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カテゴリ:〇明治粉ミルク放射能汚染( 13 )

 

食品中の放射性セシウム新基準1か月(野川のカワセミ、厚生労働省、文部科学省、農林水産省、消費者庁)

昨日5月3日の豪雨のあとも不安定な天気であり、近くの野川も水量が多い。
国分寺市の日立製作所中央研究所を源とする野川は、小金井市、三鷹市、調布市を流れ、世田谷区で多摩川に流れ込む約20kmの一級河川である。
この野川で数日前にカワセミを偶然見つけ、バカチョンのデジカメに収めた。ジェット戦闘機のような姿を年数回見かけるが、枝にとまった姿は少ない。30mほど下流に重そうな望遠レンズで待ち構えている人たちがいて、枝から飛び立ったカワセミの鳴き声を聞くなり、一斉にカメラを構えた。
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ところで、4月1日から食品中の放射性セシウムの新基準値が適用されて1か月が経過した。
1か月間で新基準値を超えたのは、9県、51品目、337件で、総検査数13,867件の約2.4%であった。新基準値超えは、いずれも野菜や魚などの一般食品(100Bq/kg)で、飲料水(10Bq/kg)、牛乳(50Bq/kg)、乳児用食品(50Bq/kg)に超過はなかった。
この実数を大きいと見るか、少ないと見るかは立場によって異なるが、厚労省は「放射性セシウムが高く出やすい品目を優先的に検査しており、超過割合は高くなる傾向になる。」としている。
●県別
・福島県:142件/2198件(内110件がヒラメやイワナなどの水産物)
・栃木県: 69件/1224件
・茨城県: 50件/1456件
・宮城県: 36件/ 518件
・岩手県: 35件/1040件
●品目別
・ヒラメやスズキなどの水産物:156件
・露地栽培の原木シイタケ:102件
・タケノコ:36件
この厚生労働省が設定した新基準については、本年2月16日に放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一を図ることを目的に設置された文部科学省放射線審議会が了承しつつも、「必要以上に厳しいのではないか」という趣旨の答申をおこなっている。

4月21日に、農林水産省の食料産業局長がスーパーや食品メーカー、外食産業などの業界団体(270団体)あてに「食品中の放射性物質に係る自主検査における信頼できる分析等について」を通達した。
科学的に信頼できる自主検査の徹底を求めているが、「過剰な規制と消費段階での混乱を避けるため、自主検査においても食品衛生法の基準値に基づいて判断するよう併せて周知をお願いいたします。」として、国よりも厳しい独自基準を設けて自主検査を実施している事業者に対し、国が設けた新基準を守るよう求めた。
これに対し、生活クラブ生協連合会の「国がそもそも民間の自主基準を規制することがおかしいと思います。」など流通事業者から批判の声があがった。
Yahooが『セシウムの独自基準をどう思う?』(4月30日~5月10日)の意識調査を実施中である。
●5月3日現在の計8845票の結果は次の通り。
・独自基準を設けてもよい:69%
・独自基準は必要ない:27%
・どちらともいえない:5%
農業者、漁業者といった生産者ばかりを利する政策を掲げているようでは農林水産省の立場も危うい。
農林水産省は国内BSE問題に続き生じた事故米問題を反省し、「国民の視点」という意識改革が進んでいたはずであるのに、後退しているような、あやふやな通達を出してはならない。

消費者庁は新基準が設定されたことを受けて、4月27日付で「食品と放射能Q&A」を改定した。基準値が安全であることを説明することに腐心しているが、現状の数値を記載していないため、安心を得るには説明不足と言えるだろう。
また、福島県で継続的に行われているホールボディカウンタ(WBC:Whole Body Counter)による内部被ばく検診についての説明が全くないことも気がかりである。

