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カテゴリ:〇食料自給率と食品廃棄物( 7 )

 

食料自給率と食品廃棄物Ⅶ(食品バイオマスの利活用、エネルギーアドバンス)

数年前に私が着想し実施までを行った「森永乳業 多種バイオマスの最適な複合利活用による熱供給」が、今年の3月に「平成22年度食品産業CO2削減大賞」の農水省総合食品局長賞を受賞した。
私が単独で構想を展開させ実験などを重ねて5年経過し時点で、それまでもコージェネレーションの導入で協力してもらっていた、㈱エネルギーアドバンスの優秀な技術者とともに、この食品バイオマス施設を具体化し実施した。着想から実施までに約7年を要した。
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食品工場では、その製造品目によって様々な食品廃棄物が排出される。
前回、前々回に、廃棄物の処理について厳しい指摘をしたのには、私が現実的にこのよな対策を実施した経験を有しているからである。
廃棄物を安価に処理することだけを考えてはならない。環境対策の一部として考えて、いかに価値のあるもの、経済的に成り立つものにするかを検討しなくてはならない。
その価値は、廃棄物の自工場での確実な管理、廃棄物の排出削減、熱回収によるエネルギーの削減、CO2の削減などによる環境性と経済性である。

食品廃棄物の処理するポイントは、その含水率によって、処理法を検討することである。
廃液などの高含水率(約85%)の食品バイオマスはメタン発酵させ、コーヒー粕などの低含水率(約60%)の食品バイオマスは乾燥させ、これを合わせて、ボイラーで熱回収させたのである。

社内で誰からも指摘、指導されることなく着想し、構想を膨らましていたのが一番楽しい時期であったようだ。現実に出来上がってしまうと、こんなものであったかと、それほどの満足感は得られなかった。
しかしながら、それが公的に評価されるのは、非常に誇らしいものである。

by ecospec33 | 2011-08-24 19:52 | 〇食料自給率と食品廃棄物  

食料自給率と食品廃棄物Ⅵ(食品リサイクルの現実)

あるNPO法人が、2年ほど前に私の後任者となった環境対策部門の長に接触を図った。
そのNPO法人とは、その数年前から私とも“おつきあい”をしてはいたが、遠巻きにして観察していた。というのも、“うさんくさい”匂いがしたのである。
そのNPO法人は今も活動しているらしいので、名前を伏せておかなくてはならないが、そのHPを開くと、全国展開を図るという内容は消去され、3年以上前の理事長挨拶などの内容だけが掲載されている。

4年ほど前に、そのNPO法人が関与して建設した埼玉県にある廃棄物処理施設を有する企業を視察した。予定の半分程度しか産業廃棄物を収集できていないために、木材のチップを投入しており、その施設の裏では運転員が数名蠢いていた。木材チップは品薄で高騰しており、買い入れ費用がかかっている感じであった。
「コカコーラが食品廃棄物を資源化して売却。」とセンセーショナルに宣伝していた時期であったので、「環境に優しいと、貴社も宣伝できますよ。」と勧誘しきりであった。

しかしながら、不思議なのである。産業廃棄物を処理しているにもかかわらず、産廃処理の許可を得ていないのである。埼玉県は資源化施設であるから、その許可の必要はないと言っているそうだが、排出、搬送されている時点では産業廃棄物で、その処理施設は産廃処理施設の対象外なのである。
栃木県は、長年運営していきた産業廃棄物である脱水汚泥を肥料化(コンポスト化)する会社を閉鎖に追い込んだことがあったが、これも産業廃棄物の処理施設として許可を得ていなかったという理由をつけたのである。
また、その施設は、廃棄物を直接的に燃焼するという工程があるにもかかわらず、ダイオキシン対応が施されていなかった。これに関しては、「その処理は焼却施設に当たらない」という行政の考え方も成り立つであるだろうが、実質的には廃棄物の半分程度が焼却しているのである。

この視察の後も、“うさんくさい”NPO法人に盛んに付きまとわれたので、周辺の工場から該当する廃棄物の少量を出してもらい、私はお付き合いを最小限に留めていたが、バブル期入社の私の後任者は、誘惑への素直さ、勉強不足、経験不足、実績を上げたいという焦りなどによって、そのNPO法人に取り込まれたと言って良いだろう。
NPO法人の工程表に乗って、農林水産省のバイオマス関連の多額の補助金を得る算段を続けていた。
役員らから意見を求められたので、私は「お付き合いしていた農水省元環境対策室長の話でもあるが、NPO法人は設備会社と連携しており、リース会社を巧妙に使い、公的な補助金を引き出そうと考えている。これが監査などで公にされれば、これに加担した企業として、ブランドイメージが堕ちることにも成りかねない。」と諭した。

