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カテゴリ:〇容器包装リサイクルの行方( 10 )

 

アルミ付きとアルミなし紙パックのリサイクル(野川の枝垂れ桜と新緑、容リ法、LL紙パック、混合回収)

花冷えが続いて、満開した桜も散らずにがんばっている。また、野川沿いの枝垂れ桜も7、8分咲きのままである。
       <<野川の枝垂れ桜>>
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花冷えが続いていても、旧谷口邸の緑は日増しに濃さを増している。この邸宅からの湧水が珍しく涸れて、これが流れ込まなくなった野川も全く水涸れしてしまった。
       <<旧谷口邸の新緑>>
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先日、印刷工業会とNPO法人である集めて使うリサイクル協会が作成した「アルミ付紙パックリサイクル事例集(Vol.3)」が送られてきた。これは、酒パックリサイクル促進協議会が進めるアルミ付き紙パックである酒パックのリサイクルの実態を取りまとめた小冊子である。
アルミ付き紙パックの酒以外の飲料については、LL紙パックリサイクル推進研究会がリサイクルを進めている。LLとは長期間の保存可能を意味するLong Life(ロングライフ)である。
どちらのリサイクル推進団体も、印刷工業会が主導的な役割を担っている。
       <<アルミ付き(LL)紙パック>>
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<<容器包装リサイクル廃棄物の分類>>
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容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)では、飲料用紙容器(飲料用紙パック)は、アルミ付きとアルミなしに大別されている。アルミなしの紙パックは、その商品を扱う企業(特定事業者)は再商品化義務が免除されているが、アルミ付紙パックは紙製容器に分類されており、再商品化義務があり、その費用負担が発生している。
容リ法の制定時においては、アルミなしに比べてアルミ付きの紙パックは古紙(再生紙)原料としてリサイクルしにくい容器包装廃棄物であったが、現在では再生紙メーカーの設備対応が整ったことから、古紙回収事業者→洗浄加工事業者→再生紙メーカーのリサイクル・ネットワークが確実に構築されている。
この結果、東京都の多摩市、武蔵野市、群馬県高崎市など、アルミ付き紙パックをアルミなし紙パックと同じように回収(混合回収)している自治体が増加している。       
        <<LL紙パックのリサイクル・ネットワーク>>
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アルミなしの紙パックについては、全国牛乳容器環境協議会(容環協)がリサイクルを推進している。また、容リ法に対応したアルミなしの紙パックのリサイクル推進団体は容環協が主体となっている飲料用紙容器リサイクル協議会である。
2008年にLL紙パックリサイクル推進研究会が発足した時に、市民団体の全国牛乳パックリサイクルの再利用を考える連絡会の会長が混合回収を進める動きに反発したことから、容環協の当時の常務理事がそれに盲従した。
このため、それぞれの組織の構成員は大きく変わらないにもかかわらず、容環協とLL紙パックリサイクル推進研究会は反目する状態が今でも続いているようである。
        <<アルミ付き紙パックのリサイクル・マテリアルフロー>>
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アルミなしとアルミ付き紙パックの回収率はともに低調である。2011年度におけるアルミなし紙パックの損紙を含む回収率:42.9%、使用済み紙パック回収率:32.5%であり、2010年度におけるアルミ付き紙パックのそれは、それぞれ13.3%、2.7%である。

アルミ付き、アルミなしともに、紙パックのリサイクル・ネットワークは変わらないことから、この回収率向上のためには、混合回収に向けた連携が必要である。
ともあれ、容器包装リサイクル法の改正が迫っている。消費者との連携を模索する前に、市民団体の思惑を無視して、業界団体間の連係も必要のようである