本文には、厚生労働省、文部科学省、農林水産省、消費者庁を記した。
消費者庁が各省庁の縦割りを横串で関連づけているが、HPを見ても非常に分かりづらい。放射性物質の調査結果だけを提示するのでなく、それをとりまとめた文書を作成し、食品の安全・安心を表明するなどの工夫が必要である。
調査結果には、「-」、「不検出(ND:Not Detected)」ばかりが並んでいるが、福島第一原発事故前の文部科学省の委託による調査結果では低い桁数の数値が並んでいる。
検査数が多いために測定精度を下げ(検出限界を上げ)ざるを得ないということだろうが、自主検査をしているNPOの方が精度が高い結果を得ているというのも不思議である。これが恣意的かつ意図的あるとすれば極めて問題である。

by ecospec33 | 2012-05-04 11:28 | 〇明治粉ミルク放射能汚染  

食品の放射性セシウムの新基準と牛乳、乳製品Ⅵ(チェルノブイリ原発事故、スウェーデン、ソ連邦崩壊)

1986年4月28日午前7時に、スウェーデンの原子力発電所付近で高濃度の放射性物質が検出された。隣国のフィンランドでも検出され、気象条件の確認と飛行機による大気観測から、午後にソビエト連邦内の原発事故によるものと確認され、スウェーデン政府はソ連邦政府に対し打診を行った。
同日の午後7時になってから、ソ連邦政府は国営通信社イタルタスを通じて、その2日前の4月26日(土)にチェルノブイリ原発で大爆発があったことを公表したという。
これは、佐藤吉宗氏の「スウェーデンの今」のブログの一節を要約したものである。
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東西の冷戦時代であったことを考えれば、ソ連邦の情報公開の悪さを理解出来るが、世界的規模の放射能汚染を生じさせた原発事故の情報を隠ぺいしたことは許されることではない。その後、このチェルノブイリ原発事故がソ連邦を崩壊させる一因となったのは歴史上の皮肉な展開であった。
私は1月20日のブログで、『フィンランドはチェルノブイリ原発事故による放射能雲(放射性雲、プルーム、Plume)によって大規模な放射能汚染を経験している。これを顧みることによって、食品の放射能汚染の現状を確認し、将来を見通すことによって、不安を少しでも解消出来るものと期待している。』と記した。
スウェーデンの放射能に関する情報をWEBから得ることは、フィンランドより容易ではない。スウェーデンでは放射能に関する安全管理の行政組織が縦割り的なこと、その資料のほとんどが母国語で書かれているためである。
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ところが、前述の「スウェーデンの今」の著者が「スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか」を翻訳出版した。
原書はスウェーデンの農業庁、食品庁、放射線防護庁などが2002年に編集した「Livsmedelsproduktionen vid nedfall av radioaktiva ämnen」である。英訳すると「Food production in the deposition of radioactive substances」となり、和訳すると「放射性物質沈着での食料生産」、意訳すると「食料、食品生産の放射能汚染対策」となる。
WEB上で公開されているが、なにしろスウェーデン語で書かれており、自動翻訳しても正確に解読することが困難なので、この訳本を購入した方が良いだろう。

「はじめに」に記されているとおり、『どのように放射能汚染から食料をまもるか』がテーマであり、農業、酪農、食品生産の従事者ばかりでなく、市民、メディアにとっても貴重な提言が多い。
『チェルノブイリ原発事故後、汚染の高い牛乳を基準値以内に収めるために、汚染の少ない牛乳で希釈することの是非が議論されました。食品庁は汚染拡大を防ぐことを原則として、このような目的で行われる食品の希釈に反対しています。
乳製品メーカーの一部は、不安を感じる消費者が自社製品を避けるかもしれないという懸念から、牛乳に含まれる放射性物質に対する国が定める基準よりもさらに厳しい基準値を自主的に設けて、放射性物質の濃度が国の基準値をはるかに下回る牛乳のみを酪農家から買い付け、その他の牛乳は廃棄しました。
乳製品メーカーにとって重要なのは、放射性物質の濃度が基準値を超えている牛乳の発生源が、どの家畜群なのかを特定することでした。そのためにはまず、それぞれの牛乳の供給ラインで、タンク車に入った牛乳のサンプル検査を行います。その後、農場ごとにサンプルを採取し、試験場で測定を行います。原乳の入荷から牛乳および乳製品の出荷に至るまでの検査は、すべての乳製品メーカーが責任を持って行います。』

