人気ブログランキング | 話題のタグを見る

利根川水系の水質汚濁の検証Ⅵ(千葉県の断水、DOWA、ホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン)

約2週間近くの間、利根川水系の水質汚濁について、出来る限り事実に即して工学的に検証を続けてきた。
この間に、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会が3回開催され、2030年のエネルギーミックスの選択肢が決まり、大飯原発再稼動に向けた動きが強まった。
このエネルギーの話題に戻るために、今回を検証の最後とする。

⑮ DOWAハイテックの主張の問題点
5月29日にDOWAハイテックが埼玉県に報告書を提出した。
その時のDOWAハイテックの正当性の主張とその問題点を交互に示す。
●全窒素などを明示した分析結果、廃液のサンプルを処理業者に提供した。
○廃棄物処理業者への情報提供は、廃棄物運搬業者2件を介した間接的なものであった。
●ヘキサメチレンテトラミンが全窒素を構成する窒素化合物のため、全窒素を排水基準値以下に処理すればヘキサメチレンテトラミンなどの濃度も低減される。
○有毒なホルムアルデヒドを生成する危険性があるヘキサメチレンテトラミンが含有している廃液であることの告知をしていない。
○廃棄物処理業者の水質汚濁防止法違反を主張しているが、事前に廃棄物処理業者の現地確認し、廃液処理能力を確認することで、未然に防止できたと推定できる。
●群馬県高崎市の廃棄物処理業者で現地確認を行った。
○5月17日は委託契約前ではなく、事後の現地確認である。
○事前に現地確認を確認していれば、廃液を処理する能力が不足していることを認識できたと推定できる。
○当日は廃液が未処理のまま流出しているにもかかわらず、危険性の確認を怠っている。
●廃棄物処理業者から「問題なく処理されている」との説明を受けた。
○5月17日の現地確認当日の話である。自ら処理現場を確認しているのであるから、何ら根拠がない主張である。
利根川水系の水質汚濁の検証Ⅵ(千葉県の断水、DOWA、ホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン)_e0223735_16123837.jpg
DOWAハイテックの主張の問題点を再整理する。
●ポイント1:
DOWAハイテックが高崎金属工業の廃液処理現場を確認したのが5月17日である。
検証したとおり、当日はヘキサメチレンテトラミンを大量に流出させていたのであり、DOWAハイテックが9年前の事件を認識していたのであれば、その場でヘキサメチレンテトラミンの危険性を問いただし、流出を止めることが出来たと思われる。
●ポイント2:
DOWAハイテックは排水処理設備を有している。
昨年2011年に、『植物を利用した独自の排水浄化施設「ビオパレット」の導入で放流河川の保全』というテーマで、埼玉県の「第12回さいたま環境賞」を受けている。
この受賞内容から排水処理に関する知見は少なくないと考えられる。
●ポイント3:
2011年6月にDOWAハイテックが埼玉県に提出した「産業廃棄物処理計画書」から、
ヘキサメチレンテトラミンを含む廃液はアルカリ廃液と認識でき、そのアルカリ廃液は年間5000トン排出され、その処理方法は焼却と記している。、しかしながら、今回の事案は、廃液を焼却処理から廃液を排水処理に変更したことにより発生した。

これらの結論は、『DOWAハイテックは9年前の事件以降、ヘキサメチレンテトラミンを含む廃液を排水処理では処理できず、焼却処理しかないことを認識していた。しかしながら、廃棄物運搬業者の紹介で熟慮せずに処理方法を排水処理に変更したことによって、千葉県民35万人の断水問題を発生させた。』である。

廃棄物運搬業者が安価な廃棄物処理業者を紹介する話は少なくない。この紹介の他に廃棄物処理の状況を逐一監視する業務を加えて業としている企業もある。廃棄物を排出する企業と委託される処理業者の双方から利益を得る仕組みである。
ここで注意すべきことは、その紹介業者には廃棄物処理法の違反は課せられず、違反があった場合は自らが負うことを認識して付き合う必要がある

by ecospec33 | 2012-06-01 16:18 | 〇利根川水系の水質汚濁  

<< エコライフ・フェア2012とエ... 利根川水系の水質汚濁の検証Ⅴ(... >>