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カテゴリ:●CSRと環境対策( 25 )

 

市民活動団体との連携・協働に必要なもの(社会貢献、CSR、NPO、市民団体、容器包装リサイクル)

企業の社会貢献(CSR: Corporate Social Responsibility)が叫ばれている今こそ、市民団体、行政、事業者(企業)との連携と協働が求められている。
内閣府は「市民団体調査」を数年毎に行っており、その中で市民活動団体を定義している。
『「市民活動団体」の定義は、「継続的、自発的に社会貢献活動を行う、営利を目的としない団体で、特定非営利活動法人(NPO法人)及び権利能力なき社団(いわゆる任意団体:市民団体)」とする。』
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1998年に「特定非営利活動促進法」が制定され、『NPO法人』は増加の一途をたどり、現在約4万5千が認可されている。しかしながら、約1割の法人が解散していることも見逃せない。
生涯スポーツ功労者賞(文部科学大臣表彰)を受けている妹が地域のスポーツ振興を図るために、数年前にNPO法人を立ち上げたが、申請時には手続きの煩雑さに四苦八苦し、認証取得後も自治体との調整など団体経営に忙殺される毎日と聞いている。
NPO法人の役割は様々であり、『市民団体』(任意団体)も同様である。市民団体の数は、NPO法人数より少ない約3万と推定されており、法人化が進んでいるという。
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2006年7月末に、ある容器包装リサイクルに特化した市民団体の20周年記念に参加したことがある。代表は創業者の志を継いだ娘であり、副代表は創業者の活動仲間の女性であった。この2年ほど前に男性の事務局長は仲違いして退会しており、代表と副代表が事務局員を兼ねていた。
その懇親会の席上で、約半年後に原子力委員会委員に就任する松田美夜子富士常葉大学教授から、この市民団体について、「これからは、企業など事業者団体が支援していくのよ。」と、にこやかに話された。これについては後述のとおり、異論を持っていたので、この市民団体との付き合いが長い女史が、この団体の市民活動の低迷を案じていると直感し、「そうですね。」とだけ曖昧に答えた。

その帰途、農水省で環境対策を担当するノンキャリア官僚と列車で乗り合わせた。「このような活動の衰退はこの団体に限ったことでなく、多くの消費者団体にもある。その要因は、一般論として時代の変化による地域社会の基盤変化と社会のニーズの多様化にあり、また個別の問題としては創業者である母親時代が築き上げた市民のネットワークが崩壊していることにある。」と、実務経験の豊富な彼は明快であった。
それを裏付けるように、この市民団体が主催する会議での出席者の割合を確認すると、共催者である事業者の関係者が約56%、関係する事業者が約9%、自治体関係が約23%を占め、市民が主催者と同じく約6%であり、それも高齢者ばかりであった。
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松田女史に言われるまでもなく、この市民団体に対して市民からの支援が皆無になりつつある中、これに代わって業界団体と個別企業が会員として支援しているところであったが、その支援が一部の偏った考えを抱く企業のために、必要以上に増大していた。
ここで、その支援とは活動と事業資金の助成と労働力の提供を示すが、この市民団体は会員に対し、会員と財政(収入・支出)の実態などの情報公開をしていなかった。このような状況を甘受して支援し続ける業界団体も不甲斐ない話であるが、その業界団体には十分な資金の手当てと十分な労働力の支援が容易に出来ることから、市民団体とは馴れ合いの連携と協働が進められたのである。

この市民団体の20周年直後に、代表に半日程度の啓蒙活動に依頼し、給料1月分相当の謝礼を提供したことがあった。1,2週間後に副代表にお礼の挨拶をしたところ、それに関する入金はないと不機嫌であった。
代表が団体名の領収書を直接発行しているにもかかわらず、まことに不可解で不愉快な事件であった。
この真偽を追及しなかったが、この2,3年後にその副代表が退会したことだけは事実である。
社会貢献活動が立派であろうとも、不明朗な実態が市民団体にあったとすれば、『市民団体』という定義から外れている。

個別企業なり、業界団体が市民団体と連携し、協働して社会貢献を果たすために、多大な支援をするからには、その団体の目的が事業者が目指す社会貢献の方向性と合致していることを確認した後、代表と支援者の資質、専門性、年間活動実績、会員の内訳、財政状況(収入、支出、投資)、外部からの支援とネットワークなどを調査することが必要である。
このためには、市民団体に対し、NPO法人と同様な『事業報告書』を提示してもらう必要がある。