日本の酪農と牛乳、乳製品生産のシステムはスウェーデンと異なることから、このような実態をそのまま転用することは出来ないが、市民の不安を解消するために取るべきメーカーの責任と対応が明白であり、また市民にとって得るべき情報が明白となった。

ともあれ、「スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか」を一読することを推奨する。
合同出版㈱、定価1800円である。

by ecospec33 | 2012-02-06 11:12 | 〇明治粉ミルク放射能汚染  

食品の放射性セシウムの新基準と牛乳、乳製品Ⅴ(日本乳業協会、共同通信、誤報)

昨日2月1日にNHKが『東北や関東など17の都と県にあるおよそ180の工場を対象に飲料用の牛乳に含まれる放射性物質の値を今月中に検査することになりました。』と報道した。
同日、日本乳業協会は、『(放射性物質の)検査に関する当協会の考えは上述したとおりですが、今回製品の検査により生乳検査の検証を行い、また新基準施行に先立ち基準適合を確認することが、お客様のご安心と信頼を得るために適切であると判断しました。従いまして下記の通り、検査を実施し公表を行うことと致しましたので、その計画についてご案内申し上げます。』とHPに公表した。

しかしながら、約2週間前の1月18日に日本乳業協会は、『牛乳に含まれる放射性物質の検査を行ない、公表する方針を固めたとの報道がなされていますが、このような事実はございません。配信元の共同通信に対し、記事の内容が間違っている旨の申し入れを行ないました。』と、共同通信の事実誤認の報道(誤報)であることをHPで公表していたのである。
これに加えて、『検査の実施の是非やその方法、検査する場合の公表の方法などについて昨年末より検討を開始しておりますが、公定法となる検査方法が示されていないことなどから、結論を得るに至っておりません。できるだけ早急に結論を得たいと考えております。』とも掲載していた。
『公定法となる検査方法が示されていない』と、業界以外の行政などの不手際を対応遅れの理由にすることから、新基準が適用される4月まで放射性物質の検査と公表を先延ばすだろうと思っていたので、予想外の展開となった。

昨年12月の明治粉ミルク放射能汚染の時には、報道がなされた2日後の12月18日に日本乳業協会は、『粉ミルク販売各社は自社の製品についての検査を実施し、その結果に基づきホームページで見解を発表しておりますので、併せてご参照下さい。』とHPに公表している。
この時には、「検出限界」を各社統一もしないで公表を急いだのだから、『公定法となる検査方法が示されていない』ことが、牛乳の放射性物質検査と公表を遅らせる理由にすることは出来ないと考えていた。

粉ミルクに比べ、牛乳の製造者、製造工場の数は2桁多く、大小多数の乳業会社の意見を集約することにはご苦労があるとは思うが、その根底に酪農と乳業を護送船団方式で死守するという考え方があるとすれば誤った結論に達するだろう。
1か月ほど前からイトーヨーカ堂は、よつ葉乳業に製造委託したPB(プライベート・ブランド)の「北海道牛乳」を売り出している。「おいしい牛乳」よりも、北海道産生乳から作られた安全・安心な牛乳が消費者に受け入られていると、イトーヨーカ堂は判断したのだろう。
また、大流行しているインフルエンザの予防に効果があるという過激な報道から、明治の「R-1ヨーグルト」が開店と同時に棚からなくなっている騒ぎが生じている。
このように、消費者が様々な価値判断から製品を選択するのであり、今回の放射性物質濃度の公表によって、消費者が日本乳業協会の意向に沿った価値判断をするかは別問題である。

ともあれ、2週間ほど前の共同通信の報道は誤報ではなく、先取り報道であった。日本乳業協会の誤報との公表は、検査と公表への意思統一がなされていなかった業界内部への言い訳作りであったかも知れない。

by ecospec33 | 2012-02-02 15:29 | 〇明治粉ミルク放射能汚染  

食品の放射性セシウムの新基準と牛乳、乳製品Ⅳ(チェルノブイリ、原乳、放射能汚染、フィンランド)