by ecospec33 | 2013-03-31 18:31 | 〇容器包装リサイクルの行方  

祝!!全国牛乳容器環境協議会 創立20周年

この2月7日に、全国牛乳容器環境協議会(容環協)「創立20周年記念シンポジウム」がグランドパレスで盛大に開催され、私もOBとして招待頂いた。
<全国牛乳容器環境協議会会長山登正夫(雪印メグミルク取締役常務執行役員)挨拶>
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容環協は1992年(平成4年)に設立された。
創立前年の1991年には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」が大幅に改定され、また「再生資源利用促進法(「資源有効利用促進法」として抜本改正)」が制定され、事業者は3Rに資する役割を果たし、環境配慮型製品(エコプロダクツ)を目指すことことなどの規制強化があった。また経団連は「経団連地球環境憲章」を公表し、企業に対し環境問題を担当する社内体制を整えるなどの指針を提示したことから、各社に環境対策室などの名称の担当部署が創設された時期であった。
1992年には、「リオ・サミット(環境と開発のための国際連合会議)」が開催されたことから、地球環境問題への国際的な意識が高まった時期でもあった。
容環境協設立の「趣意書」から、社会状況の変化に積極的に対応する団体の精神を読み取ることが出来るだろう。
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容環協の事務局は九段下にある日本乳業協会内に置かれている。
日本乳業協会をはじめとして日本酪農乳業協会など4団体、テトラパックなど飲料用容器メーカー7社、丸富製紙、信栄製紙、山田洋治商店などの再生紙メーカーと古紙回収業者10社、および乳業メーカー135社から構成されており、牛乳パック(紙パック)リサイクルの環境良好性を啓発し、その促進を図る任意団体である。
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1995年に「容器包装リサイクル法」が制定されたが、この法制定以前から小規模ながらリサイクルが進んでいたことが評価され、また有価で取引されている市場実態から、再商品化義務の対象とならなかった。ちなみに、当時の日本乳業協会会長であった大野晃氏(現森永乳業会長)が農林水産大臣に再商品化義務免除を陳情したことが、この政策決定に大きな影響を与えたということは、あまり知れれていない事実である。
1997年に通商産業省の指導により、牛乳パックだけでなく、飲料用紙パックのリサイクルを推進する「飲料用紙容器リサイクル協議会」が容環協を中核として設立された。これは、有価取引でなくなった場合に関係事業者がその赤字分を補てんするためである。
飲料用紙パックの販売量の推移、販売割合の推移が示す通り、その中核である飲用牛乳は漸減状態にある。容環協に参加する乳業メーカーが2004年には166社あったが、現在では135社となり、この8年間で31社減少していることも同様な実態を示している。
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紙パックの回収率は2011年度に初めて減少した。
震災の影響は少なくないようであるが、スーパーなど小売店での店頭回収量(実績値)が減少していること、店舗数から推定する回収量(推定値)が店舗数の減少によって減少していることが要因と思われる。
シンポジウム、その後の懇親会でも、「飲料用紙容器リサイクル協議会」を構成する全国清涼飲料工業会、日本果汁協会、発酵乳乳酸菌飲料協会が影に隠れていた。飲用牛乳以外の販売割合が増加しているのであるから、回収率向上に向けて、彼らにも活動の一部を担ってもらうことが必要である。

ともあれ、確かに容環協は数年前より組織が強固となったように思う。これは、前会長の中嶌賢治氏(清水乳業社長)と渡邉孝正常務理事らの事務局の努力の結果であるが、「仏造って魂入れず」に陥らないよう、これからの活動に期待したい。

by ecospec33 | 2013-02-08 14:26 | 〇容器包装リサイクルの行方  

容器包装リサイクルの推進(3R推進団体連絡会、法規制と自主行動計画、経団連)

『2012年容器包装3R連携 市民セミナーin札幌』が、今週の9月3日に開催されたという。それに参加していた業界団体の関係者から連絡を受けて知ったのだが、私もかつては各地で行われていた、同種のフォーラムなどに参加したことがある。

この主催者は『3R推進団体連絡会』である。
この『3R推進団体連絡会』は、2005年の「容器包装リサイクル法」改正見直し時に、経済産業省からの指導を受けて、次の8団体が、『容器包装の3R(リデュース・リユース・リサイクル)の円滑な推進と普及啓発を行うとともに、加盟団体相互の情報交換を図り、社会に貢献することを目的として』、2005年12月に結成された。
●ガラスびんリサイクル促進協議会
●PETボトルリサイクル推進協議会
●紙製容器包装リサイクル推進協議会
●プラスチック容器包装リサイクル推進協議会
●スチール缶リサイクル協会
●アルミ缶リサイクル協会
●飲料用紙容器リサイクル協議会
●段ボールリサイクル協議会

