人気ブログランキング |

カテゴリ:〇企業倫理と企業風土( 4 )

 

福島第一原発事故から企業倫理と企業風土を考えるⅣ

福島第一原子力発電所の海水注入中断事件の騒ぎが収まりつつある中、29日に5号機の冷却機能が一時失われ、その公表が半日遅れであったことが、またもやマスコミから問題視されている。
公表を見送っていた原子力安全・保安院の西山英彦審議官は「現時点ではこの扱いでよかったと思う。」と語っている。
私も騒ぐほどの問題とは思っていないが、東京電力の過去の「CSRレポート」を確認すべく、ホームページを探したのだが、すべて消去されていた。そこまですると、これまでのレポートは「虚偽」、「虚構」であったのかと疑いたくなる。
過去の「虚偽」、「隠蔽」に対し、また原発事故後の現状に対し東京電力の労働組合は、どのように対処していたのだろう。
東京電力労働組合32000人>全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)>日本労働組合総連合会(連合)顧問1名>民主党の国会議員1名 という正統な組合組織の構図である。

ところで、1980年に工場に長期出張していた際、動員がかけられた支部集会に参加しなかったことから、工場支部の書記長から「懲罰ものだ。」とお叱りを受けた私が、1987年度に本社支部の支部長を1年間経験したことがある。
その支部長就任挨拶では「闘う本社支部として、組合本部に対し形骸化した部分を打破するようにしたい。」と抱負を語り、本部の怒りを買った。
組合の最高決定機関である全国大会では、組合貴族となっている元委員長の不明朗な顧問就任に反対し、形骸化した苦情処理委員の適正化とスト権投票の廃止を求めた。
当時の組合組織の常識からは逸脱した言動のように思われたようだが、企業活動は株主などの監視があるが、組合活動には監視がないとの認識をもって厳しく対処したつもりであり、また本社支部では週1回程度の中央執行委員会を開催し、春闘、秋闘時には職場集会を必ず開催し職場の意見を集約するなど、組合支部としての活動も真面目に対処したつもりであった。

支部長を辞めてから1年半後に、指摘した苦情処理委員の適正化が行われたそうで、組合の遅い対応に呆れていたが、その2、3年後から職場集会が消滅するなど、しだいに組合活動が低調化、弱体化していったよう思う。いつの間にかスト権投票もなくなった。
経営者と組合代表者との総合経営協議会では、経営者の一人から若年化した組合幹部に対し、勉強会を開いて教えてやるなどという、組合を小馬鹿にしたような発言もあったが、それに対し組合も反論もしなかったようで、御用組合の様を呈していったと言って良いだろう。

どの企業もとは言わないが、労働組織率の低下は、従業員の労働組合の帰属意識の低下と言い替えても良いように思う。
企業にとって一番近いステークホルダーである従業員、ひいては組合員こそが、企業の風土を作るのであるから、この逆風の時期だからこそ、東京電力労働組合の独自性に期待したいと思う。

by ecospec33 | 2011-05-31 19:40 | 〇企業倫理と企業風土  

海水注入中断事件から企業倫理と企業風土を考えるⅢ

東京理科大学では、環境に関する「装置工学概論」という講座を持ち、「企業倫理と技術者倫理」を「法令順守(遵守)」とともに講話し、東京電力と同様に雪印乳業の不祥事問題を事例として取り上げた。
雪印乳業の不祥事問題とは、2000年6月に雪印乳業大阪工場で製造された低脂肪乳による集団食中毒事件とその後の展開である。原因は原料である同年3月に北海道の大樹工場で製造された脱脂粉乳であったが、同社ではその特定に時間を要し、約15,000人もの消費者が下痢・嘔吐症状の食中毒の被害を受けた。