市民団体の活動は市民の支援があってこそであり、その活動目標と全てが一致することなどあり得ない事業者がその全てを支援し、代替することは控えなくてはならない。
市民団体としての品格があるかが問題であり、企業(事業者)の社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)が問われるならば、それと連携する市民(団体)の社会的責任 (CSR: Citizen Social Responsibility) も問われるのである。

by ecospec33 | 2012-10-01 10:12 | ●CSRと環境対策  

閉鎖的組織がリスクを生む(原子力村、永田町、霞が関の論理、日本乳業協会、清涼飲料工業会)

福島第一原発事故は「原子力村」と呼ばれる政財官と産官学の閉鎖的な組織が生んだと言われている。一向に解消されない学校でのいじめ問題も、世間知らずな教育界の閉鎖的な組織が生み出していると言っても過言ではないだろう。
閉鎖的な社会を維持するために、村八分とよばれるような掟と組織が必要であったが、多種多様な情報が交錯する個人の権利が強くなった現代では、このような閉鎖的な組織が通用しなくなった。

政治の世界は、いまだに「永田町の論理」がまかり通り、また経済の世界も、経団連などの財界の閉鎖的な論理で切り抜けようとうする。
国民の圧倒的な声に、連合を支持母体に持つ民主党と政府は原発ゼロを政策に組み込みつつあるが、財界が支持母体である自民党は容易に判断を下すことは不可能である。
衆議院の解散が近い中で、老齢の政治家と政治評論家は政治のポピュリズムを憂い、日本維新の会の躍進をけん制する。また、財界は原発ゼロに反対し、政府・与党に対して原発ゼロでの経済発展があるかを証明せよと求め、また自民党の政権奪還を承知で、次期衆院選では原発ゼロ問題を争点にさせてはならないと公言する。
官僚は「霞が関の論理」で動き、事務次官会議を止めさせるなど政治主導と脱官僚を目指した政府・与党に対して非協力的であり、震災復興と政治の停滞に乗じて縦割り予算の確保という権力維持に終始しているように見受ける。
政財官の閉鎖的な組織構造は、原発事故後も健在であると言ってよいだろう。しかしながら、国民は政治、経済、官僚の世界における政治家、財界人、官僚の一挙手一投足をも監視できるようになっており、それを継続することは出来ない。

このような閉鎖的な組織は日本国内のあらゆる場所に存在している。
財界>業界>企業、全てに閉鎖的な組織が組み込まれている。
食品業界内で閉鎖性を論じるならば、日本乳業協会は清涼飲料工業会に比べて閉鎖的である。乳業協会は事業仕分けで補助金が全くなくなったにかかわらず、高給取りの厚生労働省と農水省の天下りを受け入れ続けているが、飲料工業会は7年ほど前に仕事をしない農水省の天下り役人の首を切っている。これに加えて会員および行政への情報発信力の相違から組織の閉鎖性を見極めることが出来る。
食品企業については、世界に進出している企業ほど閉鎖的でないと言えるだろう。味の素、キリン、
アサヒ、コカコーラなど環境対策などでお世話になったが、求める情報に対して的確にご提供いただき参考とさせて頂いた。それに比べて乳業会社は業界団体と同様に閉鎖的である。明治は自己主張の強い世間知らずの憎まれ小僧、森永は発信力のない紳士、雪印メグは落ちぶれた官僚といったところであるが、どちらにして農水省と酪農制度に守られているという前近代的な雰囲気が拭えない。
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そのような企業の内部が開放的であろうはずもないだろう。
業務とは全く関係のない上司の転居の手伝いを命令するなど、まるで徒弟制度のような組織、結婚式の出席予定者にいちゃもんをつけ、葬式には大勢駆けつけさせるように仕向け、異常なほどの仲間意識を植え付けさせる組織、その一方で仲間の自殺未遂には三猿のように我関せずを決め込む組織、仕来たりとしがらみを助長させる組織も多く残っているはずである。

発展が見込めない閉塞感のある組織ほど、このような傾向が強くなる。みんなで渡れば怖くない、なれ合いの仲良しクラブ的な閉鎖的な組織には「原子力村」と同様なリスクが潜在する。
閉鎖的な組織を個性だけで片づけてはならないのである。瀕死の樹木に気味の悪いキノコが生える。キノコが生えてからの生還はあり得ない。

by ecospec33 | 2012-09-12 09:30 | ●CSRと環境対策  

電力会社の株主総会と経営者の責任(橋本徹、猪瀬直樹、水俣病、森永ヒ素ミルク事件)