法令によって規制するのでなく、業界団体の自主的な行動を促すことによる規制は、地球温暖化対策と廃棄物対策からなる経団連の『環境自主行動計画』と同様に、経済産業省と経団連のお手の物である。
市民団体からの突き上げに対し、素早く結成された『3R推進団体連絡会』の各8団体は、昨年3月に第二回目の5年間の自主行動計画を掲げて行動している。

『3R推進団体連絡会』のHPを開くと、自主行動計画とフォローアップ、貴重な市民意識調査結果は掲載されているが、この『2012年容器包装3R連携 市民セミナーin札幌』開催の案内は掲載されていなかった。
各8団体の専務理事など執行部隊の長は、この連絡会の会合などに多くの時間を割いており、多くの関係者が支援しているので、業界団体の努力が表出していないことが非常に残念であり、HPを充実させることが肝要である。

『3R推進団体連絡会』が2008年にお台場で主催した『第三回 容器包装3R推進フォーラム』では、化学工学会で旧知の国立大学准教授が分科会の議事進行役となり、その場をすり抜けるような適当なコメントを発していた。
彼は電力中研の出身者でこの分野の専門家でもないにかかわらず、何故?と思っていたが、この種のフォーラム、セミナーの開催は、廃棄物のデータなどを集計するコンサルタント会社が請け負っているため、適当な学識経験者に参加を要請するのである。その要請を気軽に受ける学識経験者?も問題であるが、コンサルタント会社も問題であり、さらには主催者側に問題があるということだ。

官製的に結成された『3R推進団体連絡会』は、設立後に8団体間に不協和音が生じた。というより、一団体が突出していたために、その活動が停滞する事態に陥ったことがある。
その団体の専務理事が尋常な人物でなかったために、業界団体間の協調をとることが非常に困難であったと聞いている。今は市民団体の顧問をしているようだが、近寄りたくない人物に変わりはない。
乳業に関連するプラントメーカーなどからも彼の評判を聞いており、彼の出身母体のM乳業、今やM社となっているが、社内でも問題児であったのだろう。
社外の業界団体には、それなりに適当な人物を派遣しなくてはならないというのが、この結論である。

ともあれ、行政、業界団体、市民の各主体の努力が社会に浸透し、容器包装廃棄物の3Rが進むことが望まれる。

by ecospec33 | 2012-09-05 17:20 | 〇容器包装リサイクルの行方  

容器包装リサイクルの行方Ⅵ(行政の作為、不作為、環境省、3R推進に関する小委員会、田中勝、崎田裕子)

前回、エネルギー行政、とりわけ原子力行政の作為と不作為を記した。
身近な環境問題である家庭ごみ(一般廃棄物)の容器包装廃棄物について、行政の作為、不作為の事案を提起したい。

容器包装リサイクル法に関し、昨年2001年7月に5回、「容器包装リサイクルの行方」と題して特集を組み、2013年の改正に向けた問題点を整理した。
本年2012年3月27日に、環境省の中央環境審議会「廃棄物・リサイクル部会容器包装の3R推進に関する小委員会」が1年ぶりに開催されたが、来年が改正年に当たるにも関わらず、それ以降目立った動きがないそうである。
まるで、震災廃棄物の対応に追われる環境省は、本改正に向けて不作為を決め込んでいるようである。容器包装廃棄物の再商品化委託料を支払う事業者にとっては、年々費用が低下し、改正はまっぴら御免こうむりたいと、これ幸いなことなのだが、社会コストの最少化と資源の合理的利用を目的として、最低限の見直が必要である。
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3月の小委員会では、環境省が上図をなどの資料を提示した。環境省の伊藤廃棄物・リサイクル対策部長が冒頭あいさつで、『・・・容器包装リサイクル法につきましては、平成9年に施行され、・・・施行以来関係者の皆様のご協力により、着実にリサイクルの推進が図られてきている・・・容器包装廃棄物は、従来は容積比で家庭ごみの6割以上を占めておりましたが、環境省の平成22年度の調査結果では50.1%、約半分にまで下がってきているという状況でございます。また、一般廃棄物の排出量及び最終処分量につきましても、年々減少傾向にあり、排出量につきましては、ピーク時から約800万トンも減少をしていると、こういう状況でございます。これらは、今日ご出席の関係者の皆様方のご努力による大きな成果であると・・・考えているところでございます。』と話し、法規制の成果と事業者、消費者、国、地方公共団体の連携の成果を大きくアピールした。