結果的には、会長判断で取り止めとなったが、バブル期入社の担当者の産業廃棄物という一分野での判断ミスが原因で、「企業のほころび」が表面化する可能性があることを、この事件が示している。

余談であるが、かつて視察した埼玉県の産業廃棄物処理会社は、案の定、1年ほど前に倒産したと、そこに産業廃棄物を排出していた工場の担当者から聞いた。
昨年秋のゴルフコンペ時に、そのことを後任者に話して、「信用のおける会社とお付き合いしなさい。」と諭したつもりだが、そのNPO法人は彼に営業活動を続けているらしく、「NPO法人には大学教授がついている。」と強気で、自分の失敗事件に気づいていないようであった。「HPも見返しなさい。」とも教えたが、彼はどうしただろうか。

by ecospec33 | 2011-08-22 10:31 | 〇食料自給率と食品廃棄物  

食料自給率と食品廃棄物Ⅴ(食品リサイクル、脱水汚泥、産業廃棄物、おから乾燥)

社内のある研究所が、脱水汚泥のガス化燃焼という実験を炉メーカーのテストプラントで行っていた。食品会社の排水処理の脱水汚泥は含水率が高く、自燃することが出来ないと思われたのだが、その実験は成功したかのように大々的な報告がなされていた。

それを読んだ役員が、私の意見を求めてきた。これに対し、「脱水汚泥は食品廃棄物に該当はしないが、産業廃棄物として大きな量を占めることから、その処理方法を模索することは研究所の取り組みとしては理解できる。しかしながら、脱水汚泥とそれに関連する廃棄物について、排出量、排出形態、排出環境などの実態を的確に把握していないこと、ガス化燃焼での熱収支が正確でないこと、炉メーカーの言いなりとなった報告であることなどから、この実験以降の展開を中止すべきである。」と進言したことがあった。

その研究所では先例があった。この問題が発生する数年前に、「おからの乾燥技術開発」というテーマがあった。「おから」を有償で引き取ってくれる企業があれば、有価な資源として産業廃棄物とはならないが、そのような甘い社会ではない。法廷で争われたこともあったが、「おから」は産業廃棄物と同時に、食品廃棄物でもある。
「おから」の適正な処理については、この開発テーマに上がる2年ほど前に、私が社内で方向性を打ち出して一件落着していた。しかしながら、その研究所に対して、ある乾燥機メーカーが売り込みを図っていたのである。ある乾燥機メーカーとは、かつて私が「おから」の乾燥テストを実施したメーカーであった。


この「おから乾燥技術開発」なるテーマについても、食品廃棄物の実態を認識していないこと、経済性に関する検討がなされていないことなど、私が意見を出して反対したことによって、それ以上の進展はなかった。

食品廃棄物など産業廃棄物に関しての売り込みは多い。乾燥、焼却など処理設備の類、安価な産廃処理業者の自薦、他薦の紹介の類など様々であるが、マユツバで臨んだ方がよいだろう。
先の研究所の事例のとおり、これまで廃棄物などを扱ったことがなかった部署、あるいは担当者は、バイオマス、ガス化燃焼、エネルギー転換、送風乾燥などの目新しい誘い文句に、経済性の高い先進的な技術と勘違いして、その売り込みに飛びつく傾向にある。

次回も、生々しい事例を紹介し、注意を喚起したい。

by ecospec33 | 2011-08-21 12:52 | 〇食料自給率と食品廃棄物  

食料自給率と食品廃棄物Ⅳ(食品リサイクル法、飼料化、肥料化、バイオマス)

コンビニの弁当などを製造する工場があり、その工場長に工場内を案内してもらった。
パンの耳の切り端があり、「飼料会社が、他の食品廃棄物と無償で持って行ってくれる。」と自慢そうに工場長は話した。「それは、廃棄物処理法上も食品リサイクル法上も脱法行為に当たる。法に沿った適正処理をしなくてはならない。」と諭したことあった。
パンの耳は食品廃棄物であるが、有償で売却することで産業廃棄物扱いとしないこと、その他の食品廃棄物は産業廃棄物としてマニフェスト管理することを、工場長に約束させた。
このように、食品廃棄物と認識せず、また食品廃棄物が産業廃棄物にならない場合もありうる。