フィンランドは、サンタクロースの故郷である。地衣類を餌とする野生のトナカイがチェルノブイリ原発事故により放射能汚染されたことを知っている人は少ないだろう。
フィンランドは携帯電話のNokia社と製紙・製材業のStora Enso社が有名であるが、酪農組合が設立したValio社も有名である。フィンランド市場の約75%を占める大手乳業会社であり、高梨乳業にも乳酸菌(Lactobacillus GG )を供給している国際企業である。ヘルシンキ近郊にある、その本社は総ステンレス張りで光り輝く外観だが、建屋内はステンレスの反射率が低いためか暗い。

日本とフィンランドにおける「原乳中の放射性セシウムCs-137濃度」の推移を示す。
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1960年代から1980年にかけて核実験が行われていたときの影響は、フィンランドが日本の最高値と同程度であった。1986年に発生したチェルノブイリ原発事故の影響は、フィンランドが日本の約10倍であり、その後の減衰の推移は同程度であった。
過去の推移の右隣に福島第一原発事故以降の推移を示した。2011年末には、核実験が盛んに行われていた最大値程度まで低下していること、またフィンランドにおけるチェルノブイリ原発事故後の実態に近似している。
牛乳に含まれる放射性セシウム(Cs-137とCs-134の合計)暫定基準値:200Bq/kgを大きくクリアし、本年4月1日から施行される新基準値:50Bq/kgに対しても、7月以降は大きくクリアしている。なお、ここでは前々回に記した根拠から、Cs-134/Cs-137=0.91を使用し、Cs-137のみの暫定基準値を105 Bq/kg、新基準値を26.2 Bq/kgとしている。

フィンランドの「環境放射線モニタリング報告書2008」には、『ミルク中に検出された137Cs濃度は、原発事故の後に欧州連合内に適用されている限界水準および最大の許容水準:1000Bq/lのおよそ1000分の1です。2008年には、ミルクによって摂取した放射線量が0.0006-0.0017mSvでした。この放射線量の約15%はSr- 90によりました。』と記載されている。
福島原発事故についてはSr-90を考慮することは不要であり、日本の基準がECに比べて、暫定基準で5倍、新基準では20倍厳しい基準であることも確認できる。

私の子供の頃も放射能汚染で大騒ぎしたが、何らの健康への影響は見られなかった。食品中の放射性セシウム濃度は低いほど安心出来るが、国の基準を守っていれば安全であるというのが今回の結論である。

by ecospec33 | 2012-01-21 18:48 | 〇明治粉ミルク放射能汚染  

食品の放射性セシウムの新基準と牛乳、乳製品Ⅲ(チェルノブイリ、放射能汚染、放射能雲、フィンランド)

1.過去の放射能汚染が教えること
1986年に4月26日にチェルノブイリ原発が爆発し、高さ1kmまで吹き上がった放射性物質を取り込んだ放射能雲(放射性雲、プルーム、Plume)は、1200km以上も離れたフィンランドの南部を覆い、4月28日から数日間に大量の放射性物質を降下させた。これは福島第一原発事故から約200km離れた柏市周辺のホットスポットに相当し、放射性セシウムの沈着量は柏市周辺よりも高いことから、チェルノブイリ原発事故が甚大な被害を及ぼしたことが想像できる。
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人類は、77万テラベクレルの放射性物質を放出した福島第一原発事故の以前に、1960年代の核実験と520万テラベクレルもの放射性物質を放出したチェルノブイリ原発事故という大きな放射能汚染を経験している。
これを顧みることによって、食品の放射能汚染の現状を確認し、将来を見通すことによって、不安を少しでも払しょく出来るのではないかと期待している。