これに対し、鳥取環境大学教授の田中勝委員長は『・・・容器包装の割合が減っているということがわかりました。・・・排出量も5,500万トンから4,600万トンまで、1人当たり1.1キロが1キロを割るようなところまで減ったということで、いろいろ生産者にdesign for environmentということで・・・スタートしましたけれども、その効果が出たのかなと思います。』、次に、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の委員でもあるNPO法人理事長でジャーナリストの崎田裕子委員が、『・・・容器包装の容積比が6割から5割になったと、やはりこういうふうなデータがしっかり出てくると、全国にみんなで取り組んでいるのが効果が出たということが強く発信できますので、こういうのを使って、これからもぜひこのリサイクルの大事さを広めていくということを、続けていきたいなと改めて思いました。・・・』と続けた。

昨年7月21日に、私は「容器包装リサイクルの行方Ⅲ」(http://ecoeng.exblog.jp/15150445/)の中で、『2009年度は非常に低下しているように見える。しかしながら、これは重量から容積に換算する「容積換算係数」を大幅に変更したためであって、2008年以前の「容積換算係数」を使用すれば、ほとんど低下していない。このため、家庭ごみ中の容器包装廃棄物の容積割合は60%という実態は変わっていないと言ってよい。』と注意を喚起した。
今回、新たに2010年度の環境省「容器包装廃棄物の使用 排出実態調査」を加えて図示する。
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(重量割合の上位を占める「容積換算係数」が大幅に低下し、その容積割合が増大している。)
これらの図から、容器包装廃棄物の湿重量割合で2010年度が、また容積割合で、2009年度と2010年度が、それ以前と比べ不連続に低下していることがわかる。
この要因は、図のとおり「容積換算係数」が大幅に変化した(させた)こと、また2010年に「調査対象」を6都市から7都市に増加した(させた)ことによる。
2009年度以前と2010年度以後は、基本的に比較するようなデータではないのである。

行政の作為を感じる情報開示の方法で、小委員会を翻弄している。
環境省の事務局は情報を的確に開示することが求められ、一方、小委員会のメンバーは自分自身で情報を的確に収集・分析する努力をすべきである。それが出来ないなら委員を辞することは出来る。それこそ、幾ばくかの税金ドロボーである。
小委員会メンバーは専門家としてのプライドがあるだろうが、行政の作為を知らずに(知っているかもしれないが)、それに上塗りするようなコメントを発して、行政におもねる態度は恥ずべき行為であると認識すべきである。

行政の作為に乗るような審議会の委員は不要である。

by ecospec33 | 2012-06-06 19:23 | 〇容器包装リサイクルの行方  

容器包装リサイクルの行方Ⅴ(社会的費用-便益=社会全体のコスト、再商品化手法)

容器包装リサイクル法の10年目の見直しの審議会において、『事業者側の再商品化の費用負担が約400億円に対し、自治体の容器包装廃棄物の分別・収集・保管の費用が約3000億円であり、特に容器包装リサイクル法施行後、新たに分別収集を始めたことにより約380億円の費用が増加しており、過大な費用負担である。』との指摘が、地方自治体と市民団体からなされた。

これに対し、事業者側から『自治体の算出根拠が明白でない、自治体で効率的でない運用がなされていないのではないか。』という指摘があったことから、2007年に環境省が一般企業と同様な会計制度を取り入れた「一般廃棄物会計基準」ガイドラインを地方自治体に示し、コスト分析と評価を行い、効率的な運営に努めるよう指導した。
また、これに合わせて、環境省は「一般廃棄物処理有料化の手引き」と「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」のガイドラインを示し、それぞれ、一般廃棄物処理(ごみ)の有料化の推進および廃棄物の減量とその適正な処理を指導している。

