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容器包装リサイクルの行方Ⅵ(行政の作為、不作為、環境省、3R推進に関する小委員会、田中勝、崎田裕子)

前回、エネルギー行政、とりわけ原子力行政の作為と不作為を記した。
身近な環境問題である家庭ごみ(一般廃棄物)の容器包装廃棄物について、行政の作為、不作為の事案を提起したい。

容器包装リサイクル法に関し、昨年2001年7月に5回、「容器包装リサイクルの行方」と題して特集を組み、2013年の改正に向けた問題点を整理した。
本年2012年3月27日に、環境省の中央環境審議会「廃棄物・リサイクル部会容器包装の3R推進に関する小委員会」が1年ぶりに開催されたが、来年が改正年に当たるにも関わらず、それ以降目立った動きがないそうである。
まるで、震災廃棄物の対応に追われる環境省は、本改正に向けて不作為を決め込んでいるようである。容器包装廃棄物の再商品化委託料を支払う事業者にとっては、年々費用が低下し、改正はまっぴら御免こうむりたいと、これ幸いなことなのだが、社会コストの最少化と資源の合理的利用を目的として、最低限の見直が必要である。
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3月の小委員会では、環境省が上図をなどの資料を提示した。環境省の伊藤廃棄物・リサイクル対策部長が冒頭あいさつで、『・・・容器包装リサイクル法につきましては、平成9年に施行され、・・・施行以来関係者の皆様のご協力により、着実にリサイクルの推進が図られてきている・・・容器包装廃棄物は、従来は容積比で家庭ごみの6割以上を占めておりましたが、環境省の平成22年度の調査結果では50.1%、約半分にまで下がってきているという状況でございます。また、一般廃棄物の排出量及び最終処分量につきましても、年々減少傾向にあり、排出量につきましては、ピーク時から約800万トンも減少をしていると、こういう状況でございます。これらは、今日ご出席の関係者の皆様方のご努力による大きな成果であると・・・考えているところでございます。』と話し、法規制の成果と事業者、消費者、国、地方公共団体の連携の成果を大きくアピールした。

これに対し、鳥取環境大学教授の田中勝委員長は『・・・容器包装の割合が減っているということがわかりました。・・・排出量も5,500万トンから4,600万トンまで、1人当たり1.1キロが1キロを割るようなところまで減ったということで、いろいろ生産者にdesign for environmentということで・・・スタートしましたけれども、その効果が出たのかなと思います。』、次に、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の委員でもあるNPO法人理事長でジャーナリストの崎田裕子委員が、『・・・容器包装の容積比が6割から5割になったと、やはりこういうふうなデータがしっかり出てくると、全国にみんなで取り組んでいるのが効果が出たということが強く発信できますので、こういうのを使って、これからもぜひこのリサイクルの大事さを広めていくということを、続けていきたいなと改めて思いました。・・・』と続けた。

昨年7月21日に、私は「容器包装リサイクルの行方Ⅲ」(http://ecoeng.exblog.jp/15150445/)の中で、『2009年度は非常に低下しているように見える。しかしながら、これは重量から容積に換算する「容積換算係数」を大幅に変更したためであって、2008年以前の「容積換算係数」を使用すれば、ほとんど低下していない。このため、家庭ごみ中の容器包装廃棄物の容積割合は60%という実態は変わっていないと言ってよい。』と注意を喚起した。
今回、新たに2010年度の環境省「容器包装廃棄物の使用 排出実態調査」を加えて図示する。
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(重量割合の上位を占める「容積換算係数」が大幅に低下し、その容積割合が増大している。)
これらの図から、容器包装廃棄物の湿重量割合で2010年度が、また容積割合で、2009年度と2010年度が、それ以前と比べ不連続に低下していることがわかる。
この要因は、図のとおり「容積換算係数」が大幅に変化した(させた)こと、また2010年に「調査対象」を6都市から7都市に増加した(させた)ことによる。
2009年度以前と2010年度以後は、基本的に比較するようなデータではないのである。

行政の作為を感じる情報開示の方法で、小委員会を翻弄している。
環境省の事務局は情報を的確に開示することが求められ、一方、小委員会のメンバーは自分自身で情報を的確に収集・分析する努力をすべきである。それが出来ないなら委員を辞することは出来る。それこそ、幾ばくかの税金ドロボーである。
小委員会メンバーは専門家としてのプライドがあるだろうが、行政の作為を知らずに(知っているかもしれないが)、それに上塗りするようなコメントを発して、行政におもねる態度は恥ずべき行為であると認識すべきである。

行政の作為に乗るような審議会の委員は不要である。

by ecospec33 | 2012-06-06 19:23 | 〇容器包装リサイクルの行方  

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