2.日本とフィンランドとの放射能汚染の比較
フィンランドには2か所5基の原子力発電所と映画で話題になった核廃棄物最終処分場「オンカロ」があり、その安全を監視しているのがSTUK (Radiation and Nuclear Safety Authority;放射能および原子力安全機構)である。
日本のように経済産業省、文部科学省、厚生労働省などが縦割りに管理するのでなく、一括管理しているため、放射能に関する情報を得るのが容易である。
2.1 大気中の放射性セシウムCs-137の濃度
日本とフィンランドにおける「大気中の放射性セシウムCs-137の濃度」の推移を示す。
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1960年代から1980年にかけて核実験が行われていたときの影響は、日本の方がフィンランドよりやや大きかった。1986年に発生したチェルノブイリ原発事故の影響は、フィンランドが日本の約20倍以上であったが、その後の減衰の推移は同程度であった。
福島第一原発事故のフィンランドへの影響は約25日後に現れ、その規模はチェルノブイリの約60分の1であった。1月17日には、STUKが『福島第一原発事故によって食品中の人工放射能が最大約1%増加した。』と発表している。
頭に入れておかなくてはならないことは、このように影響が小さかったとはいえ、震災後各国から様々な支援を受けた日本ではあるが、日本が世界を放射能汚染させたという事実は消えないということである。ちなみに、フィンランドからは紙パック入りのアセプティック育児用ミルクが提供され、粉ミルクと違って溶解水が不要なことから、その利便性が評判となった。
2.2 放射性セシウムCs-137の降下量
日本とフィンランドにおける「放射性セシウムCs-137の降下量」の推移を示す。
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1960年代から1980年にかけて核実験が行われていたときの影響は、フィンランドが日本の最高値と同程度であった。1986年に発生したチェルノブイリ原発事故の影響は、フィンランドが日本の約100倍以上であり、その後の減衰の推移にも大きな差があった。過去の推移の右隣に福島第一原発事故以降の推移を示したが、影響の大きかった福島市でさえ2011年中に、核実験が盛んに行われていた時期の降下量まで低下していることが分かった。また、福島市はフィンランドと同程度の減衰を示している。

次回は、このような過去の放射能による原乳の汚染状況を確認し、現状の実態と比較をおこないたい。

by ecospec33 | 2012-01-20 08:44 | 〇明治粉ミルク放射能汚染  

食品の放射性セシウムの新基準と牛乳、乳製品Ⅱ(原乳、日本乳業協会、CSR、社会的責任)

昨日1月17日に、学校給食用牛乳(学乳)などの放射能データの公表を拒んでいた大手乳業メーカーの業界団体である日本乳業協会が、行政の検査とは別にメーカー各社が独自に牛乳を検査し、結果を公表する方針を固めたという。

共同通信社による「勇み足」的な記事のようであるが、その真偽は別として、この背景には、学乳の放射能データの公表要請を全く受け付けない東京学乳協議会とその上部団体である日本乳業協会に業を煮やした東京都の特別区長会が、12月20日に「給食用牛乳の放射性物質測定検査の結果数値公表に関する要望について」を、農林水産大臣、厚生労働大臣、文部科学大臣に突き付けたことがある。
これによって行政も動かざるを得なくなり、12月27日に厚生労働省は都道府県知事、各保健所設置市長、特別区長に対して、「乳の放射性物質の検査の実施について」を通達し、『2週間毎にクーラーステーション又は乳業工場で実施している検査について、概ね1週間毎に実施する』よう促し、また日本乳業協会、全国農協乳業協会、全国乳業協同組合連合会の乳業メーカーの業界団体に対して、「牛乳の放射性物質の検査結果の公表について」を通達し、『牛乳の放射性物質に係る検査結果を適切に公表し、関係者に適切な説明を行う』よう促す行政指導をおこなった。

昨年8月9日に、私は「社団法人の日本酪農乳業協会と日本乳業協会は、それぞれのHPで牛乳の放射能問題を、前者が7月12日、後者が6月15日にニュースリリースしている。ただし、原乳の放射性物質の検査には言及しているが、製品である牛乳の検査はしない対応である。ダイオキシンについては、農水省が不必要と思うほどの長年の間、原乳ではなく牛乳での検査をおこなってきたのであるから、同様な対応をとり、消費者の安心・安全を確立すべきと考える。」と、原乳(生乳)だけでなく牛乳についても、放射能検査とデータを公表するべきであると主張していたので、今回の日本乳業協会の対応は当然と受け止めている。