昨日6月27日に、9電力会社の株主総会が開かれ、東京電力では5時間を超える総会であったという。
大株主である大阪市の橋本徹市長、東京都の猪瀬直樹副知事らが改革を迫ったが、何ら反映されなかった。

この株主総会で退任した東京電力の勝俣恒久会長は、日本原子力発電の非常勤取締役に就任するが、その役員報酬、年180万円は返上するという。そんな微々たることだけで、福島第一原発事故の経営責任を取ったと言えるのだろうか。
2002年に、東京電力は原発トラブル隠し事件で南直哉社長らが引責辞任したが、その後、財団法人省エネルギーセンターの会長職などの要職に収まっている。
法的な拘束力がなければ、経営者は社長、会長の職を辞せば経営責任を取ったことになる仕組みである。
4566億円という大幅赤字を計上したソニーでも、ハワード・ストリンガー前会長の報酬が4.5億円と高額なのだから、経営者を辞めることが出来ないのである。ちなみに、前会長は取締役会議長に就いている。

福島第一原発事故によって離散した人たちなどに賠償金を払えば、企業の責任、経営者の責任がなくなるというわけでもあるまい。
原発事故ばかりでなく、水俣病、イタイイタイ病、森永ヒ素ミルク事件、カネミ油症事件など、人の一生を左右する事故、事件の当事者企業の経営者は過去の過失を背負っていることを常に自覚し、行動しなくてはならない。

本日28日が株主総会のピークである。
社会とのコミュ二ケーションに努め、経営責任とは何かを自問自答できる経営者に引き継がれることを期待したい。

by ecospec33 | 2012-06-28 09:32 | ●CSRと環境対策  

事業者の資質と社会的責任(DOWA、利根川の水質汚濁、ホルムアルデヒド、森永乳業、自主回収)

6月7日に、利根川水系の浄水場でホルムアルデヒドが検出され、千葉県で大規模な断水を起こした水質汚濁問題に関して、DOWAハイテックは埼玉県北部環境管理事務所から文書による行政指導を受けた。

これに対し、親会社のDOWAホールディングズは、『当社子会社「DOWAハイテック(株)」に対する報道について (第3報)』を発表した。
その中で「・・・DOWA ハイテックは今回の件に関して法律に則った手続きおよび手順を踏んでおりましたが、今回頂いたご指導について真摯に受け止め、誠意を持って対応していくとともに、今後は外部委託を含めて廃棄物の処理について総点検を行い、管理体制の強化を一層進めてまいります。・・・」と記し、社会に対し多大な迷惑をかけたことに対しては、何ら謝罪の言葉が見られない。
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同日に、食中毒の可能性があるため、森永乳業が子会社の北海道保証牛乳が製造した牛乳などの製品の自主回収を『商品回収に関するお詫びとお知らせ』で発表した。
その中で、「・・・お客さまには多大なご迷惑をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。また、今後このような事態が再び発生することのないよう、品質管理体制の一層の強化に努めてまいります。何卒ご理解とご協力を賜りますよう重ねてお願い申しあげます。・・・」と記した。

この二つの事業者は業種と社歴が異なり、製品の購買者が異なる(ステークホルダーが全く異なる)ために、事業者の資質が異なるのは当然であるが、社会に対する姿勢(社会的責任と道義的責任をとる姿勢)が異なることはあってはならないだろう。

本筋から外れるが、数日前に、DOWAホールディングズの前身に関してプラントメーカーのエンジニアから話を聞いた。
「25年以上前に、秋田県で同和鉱業が設計した廃棄物最終処分場の建設を落札した。その設計が工学的に間違っていたので指摘して訂正させた。市の会議室で行われた会議に同和鉱業は大人数で参加し、市の担当官も呆れるほど反発したが、一人で筋を通した。同和鉱業は設計したので建設も取れるものと思っていたので、嫌みもしたかったのだろう。当時、同和鉱業の技術力が高いという印象はなかった。」と、若かりし頃の武勇伝を語った。