最近の焼肉チェーン店の生肉食中毒事件は死亡事故に至ったが、雪印乳業集団食中毒事件は死亡事故までは至らなかったものの、当時の石川哲郎社長が記者団を指さして「私は寝てないんだ。」と常軌を逸した発言が社会の反発を冗長し、食品企業への見方、食品品質への見方が厳しくなる社会現象を起こした。また緒に就いたばかりの自主的な品質管理手法、総合衛生管理製造過程(HACCP)を厚生労働省が見直さざるを得なくなった。
余談であるが、石川元社長の出身校である小樽商科大学の関係者は、さぞかし肩身が狭かったと思う。森永乳業にも同商大出身者が専務に継いで常務を務めていたが、これ以降は役員が出ていないようである。

2000年食中毒事件の直後の暑い夏の日に、京王線高井戸駅そばの細い道に雪印食品の配送車が駐車していた。雪印食品はハムなどを製造販売する雪印グループの会社である。フロントガラスを良く見ると『雪印乳業の食中毒事件とは関係がありません』というような張り紙がしてあった。
しかし、雪印食品は2002年に、国産牛肉と偽ってBSE補助金を詐欺した牛肉偽装が、内部告発によって発覚し、数か月経たずして解散した。
雪印乳業商品の不買運動が続く中、集団食品中毒事件の不祥事は収まりかけていたが、この第2の不祥事の発生が引き金となり、2003年に雪印乳業グループは、北海道の集乳基盤を死守し、創業時からの基幹事業であるバター、チーズなど乳製品事業を残して解体、分社化の道を歩んだ。
冷菓事業はロッテに吸収合併され、育児品事業と医薬品事業は大塚製薬の出資のもとで新会社が設立され、また市乳事業はネスレが買収するという話題があったが、海外企業の進出を嫌う農林水産省の指導のもとに、全国農協直販(全農系)、ジャパンミルクネット(全酪連系)の市乳事業と経営統合して日本ミルクコミュニティが設立された。

2009年初めに雪印乳業、日本ミルクコミュニティの知人らと話した時は、風土が異なった会社になっているから、今さら合併はありえないという話しが出ていたが、その年に同2社が経営統合し、共同持株会社である雪印メグミルクを設定し、2011年4月に雪印メグミルクと雪印乳業および日本ミルクコミュニティが合併し、四谷にあるシンボルマークも雪印メグミルクに変わった。
2000年の集団食中毒事件から11年、2003年の雪印乳業解体から8年である。
「人のうわさも四十九日」ではないが、「企業の不祥事も一昔」ということであろうが、かつて雪印乳業へ設備の売り込みをした営業担当者が、私のところに来て「雪印さんは官僚的組織で、課長にも会えない。会わしてくれない。」と話し、不祥事の前後でも、いっこうに変わっていないとも話していた。
気さくな日和佐信子女史を社外取締役に迎えても、企業の体質、風土は変わっていないのかも知れない。

ところで、雪印乳業の集団食中毒事件という不祥事は、今回が初めてということではなく、1954年に全く同じ原因で、2000人もの集団食中毒を起こしている。「忘却は半世紀」ということである。
福島原子力発電事故という世界の大不祥事が、一昔10年、はたまた半世紀50年で忘れ去られることはないだろうが、原子力発電の安全性強化を着実に監視し続けることも、忘れてはならないことである。

by ecospec33 | 2011-05-29 17:33 | 〇企業倫理と企業風土  

海水注入中断事件から企業倫理と企業風土を考えるⅡ

2002年8月に東京電力の原子力発電所において自主点検時の虚偽記載とその隠蔽があったことが、経済産業省原子力安全・保安院から公表された。このため、すべての原子力が停止され、翌年の夏は電力供給不足となる危険性がはらんでいた。

今年と同じように、夏前に各工場では発電機を借りるなどの対応をおこなったが、幸いにして冷夏の様相を呈したため、その発電機は用無しで終わった。
私はその取りまとめを行ったのだが、元工場長から経費を本社が負担してくれなかったと嫌味を今でも言われている。

