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下水道を考えるⅢ(汚水、生活排水、下水道、浄化槽、処理施設、水質汚濁防止法、廃掃法、所管)

「汚水」は普通一般的に使用されない言葉だが、下水に関して、その用語を整理しておく必要があるだろう。これについては、関連するそれぞれの法律の第2条に「定義」が規定されているので、慣例的、便宜的に使用されている用語も含めて、次の通り整理した。
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ここで、次の用語を確認しておきたい。
●汚水=生活排水+事業系排水+雨水
●生活排水=し尿+生活雑排水=一般廃棄物-ごみなど
●下水道=下水を処理するための、排水施設+処理施設+補完施設
●浄化槽=生活排水を処理するための、合併浄化槽

先に記したとおり、汚水を処理する施設については所管する省庁が異なる。これについても、行政が関連する法令を基に公表している分類に従って、次の通り整理した。
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ここで、汚水処理には集中処理と個別処理があること、また汚水処理施設と所管省庁を確認しておきたい。
●国土交通省所管:公共下水道、流域下水道
●農水省所管:農業集落排水施設、漁業集落排水施設、林業集落排水施設、簡易排水施設
●環境省所管:地域し尿処理施設(コミュニティ・プラント)、特定地域生活排水処理施設、個人設置の合併浄化槽
●総務省所管:小規模集合排水処理施設、個別排水処理施設


「汚水処理施設の効率的な整備・管理に関する有識者会議 報告書」(平成20年 日本下水道協会)から、それぞれの『汚水処理施設の特性』を抜粋する。
●下水道:都市部の市街化区域や人口密度が高く比較的大規模な集落等を対象に、管渠を面的に配置して汚水を収集し処理するものであり、生活排水だけでなく事業場排水や昼間増加人口による排水も受け持っている。また、雨水排除の機能も有しており、都市部等における公衆衛生の向上、浸水の防止、水環境の改善に寄与する公共施設である。管理者は地方公共団体である。
●農業集落排水施設:農業振興地域内の農村集落を対象に、管渠により汚水を収集し処理するものであり、農村環境を改善する農業基盤施設としての性格を有している。法律上は、浄化槽法の適用を受ける。管理者は地方公共団体あるいは土地改良区である。類似の施設に漁業集落排水施設や林業集落排水施設がある。
●合併処理浄化槽:一般的に人口密度が低い地域等を対象に、し尿と雑排水を処理するために宅地等の単位で設置されるもので、大規模な施設もあるが、多くは5人槽、7人槽等の小型のものである。浄化槽法の適用を受け、生活環境や公衆衛生の向上に寄与する施設である。管理者は市町村の場合もあるが、主に個人である。
また、それぞれの『汚水処理施設に求められる処理機能』は、次のとおりとなる。
●下水道:下水処理場は水質汚濁法の特定施設に位置づけられており、排水基準を超過した場合には罰則を受ける規定が設けられている。下水道管理者が放流先水域の水質・水量を勘案して、有機物汚濁の指標であるBOD、湖沼等の富栄養化の指標である窒素、リンについて、計画放流水質を自ら定めることとなっている。計画放流水質は、年間を通じて超過を許容しない水質基準値として位置づけられており、下水道法において遵守義務が規定されている。
●浄化槽(農業集落排水施設を含む):一般的に、501人槽以上の大型合併処理浄化槽が水質汚濁防止法特定施設に位置づけられており、家庭用の小型合併処理浄化槽には、同法は適用されないことになっている。放流水質の基準として、BOD 等について、一律の基準値が設定されている。ただし、合併処理浄化槽の性能評価にあたっては、BOD 等の水質項目ごとに全試験データの75%以上が水質基準値を満足していることが評価基準となっている。

ともあれ、地域の人口密度、地形などの特性、水質保全及び浸水などの災害防止の効果、経済性等を総合的に考慮して、汚染処理施設を効率的、計画的に整備する必要がある。

by ecospec33 | 2012-10-22 08:27 | 〇下水道と汚水処理  

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