また、森永乳業については、本年2月に、『札幌工場生産中止に関するお知らせ』で、「・・・当社が推進している市乳事業の一層の効率改善のために、札幌工場の生産を中止し、道内の生産を集約することといたしました。現在の札幌工場の生産品目につきましては、北海道保証牛乳株式会社他に生産を移管し、製品供給はこれまで通り継続する予定です。・・・」と発表したが、今回の当該子会社が製造した製品の自主回収事案は将来の企業リスクを予感させる。

by ecospec33 | 2012-06-08 09:53 | ●CSRと環境対策  

「環境報告ガイドライン」の公表(2012年版、ISO26000、CSR報告書、環境配慮促進法)

今日4月28日からゴールデンウィークが始まった。
ウォーキングフェスタ東京のために、野川沿いのいつもの散歩道が銀座通りのように混雑していた。後方部隊なのか高齢者が多いように見受けられた。
対岸を一団とは逆方向に歩いていたら、自転車の女性二人組が追い越しざまに、「参加費用が2000円もかかるらしいの。何に使うのかしら。」という声が聞こえた。埼玉県東松山市の大きな旗を持って歩く人もいて、遠くから参加される方々には申し訳ないが、近くに住む者にとって高額?のお金を取られるのは納得がいかない。せめて500円である。
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ところで、4月26日に環境省が2007年版を改定した「環境報告ガイドライン(2012年版)」を公表した。昨年10月に開催された第一回「環境報告ガイドライン等改訂に関する検討委員会」を傍聴し、その問題点を10月7日のブログに「企業の環境報告のあり方」というテーマで記した。
そのポイントは、『2010年11月にISO26000(社会的責任に関する手引き(Guidance on social responsibility))が発行している。その目的は、経済、社会、環境のバランスがとれた持続可能な社会の形成としている。近い将来、企業、事業者、全ての組織はISO26000をいかに適合し、吸収したかを発信することが求められるのであり、環境情報の発信は、その中に包含されると考えている。』として、環境側面だけの「環境報告ガイドライン」には限界があることを示した。

各社が環境報告書を作成していた7、8年前に、業界団体の環境会議の席上、明治乳業の作成責任者に対し、「エネルギー原単位、CO2排出原単位の表現内容が過激過ぎるので改めるように。」と促したことがあった。原単位の分母が明らかに異なっているにもかかわらず、業界平均より優れていることを強調していたためである。翌年から明治乳業はこれを受け入れた。
5、6年ほど前に、メグミルクの担当者から「よくぞ社会・環境報告書へ転換しましたね。貴社の報告書を参考に作成しています。」との話があった。
また、3、4年ほど前には、明治乳業の担当者から「CSRレポートより環境報告書の方が面白かったし、参考になった。」という話があった。環境からCSRへとコンテンツは増大したが、ページ数が増えないために、環境に割くページが減り、業界で参考となるような具体的な内容が書き込めなくなったためである。
このように、作成に携わる関係者は切磋琢磨しながら、「環境報告書」から「社会・環境報告書」、さらに「CSR報告書」へと転換させた。
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食品業で売上高1,000億円を超える上場企業42社について、2011年度の環境を含めた報告書の形式を調査した。
50%超がCSR報告書(CSRレポート、サステナビリティレポート含む)であり、その内上位2社が環境報告書も作成していた。環境報告書だけの企業は7%にとどまった。このような報告実態であり、「環境報告ガイドライン」では片手落ちなのである。

事業者の理念、経営ビジョンから始まる様々な経営(財務)実態を、株主、投資家に提示するのが「年次報告書(事業報告書、アニュアルレポート:annual report)」であるが、事業者の活動を社会的側面、経済的側面、環境側面から社会的責任を、消費者などに提示するのが「CSR報告書」である。
数年前にはそれぞれ別な冊子を貰い受けたことがあったが、今では年次報告書にサステナビリティー(Sustainability)報告を組み入れているヨーロッパのグローバル企業もある。
日本ではCSR報告書に喧伝するために金をかけ、年次報告書より立派に作成するが、これは本末転倒なのかも知れない。
リクルート冊子かと見間違う派手な「CSR報告書」が氾濫する。11月末ごろになって公表する企業すらある。これは企業の本質に何らかの誤りがある査証である。