経済産業省は、容器包装リサイクル法の施行によって、事業者と自治体の「社会的費用」が増加したのに対し、廃棄物の焼却・埋め立て費用の削減、枯渇性資源の削減などによって「便益」を得たとして、その差額である「社会全体のコスト」を280億円であると算定している。
この「社会全体のコスト」を低減できたのか明確にすることが、今年から始まった容器包装リサイクル法の再見直しの課題の一つである。
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1年以上にわたる10年目の見直し審議によって、2006年に容器包装リサイクル法が改正されたが、「政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。」とする付帯決議が、衆議院で17項目、参議院で11項目なされた。非常に多い項目数であると言われている。
この中には、発生抑制を最も優先すべき、ファストフードなどでの再使用容器の利用、ペットボトルの再使用の検討などがあり、また『プラスチック製容器包装の再商品化手法については、循環型社会形成推進基本法の原則を堅持すること。』という1項目がある。
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これは、法の基本方針が改正され、プラスチック製容器包装の再商品化手法について、材料(マテリアル)リサイクルとケミカルリサイクル4 手法に加えて「円滑な再商品化の実施に支障を生ずる場合に、固形燃料等の燃料として利用される製品の原材料として緊急避難的・補完的に利用する。」とし、燃料化を追加したことへの抵抗的な決議と言える。
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2007年に、再商品化を担う日本容器包装リサイクル協会が、再商品化が高額となる材料リサイクル優先の問題点を明確化するために、「再商品化手法に関する環境負荷等の検討」を行い、『材料リサイクル手法が特段優れているとはいえない。』と結論づけている。
この再商品化手法に関しては、今年から始まった法の再見直しでも、検討されるものと思っている。

廃棄物と容器包装リサイクルに関し、1回の異なった話題をはさみ、これまで6回連載し、その現状を整理し、問題点を指摘した。とりあえず、この話題を終えたいと思う。

by ecospec33 | 2011-07-23 08:22 | 〇容器包装リサイクルの行方  

容器包装リサイクルの行方Ⅳ(再資源化量、リサイクル率、リターナブルびん)

一般廃棄物のリサイクル率は増加を続けている。総再資源化量も増加していたが、全体の排出量が低下していることから、ここ数年減少に転じている。
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この状況をバックアップしたのが、自治体の家庭ごみの分別収集と有料化である。
府中市は2010年2月から開始した家庭ごみ有料化に合わせ、プラスチック製容器包装ごみの有料化も実施した。これによって、ごみ排出量を約20%削減したと公表している。仙台市、京都市など、プラスチック製容器包装ごみを有料化する自治体も増加している。
この有料化は、リサイクルに回すべきプラスチックごみだけを分別排出することから、自治体と事業者の再商品化への処理作業を効率的にすることも期待されるだろう。
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このように、平成7年に容器包装リサイクル法が成立したことによって、また市民の意識の変化と事業者の軽量化などの努力によって、確実に減量化(Reduce)と再資源化(Recycle)が進んだ。
しかしながら、環境を標榜する市民団体は再使用(Reuse)が進んでいないと主張する。学校の給食での牛乳の容器を、牛乳パックから再使用できる牛乳ビンにするなどの運動を展開する。
確かに50年くらい前はリターナブルびんの全盛だった。酒屋さんに瓶を持って醤油とお酢を買いに行き、樽から瓶に注いでもらった。一度帰り道で落としてしまい、もう一度買いに行かされた苦い思い出がある。
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減少が続いてはいるが、牛乳やビールのように、リターナブル(リユース)びんは地域を限定し、利用場所を限定したクローズ系で回収と洗浄を確実に行う場合には、経済性に成り立つだろうが、その洗びん設備は大規模投資であるため、新たな設備を導入する事業者はほとんどない。
生協系のリユースびんを回収し、洗浄している都内の事業者を見学したことがあるが、洗びん装置は非常に旧式なもので、その設置環境の衛生性は優れているとは言えなかった。
ドイツでは非常に肉厚なPETボトルでのリユースについては、2008年から環境省などが実証実験をおこなっているが、オープン系では回収率が低下すること、外面に傷が残ること、内面に汚濁残留物が残るなど難点が多かったと記憶している。

by ecospec33 | 2011-07-22 10:09 | 〇容器包装リサイクルの行方  

容器包装リサイクルの行方Ⅲ(容器包装廃棄物の割合、重量、容積)