当時、東京電力の営業担当者が、この原子力不祥事(不正問題)の内容の説明と謝罪に来社したことがあった。
記載上の問題があったが、安全には問題がないとの説明を受けた後、私から「経済産業省より東京電力さんの方が原子力発電を熟知しているから、安心しても良ろしいですね。」と話すと、営業担当者は「そのとおりです。」と胸を張った。

我々も東京電力に全幅の信頼を抱いていたのだが、この東京電力の「おごり」の姿勢が、虚偽と隠蔽の体質と風土を作り出したと言って過言ではないだろう。
原子力発電が半分を占める関西電力の営業担当者は、この東京電力の不祥事に対し、「原子力発電の技術力は、我々の方が上ですから。」と誇っていた。ところが、2004年8月に美浜原発3号機で蒸気噴出による5名死亡、6名重症という死傷事故を起こした。

国の原子力の安全体制づくりだけでは拭いきれない危険性を、どの電力会社も「おごり」の姿勢の裏に、孕んでいるということを忘れてはいけない。

by ecospec33 | 2011-05-29 08:33 | 〇企業倫理と企業風土  

海水注入中断事件から企業倫理と企業風土を考える

東京理科大学では、環境に関する「装置工学概論」という講座を持っていたが、「企業倫理と技術者倫理」を「法令順守(遵守)」とともに説明した。
その中で、東京電力の不祥事問題を挙げていたが、3年目までの話と、それ以降の話は全く異なったものとなった。
その違いは、次の東京電力のホームページ抜粋から、理解してもらえると思う。

企業倫理・法令遵守の取り組み:http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/trust/index-j.html
『皆さまからの信頼に応えられるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。私ども東京電力は、平成14年8月の原子力不祥事以降、信頼回復のため「しない風土」と「させない仕組み」のもとで、グループの総力をあげて企業倫理や法令の遵守、安全・品質管理、情報公開による透明性の確保に全力で取り組んでまいりました。しかしながら、平成18年11月以降、当社発電設備においてデータ改ざんや手続き不備等の不適切な事案が明らかになり、再び立地地域の皆さまやお客さまの信頼を大きく損なうことになりました。こうした事態を踏まえ、当社は再発防止対策として、これまで取り組んできた「しない風土」と「させない仕組み」を充実・徹底させるとともに、「言い出す仕組み」を構築することといたしました。』

野党が政争化させている福島第1原発1号機の海水注入中断は虚偽であったか、どうかなど、その真相を解明することは難しいことと思うが、昨日、枝野官房長官が「福島第一原発の敷地内で事故直後に実施した放射線のモニタリング(監視)について、一部公開していないデータがあった。」と発表した。
今になってと誰もが思うだろう。細野豪志首相補佐官も「当初であれば混乱があったことは理解できるが、2カ月半たっている。タイミングが遅い。」と話している。
東京電力は社内の仕組みを変えたとしているが、「虚偽」と「隠蔽」の体質、風土は容易に変わらない。

食品会社では製品の品質クレームを減少させる体制を整えてきたと思うが、経営トップにクレームが伝わらないように、また営業部門に迷惑をかけないように、生産工場段階で、また本社の生産部門段階で、そのクレームを社内で最少に収めることが業務と考えている従業員が多いように思う。
クレームを社内の大クレームにさせない工場長、また生産部長は能力評価が高く、人事査定評価が高いという不文律が出来上がっているために、従業員は、それを目指すことになる。
クレームを減少させるという体制を整えても、「虚偽」、「隠蔽」の体質、風土はなくならないのである。

東京電力の二度あることは三度あると同様に、すべての企業で起こりうる問題と思って良いだろう。
株主総会が近い。企業の風土づくりは、人事に起因すると思って良い。
従業員は人事異動の適正さ、公正さを見て行動するものである。

by ecospec33 | 2011-05-28 09:21 | 〇企業倫理と企業風土