中部地方から千葉県へ300km近くを、豚の飼料として食品廃液を輸送している事例もある。養豚向けの飼料会社がローリーを週2、3回廻してくれるのであるが、それがかなりの有償引き取りなのである。
冨士山の西側山麓に「ヨーグル豚」というブランド豚の養豚場を視察したことがあったが、その食品廃棄物をヨーグルト状の酸性飼料化する神奈川県の食品リサイクル会社は倒産し、経営者が変わった。千葉県でもセブン-イレブンなどから出る弁当などの食品残さをリサイクルする大規模な食品リサイクル会社「アグリガイアシステム」があったが、運用開始して約2年足らずで2009年に倒産した。その飼料化工場は大々的に見学者を受け入れていたが、倒産劇はテレビでも放映され、セブン-イレブンの対応にも多少なりとも問題があったようである。

一方、食品廃棄物をバイオマスとしてエネルギー化している会社もある。市川環境エンジニアリングの関係会社である台東区にある「バイオエナジー」である。バイオマスをメタン発酵させ、そのメタンを燃料としてガスエンジンと燃料電池で発電(24,000kW)し、余剰分の電力を売電するのである。
8年ほど前の運用開始前に視察させてもらったが、立派な設備であった。しかしながら、かなりの有償引き取りであったので、取引は成立しなかった。
食品廃棄物の飼料化、肥料化は、その先のユーザーが確保されているかが問題であるが、バイオマスとしてエネルギーに変換できれば、そのユーザーは確実に確保されている点で有利と言える。

このように、食品廃棄物の扱いには信頼のある会社との取引が必要であるが、全体像を描き、先を読む力も必要である。

by ecospec33 | 2011-08-20 20:33 | 〇食料自給率と食品廃棄物  

食料自給率と食品廃棄物Ⅲ(食品ロス率、生ごみ、厨芥物、食品リサイクル法)

今日が暑さのピークだそうである。7月中旬までは暑さに慣れないため、食欲がすこぶる低下したが、その後は気温が低下したこともあり、食欲は回復している。
昨年は長期間雨が降らなかったので、水撒きを朝晩必ずおこなったため、水道使用量が倍増し、水道局が水漏れしているのではないかと調査に来訪したが、今年は、それほどでもない。

食料は「家庭向け」と「食品産業向け」に仕分けされる。その割合は、家庭:食品産業≒60:30である。
2009年度における家庭における食品のロス(損失)率は3.7%である。数年の推移を図に示す。食品使用量も食品ロスともに低下し、食品ロス率も低下している。核家族化によって食品ロスは増大するものの、家庭において料理をしなくなり、適当な量の個食の内食が進んだことによって、食品ロスが低下したこともあるかと思う。
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家庭の食品廃棄物は「生ごみ(厨芥物)」として排出される。生ごみは、家庭から排出される一般廃棄物の約35%を占めている。バイオスとしての利活用はあるとしても、そのほとんどが焼却処分されている。そのため、生ごみの水分を切ることが市民に求められている。

食品産業に向けられた食料の廃棄物は、「食品リサイクル法」によって、優先順位が決められており、発生抑制>減量化(乾燥、脱水、発酵、炭化)>再生利用(飼料化、肥料化、炭化、燃料化)>熱回収などによって、食品循環資源の再生利用が進められている。
2007年度に法が改正され、その再生率の目標値が定められ、定期報告が義務化された。
余談であるが、改正当時の農水省の環境対策室長から聞いた話であるが、炭化については、有識者の強い要望で取り入れたのだが、その実態は無きに等しいものであったという。
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この再生率について、過去からの推移を表したいのであるが、法改正後の定期報告によって、過去の実態把握が適正でなかったことが判明したため、再生率向上を示す過去の資料を使用できなくなった。

