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10月が始まった(3R推進月間、環境税、増税、エコポイント、CO2削減、費用対効果、排出量取引)

夜半に台風17号が猛スピードで日本列島を縦断し、10月に入った。

『東京駅』が保存・復元工事を終えて全面開業した。
工事の最終段階には、外壁の要所に貼られた無垢の銅板のあかね色が印象的だった。
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『3R推進月間』が始まった。
環境省が示す趣旨は次のとおりである。
「国民・事業者・行政が一堂に会し、廃棄物問題に関するそれぞれの知識や経験を交換するとともに、参加者一人ひとりが自らのライフスタイルを見直す機会を提供することを通じ、“3R”(廃棄物等の発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle))の推進に関する理解を深め、循環型社会の形成に向けた取組をより一層推進します。」(関係8省庁:財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、消費者庁)
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『環境税』が始まった。
経済界も導入反対であったが、静かに審議され、瞬く間に決定された。
2010年に、電力中央研究所が「3兆円の地球温暖化対策予算の費用対効果を問う」というディスカッションペーパーを公表した。『・・・すでに日本の地球温暖化対策予算は3兆円に上るとされる。・・・増税の前に、既存の政策の費用対効果を厳しく評価すべきであろう。』
これらの意見は無視され、何らの評価がないままに環境税という増税が決定された。

環境税は現行の石油・石炭税に上乗せして課税されるが、最終的に消費者が負担することになる。その額は平均世帯で年間約400円、数年後にはその3倍、約1,200円に増額されるという。
民主党は、政権獲得前にガソリン暫定税率分の撤廃、減税をマニフェストに掲げていたが、それも出来ないままに、マニフェストにない消費増税をおこない、はたまた環境税という増税である。
消費増税には社会保障の一体改革という錦の御旗があるが、環境税にも地球温暖化対策という錦の御旗が掲げられている。
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しかながら、これまでも家電エコポイント、住宅エコポイント、エコカー補助金・減税と、いかにも環境(エコ)に相応しい対策をとっていたかのようであるが、景気浮揚が主な目的であり、行政は国民を『エコ』という言葉で巧みに踊らせているようである。
2011年2月に、朝日新聞が大見出し「家電エコポイント、CO2削減試算ずさん 効果6分の1」で、『「二酸化炭素(CO2)の削減効果は年間400万トン」。政府がそううたって2009年5月から進め、家電の買い替えを促した家電エコポイント制度。その根拠となったCO2削減予測値の算出方法が、実態とかけ離れたものだったことが分かった。算出に関する資料の廃棄が昨夏判明し、環境省が当時の担当者に聞き取り調査する中で明らかになった。』という記事を載せた。
これに対し、2011年6月に、環境省、経済産業省、総務省が、「家電エコポイント制度の政策効果等について」で、『総額約6,930億円の予算措置に対し、CO2削減効果は約270万トン/年と推計』と公表した。
新聞記事と行政公表の大きな違いは基準点が異なっているなどのためと思うが、行政の実績効果は目標効果の67.5%でしかなく、その評価は赤点に近い「可」である。これ以外のエコ制度の費用対効果の目標と結果を公表していないので不明であるが、多くは期待出来なのであろう。
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ここで、環境税と家電エコポイントについて、CO2を1トン/年削減する費用を算定し、その費用対効果を比較する。
●環境税:1.9兆円÷600~24,000トン/年=79,000~317,000円/(トン/年)
●家電エコポイント:6,930億円÷270万トン/年=257,000円/(トン/年)
いずれも排出量取引相場の30~100倍であり、費用対効果が極めて低い数値である。
家電エコポイントは直接的に効果が推計できたが、環境税はその使い道によって効果が左右される。このため、費用対効果はさらに低くなる可能性もありうる。

『第三次野田内閣』が発足した。
短命に終わった民主党政権の「最後の内閣」と呼ばれ続けるだろう。目玉であった「事業仕分け」は不毛に終わり、増税の道を歩んだ民主党。政治主導は官僚主導に巧妙にすり替わっているようである。

「環境税」というハードルを首尾よく飛び越えた環境省は、『エコ』という錦の御旗で「排出量取引」に突き進む。

by ecospec33 | 2012-10-03 10:47 | ●その他社会問題  

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