このような行政指導を受け、後手に対応するような業界団体は、構成する大手乳業メーカー含めて「社会的責任」を果たしていないということになるだろう。「CSRレポート」でステークホルダーとのコミュニケーションを唱えているのなら、社会の動向に敏感でなくてはならない。
ともあれ、乳業の監督官庁が経済産業省であれば、通達という文書による行政指導をおこなわず、メーカーと調整して自主的な行動を促したではずであり、監督官庁が農林水産省であるからこそ、厚生労働省による「縦割り」的な行政指導になったと思っている。

by ecospec33 | 2012-01-18 12:45 | 〇明治粉ミルク放射能汚染  

食品の放射性セシウムの新基準と牛乳、乳製品Ⅰ(原乳、生乳、放射性核種)

昨年2011年12月末に、厚生労働省が食品に含まれる放射性セシウムの新基準値案を取りまとめた。暫定基準より大幅に厳しい基準となり、4月1日から施行される。
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この図は、農水省が公表している原乳(生乳)から検出された放射性核種の割合を示す。
原発事故から4か月経過した7月以降は、甲状腺機能障害を引き起こす半減期が8日と短い放射性ヨウ素は「不検出」のレベルとなり、現在は半減期が2.1年と30.2年と長い、放射性セシウムCs-134とCS-137がそれぞれ約50%を占め、Cs-134/CS-137は0.91である。
平成23年12月22日に開催された厚生労働省薬事・食品衛生審議会の放射性物質対策部会の資料では、土壌中のCs-134/CS-137Csの濃度比を0.92と算定している。これは、原乳と同等な放射性セシウム割合を示している。

by ecospec33 | 2012-01-11 17:53 | 〇明治粉ミルク放射能汚染  

㈱明治粉ミルク放射能汚染から見えたことⅡ(原発事故、セシウム、定時降下物、チェルノブイリ)

今回、様々な情報を確認し工学的に解析することによって、㈱明治粉ミルクの放射能汚染の原因が熱風による噴霧乾燥工程での大気(空気)であることを証明した。この過程で見えてきたことを列挙する。-前回からの続き-

3.福島第一原発事故の被害の大きさ:
文部科学省は都道府県が毎日実施している環境放射能水準調査「定時降下物」(放射性降下物;フォールアウト)の結果を取りまとめている。
大気中に拡散している放射性物質が雨水とともに地表に降下する。地表の「空間放射線量率」、「放射性セシウム蓄積量」と同様に、「定時降下物」を確認することによって大気の汚染状態を知ることでき、福島第一原発事故の被害の大きさを確認することが出来る。
比較には、アメリカ、ソ連、中国等による大気圏内核実験が盛んに行われた1960年代から1986年4月26日のチェルノブイリ原子炉爆発事故までのデータが有効である。
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この結果、福島第一原発事故直後は、福島県(福島市)のチェルノブイリ原発事故時の最大値の約80倍であり、また東京都(新宿区)と埼玉県(さいたま市)が約30倍であった。私が小学校のころに「黒い雨が降ってくる。ちゃんと傘を差しなさい。雨に濡れると禿るよ。」と言われたどころの話ではなかった。
現在、福島県以外の都道府県は7月以降ごろから「不検出」と記録されているが、過去よりも検出限界を上げているようである。東京都と埼玉県がチェルノブイリ原発事故当時の水準まで低減した状況にあるが、福島県は未だにそこまで至っていない。
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福島第一原発事故前の水準:0.1MBq/km2・月まで低減するには、東京都と埼玉県では約3年(900日)、福島県では約30年(10500日)を要することが予測される。

by ecospec33 | 2011-12-19 12:39 | 〇明治粉ミルク放射能汚染  

㈱明治粉ミルク放射能汚染から見えたことⅠ(情報開示、武田邦彦)

今回、様々な情報を確認し工学的に解析することによって、㈱明治粉ミルクの放射能汚染の原因が熱風による噴霧乾燥工程での大気(空気)であることを証明した。この過程で見えてきたことを列挙する。

