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大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応Ⅰ(サステナビリティー、ESD、SDGs、CSV)

今回から、数回にわたって、「大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応」のテーマで記述する。

本文中に、環境対策、CSR(狭義・広義)、ESG、SDGs、サステナビリティ、CSVなどの内容を記述しているが、ある程度の予備知識が必要である。

また、本文は2019年9月15日に脱稿したたため、文中の各企業のホームページのCSR関連のWebサイトを参照したが、脱稿時以降のWebサイトの改正については、適合していないことを、あらかじめ明記しておく。
図と表には見にくいものもあるので、連絡いただければ、本全文をPDFでメールでお送りします。
                          <目 次>

まえがき

1.東洋経済新聞社によるCSR評価について 

1.1 食品業界の位置づけ

1.2 食品企業のCSR評価

1.3 CSR企業ランキング評価の検証

2.食品企業のCSR、サステナビリティのWebサイト

2.1 CSRコンテンツ充実度ランキング

2.2 Webサイトの調査と評価

2.3 CSR情報提供は冊子からWebサイトへ

2.4 重要な課題と記載すべき項目

2.5 CSR関連Webサイトに求められるもの

3.社会的な評価

4.先進的な対応

4.1 「CSR:社会的責任」から「CSV:共通価値の創造」へ

4.2 ISO14001外部審査認証から自己適合宣言へ

5.まとめ

あとがき

別紙1、2


まえがき
Sustainability」を英訳した「持続可能性」という堅いイメージの言葉が、いつのまにか広く使われるようになった。

その言葉の由来と経緯については割愛するが、2000年に国連ミレニアム・サミットで採択された『ミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)』を発展させて、2015年に国連サミットで先進国に積極的な取り組みを促す『持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)』が採択された。これを受けて、2016年から日本政府はこれを積極的に取り組み、そして多くの企業が経営の目標に組み込んだ。

これに対し、「Sustainability」の言葉を派生させた地球環境問題への対応は、企業が取り組むSDGsの多様な目標の中にあって、埋没しつつあるように思う。2015年にCOP21で「パリ協定」が採択されても、ビッグサイトで開催される国内最大級の環境展である「エコプロ」の大企業の出展者数は最盛期の半減となり、また来客者数も大きく減少している。

一方においては、夏の猛暑がますます激化し、夏季が長期化して彼岸花の開花遅れなど身近な自然現象が変化し、海水温の上昇によって烏賊、蛸、魚の漁獲量が各所で減少し、また熱帯を思わせる集中豪雨による自然災害が甚大化している。このため、この真因が地球温暖化による気候変動であり、地球温暖化が社会の脅威であるという認識が急速に広まっている。ここにきて、発信力のある小泉進次郎議員が環境大臣に就任したこと、また彼が出席した国連の気候変動サミットで次世代を担う少女が「私たちを裏切った」と怒りの抗議演説を行ったことは大きな衝撃となって、地球温暖化問題が、プラスチックの海洋汚染問題ともに、国内においても1997年(「京都議定書」採択年)以上の社会的な関心事となるだろう。これによって、日本政府も経済界も地球環境問題への更なる対応を余儀なくされることだろう。

ところで、1998年から日本経済新聞社が『環境経営度調査』と称して、各企業から工場のCO2排出量などの環境対策情報をアンケート調査で収集し、それを基に各企業を評価・ランキング付けし、新聞紙上に公表していた。当初は企業からの協力が得られずにいたようだが、いわゆる環境に優しい企業が次第に回答するようになったことから、最初から協力していた企業は評価点が低下しないにもかかわらず、そのランキングを低下させる結果となっていた。

これに対し、東洋経済新報社は、2005年から多くの業界・企業から財務、環境、社会性、企業統治などの情報をアンケート調査で収集し、企業のCSR活動を分析、評価している。その評価結果を『CSR企業白書』に、またアンケート調査内容を『CSR企業総覧(ESG編)』などに取りまとめている。著者が早大の職員をしていた時に、学生の就活支援を行うキャリアセンターで、これらの本が「会社四季報」と並んでいるのを見たことがあった。このアンケート調査内容に要望がないとは言えないが、その情報の公開方法に照らしても、日経よりも信頼性は高いように思う。

一方、どの企業もWeb
のホームページを生かして、企業の価値を高める努力をしている。このホームページ内のCSR、サステナビリティーのサイトについて、一般社団法人CSRコミュニケーション協会が『CSRサイト格付け「CSRコンテンツ充実度ランキング」』を公表している。今年2009年で第3回目という。この他にも第三者による評価が盛んになっている。

森永乳業のホームページの「CSR」Webサイトを検索したところ、「森永乳業のCSR」というサイト名であった。CSRの前に、どのような理由があって企業名を入れているのか、その必要性があるのかと疑問に思った。また、トップメッセージに、「・・・・・GRIに準拠し・・・・」と記されているものの、GRIスタンダード対照表が掲載されていなかった。
さらに進めると、社外からの評価として、「持続可能な社会の実現に向けた活動を推進している企業グループとして、さまざまな外部機関より高く評価されています。」との記載があり、これに続いて、ある投資銀行による格付けを載せていた。投資する、または投資したい側が格付けをしたからといって、高く評価されていると言えるのかと更に疑問に思った。

このため、大手食品企業について、上述の東洋経済新報社のCSRの第三者評価の情報を検証し、また各企業のホームページを通してCSR対応を調査し、その評価の検証と先進的な企業のCSR対応について検討を加えた。



by ecospec33 | 2019-11-05 16:08 | ●CSRと環境対策  

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