ここで、注意しなくてはならないことは、環境省の産業廃棄物の取り扱いと農水省の食品廃棄物の相違点である。前者の産業廃棄物は、事業所から「排出」される不要物であるが、後者の食品廃棄物は、事業者内で「発生」する不要物であるという点である。事業所内で発生した食品廃棄物を乾燥、脱水などをした後に、事業所から産業廃棄物として排出するという考え方である。
食品リサイクル法改正の際に、農水省に対し、排出量は商取引のため適正であるが、発生量の把握は適正に行われないという実態を説明し、改善を求めたが、無為に終わった。

by ecospec33 | 2011-08-18 08:34 | 〇食料自給率と食品廃棄物  

食料自給率と食品廃棄物Ⅱ(食料品、マテリアルフロー、食料効率)

お盆の帰宅ラッシュのピークが昨日で終わった。
東京電力管内の電力需給逼迫もピークを越えたようであるが、連日、猛暑日に近い最高気温が続き、寝苦しい熱帯夜が続いている。
調整運転が5か月以上続いていた、北海道電力の泊原発3号機の営業運転再開が近いようである。
かつて北電の営業担当が、「他の電力会社より、電力使用に対する再生可能エネルギーの電力割合が高い。RPS法が規定する電力量をすでに超えており、これ以上の再生可能エネルギーは必要ない。」と話していた。東北地方と北海道は、再生可能エネルギーの立地に適しており、原発を推進するよりは、これを推進する政策を進めるべきと思う。
もちろん、既存の原発は安全に効率的に運用し、寿命が来れば即座に閉鎖させることで良いと思っているが、なし崩し的に営業運転に移行させることは、疑問が残る。

お盆で休んでいたわけではないが、食品自給率から始まった本題について、欲しい資料が見当たらず、また資料を読み解くのに時間を要した。
次の図は、様々な資料から抜粋した「食料品の生産から消費までのフロー図」である。マテリアルバランス(物質収支)を試みたが、上流の原料の調達から加工、使用、下流の廃棄までの水分量が不明なために、辻褄があわないような箇所も多いが、正確さを重んじたつもりである。
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引用した資料は、図にも示しておいたが、次のとおりである。
・農林水産省:「食料自給表」、「食品ロス統計調査」、「食品循環資源の再生利用等実態調査」
・厚生労働省:「国民栄養調査」
・環境省:「一般廃棄物処理実態調査」、「容器包装廃棄物の使用・排出実態調査」
ここで、「食料供給熱量」と「栄養素等の摂取量」との比である「食料(摂取)効率」が、75.7%である。エネルギーであれば、エネルギー効率といって良い数値である。24.3%が損失分である。この推移を図に示す。
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供給熱量、摂取量ともに低下傾向にあり、また摂取効率が上昇に転じている。高年齢化によって必要熱量が低下する傾向は続くだろうが、核家族化による食品の無駄発生もあり、食料摂取効率は低下するものと思われる。

by ecospec33 | 2011-08-17 10:10 | 〇食料自給率と食品廃棄物  

食料自給率と食品廃棄物Ⅰ

昨日午後2時過ぎに、自宅周辺ではゲリラ雷雨に見舞われ、最高気温の36℃から27℃まで一気に9℃低下したが、湿度が急劇に上がった。電力需給逼迫のピークは昨日までで終わり、今日は帰省ラッシュのピークだそうである。
1週間前にも、車を運転中にゲリラ雷雨に遭遇したが、ワイパーが効かないほどの雨だった。車軸を流す大雨と形容するが、そのものだった。

ところで、2010年度の食料自給率が前年度より1%低下し、39%になったそうである。
エネルギー自給率と同様に、先進国の中で最低の自給率である。
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この食料自給率には、カロリーと生産額で捉える方法があり、馴染のあるのは前者のカロリーベースの数値である。

中央酪農会議が牛乳消費の向上をはかるために、「牛乳は国産だ」というCMを流していた時期があった。確かに、飲用の牛乳は国産の原乳100%から作られるのだが、酪農を営む飼料自給率が41%であるため、牛乳の実質的な自給率は41%となる。また、原乳換算で約400万トンを輸入しており、国産の原乳が約800万トンであるから、牛乳・乳製品は国産67%なのだが、飼料自給率を考慮すると28%となる。

自給率を向上するために、農水省は2008年から「FOOD ACTION NIPPON フード・アクション・ニッポン」という国民運動を展開している。食育活動、地産地消運動などの複合的な成果だろうが、米粉を使ったパンや即席ラーメンが出回るなど、お米の消費は上向いている。
お米については特に、原発事故の影響が出ないことを切に願いたい。

by ecospec33 | 2011-08-12 17:15 | 〇食料自給率と食品廃棄物