家庭から排出される“ごみ”(家庭系一般廃棄物)の中で、プラスチック製容器、PETボトル、牛乳パックなどの容器包装廃棄物の排出割合が高く、これを減少させるために、容器包装リサイクル法が施行された要因の一つと言ってよいだろう。

この実態については、環境省が年度毎に「容器包装廃棄物の使用 排出実態調査」を実施し公表している。その結果を図に示す。
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容器包装廃棄物の重量割合については、低下傾向にあることを示している。
自治体での集団回収、スーパーなどの店頭回収、自動販売機などでの事業者回収といった資源回収が進んだことが要因と言えるだろう。
次に、容器包装廃棄物の重量割合ではなく、実際の重量について、環境省の「一般廃棄物処理実態調査」のデータを使用して、図に示す。
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2004年度から着実に低下し、2009年度には約83%まで低下している。
審議会などでも、しばしば使用され、指摘されるのは、容器包装廃棄物の重量割合ではなく、容積割合が高いことである。この推移を図に示す。
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2009年度は非常に低下しているように見える。しかしながら、これは重量から容積に換算する「容積換算係数」を大幅に変更したためであって、2008年以前の「容積換算係数」を使用すれば、ほとんど低下していない。
このため、家庭ごみ中の容器包装廃棄物の容積割合は60%という実態は、変わっていないと言ってよい。

by ecospec33 | 2011-07-21 10:45 | 〇容器包装リサイクルの行方  

容器包装リサイクルの行方Ⅱ(容器包装の回収率、PETボトル、紙パック、古紙)

快挙の余韻が冷めやらぬなか、今朝なでしこジャパンが凱旋帰国した。
さっそく、本題に入ろう。容器包装リサイクル法施行によって、実際に効果があったのかがポイントである。ここで、飲料用に使われる容器のリサイクル率の推移を示す。
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素材が金属であるアルミ缶とスチール缶は90%で飽和しており、素材がプラスチックであるPETボトルは78%まで上昇、素材が再生可能資源である紙パックは33%まで上昇している。この数値は、それぞれのリサイクル協会が発表しているもので、私も協力していたので信用してもらいたい。
PETボトルについては、集計するのが困難な中国への輸出量を含めると90%を超えると推定されているため、このリサイクル率が限界という感じである。

紙パックについては、「紙パックは再生可能資源という素材から出来ている。」という市民の意識が、リサイクル率を低迷させていると考えてよいだろう。新聞紙に代表される古紙のリサイクル率が79%まで上昇しており、これが紙製品のリサイクルの上限の100%とすれば、紙パックのリサイクル率は44%と算定されるのである。まあまあの好成績と考えて良い。
紙パックの使用量は、新聞紙などの紙使用量全体の1%にも満たないが、良質なバージンパルプを使用していることから、リサイクルすれば再生資源として、トイレットペーパーなどに変身する。

紙パックのリサイクルを推進する正式な組織は「飲料用紙容器リサイクル協議会」であるが、実際は、牛乳パックのリサイクルを推進する「全国牛乳容器環境協議会」が担っている。
その専門委員を3年ほど前までやっており、辞める際に広告などの雑紙(ざつがみ)にも紙パックが混入して回収されるので、十分な再調査してから回収率に計上するよう薦めた。雑紙回収で混入した紙パックは、トイレットペーパーなどには再生できないのであるが、一旦は市民から回収されるのであるから、回収率に計上するべきと考えているのである。

このように、容器包装リサイクル法の施行により、大きな成果が得られていると考えてよいだろう。
しかしながら・・・・ 問題点は次回としたい。

by ecospec33 | 2011-07-19 11:35 | 〇容器包装リサイクルの行方  

容器包装リサイクルの行方Ⅰ(再商品化委託費用、上位50社)

