、海外を含む複雑で長いサプライチェーンを有する電機・電子製品など』を示す。
このことから、経済産業省の狙いを知ることができるだろう。経済産業省は国内で消費される食品などの最終消費財に重点を置いているのでなく、国際競争力を有する製品に重点を置いているということである。
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2012年2月に産業環境管理協会はCFP制度の事業運営を民間移行するに際し「当面の目標」として、数値を掲げている。
認知度、CFPマーク使用商品の市場流通は何とも推定出来ないが、認証商品は現在の状況のままで増加すれば、2014年末に達成するだろう。
「当面(当座、さしあたり、暫くの間)の目標」は、昨日衆議院を解散させた野田首相の「近いうち」よりも曖昧な表現である。達成の期間さえも決めていない目標、すなわち目標とは言えない「目標」である。
(次回に続く)

by ecospec33 | 2012-11-17 08:01 | 〇カーボン・フットプリント  

カーボンフットプリントは曲がり角Ⅰ(CFP、CO2、見える化、ISO140067、低炭素化、経済産業省)

2008年6月に経済産業省が「CFP(カーボンフットプリント)制度の実用化・普及推進研究会」を立ち上げ、2009年度から3年間、経済産業省が主導して進めてきた「CFP制度試行事業」が終了し、2012年4月から、この事務局を担っていた経済産業省所管の社団法人産業環境管理協会(JEMAI)が「CFPプログラム(カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム)」の運用を開始した。

このことは、経済産業省と関係する環境省、農林水産省、国土交通省が進めたCFP制度化に向けた事業が終了し、CFP制度の運用が民間に移行させたことを示し、事業者の『製品のCO2の「見える化」』に向けた行動が事業者の主体性に任されたことを意味する。
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一方、このCFPの国際規格であるISO140067(Carbon Footprint of Products Requirements and Guidelines for Quantification and Communication)は、予定より約1年半遅れて、2013年7月に発行される予定である。
2008年にCFPに関する国際規格化への機運が高まり、その年にイギリスが英国規格(BSI)のPAS 2050を発効させている。日本においては経済産業省がこの国際規格の策定に向けて力を発揮するために、日本LCA学会の協力を得て、CFP取り組みを事業者に要請した一面があることを認識しておきたい。
このことは、2008年6月9日に、当時の福田首相が発表した『「低炭素社会・日本」をめざして』の中で知ることが出来る。

「2.国全体を低炭素化へ動かすしくみで」で、排出量取引、税制改革(環境税)、見える化の三つの方策を挙げ、次のように述べている。
『見える化:自分の出す炭素に自ら責任を持つことが求められるのは、産業界だけの話ではありません。国民一人ひとりが、低炭素社会の実現に向けて、賢く、そして責任ある行動をとることが必要となります。  そのためには、CO2排出の見える化によって、消費者が的確な選択を行うための情報を提供すること、これが重要となります。
イギリスなどでは、製品や食品の製造から輸送、廃棄に至る過程で排出されるCO2を測定して商品に表示する、カーボン・フットプリント制度やフードマイレージ制度が試行されております。これを国際的にも広げていこうという動きがございます。
我が国としても、このカーボン・フットプリント制度などの国際的なルールづくりに積極的に関与して、そして、わが国の国内での削減を進めるために、来年度から試行的な導入実験を開始したいと思っております。そのための準備を関係省庁に指示するとともに、産業界にも協力を要請してまいります。これが軌道に乗れば、世界最大級の取組みになると期待されます。』
カーボンフットプリントは曲がり角Ⅰ(CFP、CO2、見える化、ISO140067、低炭素化、経済産業省)_e0223735_8182214.jpg
日経新聞の2008年6月19日の一面に、この行政の動きに慌てた事業者の記事が掲載された。これは行政におもねる日経新聞の誤報とも言われているが、その後のCFPの取り組みは行政、事業者にとって容易ではなかった。
(次回に続く)

by ecospec33 | 2012-11-15 08:20 | 〇カーボン・フットプリント  

カーボンフットプリント(CFP、PCR、見える化、意見公募)

日本における「カーボンフットプリント(CFP)」の対応の中で、次の写真が衝撃的であった。
カーボンフットプリント(CFP、PCR、見える化、意見公募)_e0223735_13132925.jpg
これは、『直接(じか)絞りの純粋ジュースより、ロングライフのジュースの方がCO2排出が少ない。』ということを、『360g>260g』と足裏の数値で表している。
英国のカーボントラスト(Carbon Trust)社のHPからコピーしたものであるが、2007年以降、相変わらず同じものを使用している。先頭を切って進めてきた英国でさえ、それほど普及していないことを示す証左である。

日本では、環境省がCO2削減のために商品の「CO2の見える化」を進めることを宣言し、経済産業省はCFPの国際規格化の動きに過剰反応して始まったと言って差し支えない。
当初の2007年は、日本経済新聞が『製造者の○○社は販売者の○○スーパーとCFPを進めている。』などといった誤報を流して扇動するなどし、官民あげて大慌てであったが、現在は、公害防止管理者の国家試験を主管する「産業環境管理協会」内にある「CFP制度試行事業事務局」が、取りまとめをおこなっている。
ただし、CO2削減効果を期待している事業者は少ないのか、事業者は仕事が増えるだけのこともあり、当初の計画より遅れているように思う。

このHPに『カーボンフットプリントとは、製品の一生(原料から廃棄まで)で排出されるCO2を商品にマーク表示する仕組みです。事業者は、商品の一生の電力使用やエネルギー使用等を「見える化」することで、節電や省エネの可能性を効果的に発見することができます。消費者は、「見える化」された商品を選び、エコ消費することができます。』とある。
カーボンフットプリント(CFP、PCR、見える化、意見公募)_e0223735_13151516.jpg
このCFPを算定、表示するには、その製品(=商品・サービス)ごとにルールである「商品種別算定基準(PCR:Product Category Rule)」を策定し、認定を受けなくてはならない。現在、58件の製品が認定を受けている。
このPCRが認定されるまでには、原案の段階で意見公募(パブコメ)がある。
私が熟知している製品について、今年の1月中旬と本日8日に意見提出したところである。前回の1月には、私の指摘したとおり、そのPCR原案が取り下げとなった。今回も、指摘どおりの結果となると考えている。
いつものことであるが、このようなルールは、言葉を正確に定義づけなくてはならないのである。

by ecospec33 | 2011-08-08 13:21 | 〇カーボン・フットプリント