原則に戻って、環境配慮促進法(環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律)では、事業者が環境報告書の公表その他のその事業活動に係る環境配慮等の状況の公表を行うように努めるとともに、その記載事項を規定している。
一 事業活動に係る環境配慮の方針等
二 主要な事業内容、対象とする事業年度等
三 事業活動に係る環境配慮の計画
四 事業活動に係る環境配慮の取組の体制等
五 事業活動に係る環境配慮の取組の状況等
六 製品等に係る環境配慮の情報
七 その他

「環境報告ガイドライン」より簡潔である。「環境報告書」を公表していない大手企業も残っている。早急に作成することが社会の要請である。

by ecospec33 | 2012-04-28 19:28 | ●CSRと環境対策  

企業倫理の確立に向けて(企業風土、社会的責任、CSR、ISO26000)

一昨日11月22日に、大王製紙の井川意高前会長が特別背任容疑で逮捕された。
大王製紙のエリエールはナンバーワンのシェアを誇るティシューであるが、同業他社と協調をしない強引な値下げ商法で、そのシェアを確保していると製紙業関係者から聞いたことがあった。これも創業者による同族経営によるものかは明らかでないが、創業家3代目が家業を危うくした。帝王学を学んだエリートらしいのだが、「長男の甚六」気質と言われる問題でもあったかと思う。
前会長はこの巨額借入の不祥事を個人的な問題として詫びてはいるが、大王製紙における企業風土、コンプライアンス(法令順守)とコーポレイトガバナンス(企業統治)といった企業倫理の問題である。
オリンパスの巨額損失隠し、読売巨人軍の内部紛争なり、一時代を反映する同根な事件が相次いでいるが、一流企業と呼ばれている大企業の多くが、過去の不祥事という負の遺産を背負って経営を継続している。

大手乳業会社も例外ではなく、各社それぞれの「脛に傷」を持っている。
森永乳業は「森永ヒ素ミルク中毒事件」(1955年)、明治乳業は「明治ヤシ油混入事件」(1971年)、雪印メグミルクは「雪印食中毒事件」(2000年)である。
このうち、「明治ヤシ油混入事件」は食中毒を起こした事件ではないため、あまり世間に浸透していないようである。これは、明治乳業が安価な異種脂肪(植物油脂)を牛乳に混入させ販売したという事件であり、数年前の中国でのタンパク質代替としてメラミンを牛乳に混入させた事件と同質のものである。
他社の事件が過失であったのに対し故意であったことが大きな社会問題となり、国会でも『明治乳業の社会的責任をどう考えているのか』と、政府と監督官庁の農水省が追及された事件であった。当時40年前には「CSR」という言葉は存在しなかったようだ。

2011年の年の瀬が気になり出した11月に入ってから、大手乳業会社から「CSR報告書2011」が送られてきた。
この2年間、1か月づつ発行が遅れてきているので、送り主のCSR室長に発行を早めるようにと叱咤激励し、また、大震災の対応が記されていたことは評価するが、CSRの言葉遊びをしているようで、また、まるでリクルート用の冊子となっていたので、骨太な内容にした方が良いと批評しておいた。
提供される様々な商品、新製品、サービス、また公表される「CSR報告書」などを含めて、この企業の現在の実力であるので、厳しい評価、批評をしたところで何の効果もないことは承知の上である。

この「CSR報告書」の基本とすべき概念を、ISO26000(社会的責任に関する手引)が示している。「社会的責任に関するコミュニケーション」の章、「社会的責任に関する情報の特性」の項で、社会的責任に関係する情報に求められる条件を規定している。
 1.完全であること
 2.理解しやすいこと
 3.敏感であること
 4.正確であること
 5.バランスが取れていること
 6.タイムリーであること
 7.入手可能であること
5.バランスが取れていることについては、『情報はバランスが取れ,公正であるべきである。また,組織の活動の影響に関する否定的な情報を省くべきでない。』と規定している。

この『否定的な情報』の視点から、大手乳業会社の「CSR報告書」を見比べると、雪印メグミルクだけが「雪印食中毒事件」に加えて「雪印食品牛肉偽装事件」を記載し、過去の不祥事を風化させてはならない姿勢がくみ取れる。
しかし、他の2社は現在の華やかさを見せつけるが、過去の不祥事を隠しているかのようであり、風化させない努力を垣間見ることは出来ない。
「CSR報告書」は社外に綺麗ごとの情報を発信する手段ではない。従業員の読み物でもあり、企業風土を形成する一手段であると考えたい。