1.飲用牛乳・乳製品の放射能汚染の情報開示:
近くのイトーヨーカ堂に牛乳を買いに行く。よつ葉乳業の「十勝牛乳」の売れ行きが良いようで、大手の「おいしい牛乳」のフェイスが小さくなった。「おいしさ」より安心できる放射能汚染がない北海道の牛乳を買いたいという消費者意識であると思っている。
乳業会社にとって収益性の高い粉ミルクの放射能汚染問題は、これ以上の社会的問題とならないで下火となるだろう。しかしながら、飲用牛乳は原料である原乳(生乳)由来であるから、そう簡単ではない。
『学乳では福島第一原発事故による放射性物質の影響を心配する声が上がっている学校給食用の牛乳について、東京都内の小・中学校に牛乳を納入する牛乳メーカー6社でつくる「東京学乳協議会」が検査結果の数値を開示せず、各区に混乱が広がっている。風評被害を懸念する牛乳業界と、学校現場をあずかる各区教育委員会の主張は平行線で、“落とし所”は見えてこない。』(2011.11.29 産経新聞)
いつまでも続く問題である。そこには、国民が国の暫定基準を信じていない、安心できないという根深い問題がある。
「検出せず」、「不検出」は検出限界未満で汚染がないということを保証していない。検出限界を下げれば、放射性物質で汚染されていないという生乳は見つからないだろう。ダイオキシンもナノ、ピコというオーダーで検出が可能になったことで、その危険性が必要以上に過大視されたのである。
生産者指定と産地指定以外の牛乳は、さまざまな地域で生産された生乳を混合(合乳)し、殺菌などの工程を経て製造されている。全ての乳業会社が北海道の生乳だけを使って牛乳を作るなどということは現実的でない。学乳だけを特別に生産するということも不都合である。
放射能検査し、国の暫定基準値を下回っていることが証明されている生乳を、乳業会社は素直に受け入れる仕組みになっている。消費者が商品を選択するようなことは出来ない。
その生乳から作られた牛乳について、乳業会社はその一部の放射能検査を続けているはずで、その結果を開示したすべきであるが、それはしないだろう。
最小限、学乳については粉ミルクと同様に、学校などが受け入れ拒否をしないという条件のもとでデータを開示することが望ましい。

2.中部大学武田邦彦氏への反論:
中部大学武田邦彦が科学的でなく論理的でないこと、また責められると論点をはぐらかすなど、真剣に事象を突き詰めないことを、これまでも何度か指摘してきたことである。
㈱明治の粉ミルク放射能汚染問題についても、この問題が報道された同日に、彼はブログで学者らしからぬことを主張していたので、これを抜粋する。
『・・・・乳幼児は粉ミルクだけということもあります。だから、粉ミルクの汚染は危険なのです。4月以来、牛肉が汚染されているのに、牛乳や粉ミルクが汚染されていないということはありません。今回も乾燥用空気が汚染されていたと発表されていますが、おそらくウソでしょう。もし、信じて貰いたければ4月以後に製造された全商品のベクレルを公表すべきです。公表しないと言うことは汚染したものを販売したことを意味します。・・・』
彼の根底には、学者であるという立場を利用し、話題性の高いテーマをブログで素早く扱って脚光を浴びて、著作とテレビ出演などで多大な利益を得たいという考え方があるように見える。
彼は今回も、「私が指摘したので乳業会社が動いた。国(の暫定基準)を信じてはいけない。企業を信じてはいけない。私の言うことだけを信じなさい。」と誇らしげに語るだろう。
自身が書く「企業のウソ」を科学的な根拠で検証することが、学者という存在であるはずだ。私は簡単な計算で「企業の真実」を証明した。このようなことは、学者でなくとも出来ることである。
今回も「武田邦彦氏は学者ではなく扇動者であり、芸人である。彼を相手にしてはいけない。信じてはいけない。」というのが結論である。
酪農団体、乳業界も彼に真剣に反論していかなければ、彼は自己を目立たせるための「話題のネタ」を容易には離さない。それは、過去に記したPETボトルでの騒動が示している。

by ecospec33 | 2011-12-19 08:10 | 〇明治粉ミルク放射能汚染  

㈱明治粉ミルク放射能汚染の検証Ⅱ(乾燥装置、放射性セシウム、森永乳業、雪印メグ、検出限界、隠ぺい)