今朝は、なでしこジャパンのW杯優勝に、日本中が歓喜し、勇気をもらった。

ところで、平成9年4月に本格施行された容器包装リサイクル法(「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」)の15年目の見直しに向けた審議会が3月から始まっている。
目的は、『容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及びこれにより得られた分別基準適合物の再商品化を促進するための措置を講ずること等により、一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じて、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。』と、法に規定されている。
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その概略は、図のとおり容器包装廃棄物を消費者が「分別排出」し、市町村が「分別収集」し、容器包装の製造事業者とその利用事業者が「再商品化」することで、各主体が役割を分担し、協働して容器包装廃棄物の3R(Reduce、Reuse、Recycle)を図ることにある。
事業者は再商品化費用を(財)日本容器包装リサイクル協会に支払い、再商品化を委託する。
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その費用は年間400億円弱である。そのほとんどが、プラスチック容器包装のための再商品化費用である。かってはPETボトルの費用も多大であったが、有価に近い単価で取引される仕組みとなったことから、費用が大幅に減少した。
事業者である各企業の支払額を上位から50位まで順に並べてみた。その上位50社で、総費用の約40%を占めている。この上位の企業の多くは、それぞれの容器包装のリサイクル推進協会などに所属し、また理事などを送り込み、減量化、リサイクルの向上への情報発信などを協力して進めているが、スーパーなどの小売業は、ほとんどが参加していない。
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企業では毎年下半期の初めから、この集計作業に入る。翌年6月に日本容器包装リサイクル協会と契約する段取りであるが、相当なマンパワーを要する。
同業他社との金額の相違を分析し、プラスチック容器の重量を軽くすること、プラスチックから紙へ変更することなどを担当役員等に進言するが、容器包装は製品そのものであり、容易には進まないのが現状であった。

by ecospec33 | 2011-07-18 16:49 | 〇容器包装リサイクルの行方  

容器包装リサイクル法 (EPR、中央環境審議会、産業構造審議会)

先月3月23日に、環境省の中央環境審議会の廃棄物・リサイクル部会「容器包装の3R推進に関する小委員会」が開催された。5年ぶりに「容器包装リサイクル法」改正に関する審議である。
市民が排出する一般廃棄物のうち、容器包装の廃棄物が容量で約61.7%、重量で23.3%を占めている。焼却を減らし最終処分場の寿命を延ばすために、この排出を抑え(Reduce)、再利用(Reuse)、再生利用(Recycle)するが求められ、1995年に容器包装リサイクル法が制定され、市民が分別排出、自治体が分別収集、事業者が再商品化する役割分担を明確に定めた。
法は5年ごとに見直されると規定されており、約1年かけて関係省で見直しの審議がなされ、法の精神と実態に合わせて改正される。今回の大災害の影響で、経産省は産業構造審議会を開催していない。環境省は、「災害は災害、3Rは3R」という立場で審議会を開催したそうである。

前回の改正時は約6年前から、経産省と環境省は審議会、農水省は懇談会が数十回にわたって開催された。私など多くの事業者の代表が毎回傍聴して、その進捗を見守った。その間、PETボトル、紙容器、プラスチック容器など各容器包装リサイクル推進協議会の中で意見の調整と集約が行われ、各省の担当課長、担当室長とも意見交換を重ねた。一方、市民団体は議員への直接攻勢を行い、事業者の責任と費用拠出に理解を求めた。

審議では、市民団体、環境経済学者がEPR(拡大生産者責任)を戦略の支柱に据えて、事業者に対し資金拠出を迫った。しかしながら、事業者側は、自治体が容器包装廃棄物を分別収集集する処理費用が明確でないなどを指摘し、また、経団連の協力のもとに、ガラスびん、P E T ボトル、紙製容器包装、プラスチック容器包装、スチール缶、アルミ缶、飲料用紙容器、段ボールの各リサイクル推進協議会が組織する「容器包装に係るリサイクル八団体(八団体)」を結成し「容器包装の3R 推進のための自主行動計画」を公表した。
経産省と環境省の合同審議会が年を越えて続けられ、スーパーなどのレジ袋を少なくしようという、マイバック運動が突然に提起され、事業者は自治体負担に一部を拠出することが決定された。

先月末の審議会では、八団体がオブザーバーとして出席し、新たな3R自主行動計画を公表した。その内容に対する審議は特になかったそうである。自治体の赤字がますます進み、民主党が政権をとり、、経産省、農水省が大災害の復旧最中に、どのように動くのかを注目したい。

by ecospec33 | 2011-04-05 09:08 | 〇容器包装リサイクルの行方