企業は経営指標だけで推し量ることが出来ない生き物である。その生き物だけに、企業倫理は一朝一夕には確立しない。
ISO26000を取り込むであろうCSR担当部署の見据える先は、企業倫理の確立である。

by ecospec33 | 2011-11-24 12:05 | ●CSRと環境対策  

食品企業における環境ブランドと広告宣伝費の相関性(費用対効果)

日経エコロジーが、環境ブランド調査を毎年実施している。
企業に属していた数年前は、この環境ブランド指数が同業他社より低いと環境部門の長として非常に気になることであった。
しかしながら、この指数を決定付ける環境コミュニケーションは、テレビCM、企業のホームページ、企業の商品やサービス、新聞記事、新聞広告などが上位に並び、環境・CSR報告書は最下位であった。すなわち、企業の環境ブランドは専ら企業の広告宣伝費によって決定されることを示唆するものであった。このため、食品企業について調査した。
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この結果は相関が高いことを示し、広告宣伝費が200億円以下については、環境ブランド指数が大きく変動することが判明した。
これに関して、宣伝広告費が多大にも関わらず環境ブランド指数が低いといった費用対効果が低い企業は、キッコーマン、明治乳業、ハウス食品、大塚製薬、山崎製パン、森永製菓、ヤクルト本社であった。逆に、費用対効果の高い企業は、サッポロビール、アサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園、カゴメであった。

広告宣伝費は、環境ブランドのイメージを高めるだけの役割でないことは明白であるが、新製品の宣伝など他の役割においても費用対効果の低い支出している可能性があることを示唆するものである。
今後行われるであろう企業のCSRランク付けについても、広告宣伝費と相関が高いという同様な結果となることが示唆できる。

by ecospec33 | 2011-11-17 18:34 | ●CSRと環境対策  

それぞれの社会的責任(マスコミ、経営者、政治家)と行楽の秋

10月18日に、平野復興大臣が東日本大震災の津波被害に関して「私の高校の同級生みたいに逃げなかったバカなやつがいる」と発言し、これを野党が批判している。
鉢呂経産大臣が「死の町」などの発言で、野田内閣発足後9日足らずで辞任したが、その時よりは、今回はマスコミの論調は穏やかである。「死の町」発言問題を大きく扱ったマスコミへの国民の批判が影響を与えているように思う。
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10月14日に、九州電力が経産省に、玄海原子力発電所の再稼働を巡る「やらせメール」問題の最終報告を提出したが、第三者委員会が指摘した古川佐賀県知事の発言が発端とする記載がなく、第三者委員会の委員長であった郷原弁護士が、九電の対応を批判した。
これに対し、続投を決めた真部社長が、「第三者委も終わり、(すでに彼は)委員長ではない。」と逆切れの発言をしたが、枝野経産大臣が、「会長や社長の行動に対して、特に九州の原発周辺の住民の理解が得られるとは思えない」と九電経営陣の続投に不快感を示した。
17日には、「原発立地地域の周辺の皆さん、国民に対する問題だ。監督官庁や大臣から言われて対応しても本質的な解決にならない」と九電の姿勢を重ねて批判した。
政治家が社会的責任を担って、国民の声を代弁することは心地よいことである。
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そのような人間さまの騒動とは別に、秋の夜長が進みつつある。
行楽シーズンでもある。関東各地で夏日となった16日に、吾妻渓谷から草津、北軽から白糸の滝、旧軽銀座へと遠出した。白糸の滝付近はすでに紅葉し、旧軽銀座は例年のような賑わいであった。歳をとったためかも知れないが、旧軽銀座は魅力的な街ではなくなったように思う。
一昨日18日の平日に、深大寺まで足を延ばしたが、やはり賑わっていた。神代植物園は「秋のバラフェスタ」が開催されているという。秋のバラは香りが高い。

by ecospec33 | 2011-10-20 08:14 | ●CSRと環境対策  

企業の環境報告のあり方(環境報告書、環境情報、企業情報、環境経営、ISO26000)

本年6月に、環境省は「企業の環境情報開示のあり方について」の中間報告を取りまとめ、この結果を受けて、昨日6日から「環境報告ガイドライン等改訂に関する検討委員会」の委員会を開始された。
2007年版の「環境報告ガイドライン」を、2012年版として改定するのが、この委員会の目的である。