熱風による噴霧乾燥工程で製造される乳製品には、「粉乳」と呼ばれる原料用の全粉乳と脱脂粉乳、および「粉ミルク」と呼ばれる乳児用調整粉乳がある。
北海道には乳製品工場が多いが、関東、東北地方などは飲料牛乳工場が多い。関東、東北地方の粉乳工場は森永乳業福島工場(福島県福島市)と筑波乳業玉里工場(茨城県小美玉市)であり、粉ミルクの工場は問題となった明治埼玉工場(埼玉県春日部市)、森永乳業村山工場(東京都東大和市)、雪印メグミルクのビーンスターク・スノー群馬工場(群馬県邑楽郡)がある。なお、粉ミルクを生産している和光堂は除外した。
それぞれの工場について、今年3月の福島第一原発による放射能汚染の可能性について検討を試みた。
これを評価するために、公表されている次の項目について確認した。
●文部科学省 環境放射能水準調査:モニタリングポスト
空間放射性線量率の最大値(2011年3月)
放射性物質月間降下量(2011年3月)
●文部科学省 放射線量等分布マップ:工場地点
空間放射性線量率
放射性セシウム沈積量
これらを、放射性セシウムが検出された明乳埼玉工場との比較をおこなった。
この結果、福島第一原発が水素爆発した時期に、粉乳、粉ミルクを製造していた場合には大気中の放射性物質によって同程度またはそれ以上の汚染が推測された。
㈱明治粉ミルク放射能汚染の検証Ⅱ(乾燥装置、放射性セシウム、森永乳業、雪印メグ、検出限界、隠ぺい)_e0223735_18475574.jpg
特に、福島第一原発に近い森永乳業福島工場が粉乳を製造していた場合には、乳製品中の放射性物質に関する暫定規制値:200Bq/kgを上回る放射性セシウムが検出されたと推測された。
㈱明治粉ミルク放射能汚染の検証Ⅱ(乾燥装置、放射性セシウム、森永乳業、雪印メグ、検出限界、隠ぺい)_e0223735_18494950.jpg
雪印メグミルクとビーンスターク・スノーは、群馬の同じ工場で粉ミルクを製造しており、明治埼玉工場と同程度の汚染があったと推測された。
両社とも放射性物質検査結果を公表しているが、その検出限界は10Bq/kgであるのに対し、明治、森永乳業、和光堂が5Bq/kgである。検出限界を同業他社に合わせた場合、今回の結果から推測して放射性物資が検出された可能性が十分考えられ、それを隠ぺいしている可能性もある。
粉ミルクの放射能汚染が社会問題化したのであることから、所管する農水省、厚生労働省が、乳業界の検出限界を合わせるよう行政指導すべきである。
一方、厚生労働省は市販されている粉ミルクを3カ月ごとに検査するということを発表している。福島第一原発の水素爆発事故の直近時期とは異なり、現在は大気中に拡散、飛散している放射性物資が極めて低いことから、今後いくら検査したとしても、すべて検出限界未満の「検出されず」という結果になる。税金の無駄遣いであり、行政がやるべき業務ではない。

明治群馬工場は、大気中の放射性物質濃度が非常に高い時期に、震災対応のために粉ミルクの増産をしていたということであるから、このような事態となった㈱明治は不運であった。
他の乳業会社が粉乳、粉ミルクから放射性物質が検出されていないことを証明するには、3月12日から20日にかけて製造していなかったことを公表することが必要である。
粉ミルクの賞味期限を示し、放射性物質は「検出されず」と公表したところで信用されないのが、今の社会状況である。

by ecospec33 | 2011-12-17 10:46 | 〇明治粉ミルク放射能汚染