委員会の構成は、環境情報の発信者の立場として、グローバル製造企業のトヨタ、ソニー、キャノンの三社、それを確認する立場として、学識経験者が3名、弁護士が1名、公認会計士が1名、金融界が2名である。これに、原案を作成するなど取りまとめるなどの事務局が、みずほ情報総研であるから、金融界に関係する側が主体と言って良いだろう。

環境経営、環境情報、環境報告、環境報告書などの言葉の定義などが論議の争点とされていたが、この5年間で、環境報告書が、CSR報告書、サステナビリティー報告書に展開していることを謙虚に受け止め、企業が、そして社会が何を求めているかという視点から、大胆に論議すべきと思う。
そのためには、環境省の範疇、環境報告の概念を超えた企業情報の発信となっていることを前提にすべきと思うのだが、上智大経済学部の委員長は、環境の課題は経済、社会に密接に関連しているからとの一論点で、それを抑え込む姿勢が見られ、また環境省が実施したい種々のルール(規制)化への同調が見え隠れする。

2010年11月にISO26000(社会的責任に関する手引き(Guidance on social responsibility))が発行している。その目的は、経済、社会、環境のバランスがとれた持続可能な社会の形成としている。
近い将来、企業、事業者、全ての組織はISO26000をいかに適合し、吸収したかを発信することが求められるのであり、環境情報の発信は、その中に包含されると考えている。
このため、今回の環境ガイドラインの改正が「ハウツー(How-to)」ものに留まらないことを期待したい。

by ecospec33 | 2011-10-07 09:13 | ●CSRと環境対策  

食品企業の環境対策の変遷と対応

昨日は、環境調査会社を訪問した。
2008年に財団法人の政策科学研究所が解散したため、独立して会社を興した人物に約3年ぶりにお会いした。過去の経験と実績から、容器包装リサイクル関係の調査依頼が多く、忙しいためか相変わらずの細身の体型であった。
いろいろと話をさせももらったのだが、彼が10年以上前に食品産業センターで講演した件を思い出し、その時の冊子を借り受けてきた。
その冊子は、農林水産省食品流通局補助事業で作成された「食品製造業者の環境対策マニュアル」(1999年政策科学研究所)である。

当時の首相は小渕恵三であり、1999年は石原慎太郎が東京都知事に初当選し、東海村JCOの臨界事故が発生し、また、大みそかには情報機器の2000年問題のために本社内で最初で最後の年越しした年であった。
環境に関しては、環境ホルモンが話題となり、「ダイオキシン類対策特別措置法」が制定された。この制定前に、多くの小型焼却炉を廃炉指示した年でもあった。

過去を振り返り、新たな発想も得られるのではないかとの思いで目を通した。
このマニュアルでは実情に合わない記述も目立ったが、不思議に思うことを列挙すると、
 ・環境法令の記述がない。
 ・環境マネジメントシステム:上位に記すべきものなのに、していない。
 ・ISO14001認証取得を推奨している。:今は古臭くもなっている。
 ・地球温暖化問題は重要課題として捉えている。:今も変わらず最優先課題である。
 ・オゾン層破壊問題を代替フロンと記述している。:今も変わらず重要課題である。
 ・産業廃棄物問題を記してはいる。:ダイオキシン、環境ホルモンが抜けている。
 ・環境報告書(エコレポート)を推奨している。:今はCSRレポートに変貌した。
 ・環境会計の記述ある。:今でも徹底した議論がない。
 ・LCAとエコラベルが記述されている。:CFPに変貌した。
 ・容器包装リサイクル法と問題が記述されていない。:当時、法は施行されていたのだが。
1999年以降の新たな環境法令の制定と新たな環境問題を列挙すると、
 ・循環型社会形成基本法と3R
 ・食品リサイクル法
 ・容器包装リサイクル問題
 ・経団連の自主行動計画
 ・エコアクション21認証
 ・GRIガイドライン、環境報告書ガイドライン
 ・産業廃棄物のゼロエミッション
 ・CSRとCSRレポート
 ・ISO26000 
 ・CFP(カーボンフットプリント)
 ・排出量取引

地域限定の公害問題から地球規模の環境問題へと、グローバル化と情報化が進み、時代とともに環境問題は新たな局面を迎える。
それぞれの企業は、油断なく優劣をつけて果敢に対応していくことが必要である。

by ecospec33 | 2011-06-30 16:16 | ●CSRと環境対策