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利根川水系の水質汚濁の検証Ⅳ(DOWA、埼玉県、群馬県、ホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン)

2004年前後の夏前に、栃木県の環境保全担当部門から突然に電話が入った。
本社の商品担当部署と宇都宮市の県庁に出向くと、「また、あなたでしたか?」と嫌みを言われ、商品が不法投棄されている写真をみせられた。その2年ほど前にも、ある工場が廃棄物処理で問題を起こし、付き添い役として出向いたことがあったためである。

1週間後に、その商品の製造委託先、冷蔵保管委託先、廃棄物処理業者など数名を伴って、産業廃棄物処理委託契約書産業廃棄物管理票(マニフェスト)に加えて、新たに作成した製造から販売までの流れ図、廃棄物量を入れた廃棄物処理の流れ図などを携えて、再度出向いた。
担当官2、3名、警察官2名だったと記憶するが、どこで、どのように廃棄処理し、産業廃棄物処理委託契約書と産業廃棄物管理票(マニフェスト)に不備がないことを説明したところ、「だれが商品全体の流れを把握しているのか。だから、不法投棄につながるのではないか。栃木県はごみ捨て場ではない。」と凄まれた。
しかしながら、話をする中で埼玉県の廃棄物処理業者が廃棄物を横流ししたことを白状したことから、当方としては始末書と改善書を提出することで決着した。
ただし、上司の役員らが押印を拒んだために、両書類とも環境保全担当部署の部署長名にせざるを得なかった。

その後の社内の取り組みについては別途紹介するとして、食品を扱っているため、その廃棄物が有害物に変化することはないが、似たような廃棄物処理の構図が、DOWAハイテックにも見られるようである。

⑫ DOWAハイテックの報告内容とDOWAホールディングズの動き
5月29日に、DOWAホールディングズは「子会社「DOWAハイテック(株)」に対する報道について (第2報)」を発表した。
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5月25日の埼玉県の報告徴収命令を受けて、29日にDOWA ハイテックが外部処理を委託した廃棄物に関わる契約書、マニフェストなどの資料を提出し、この資料で、『処理会社側へ廃液分析値および廃液の実サンプルを提示し、処理会社から「処理が出来る」旨の回答を得た上で契約締結などの手続きを踏み、適切に外部委託したことを報告しています。』と弁明している。
最後に、『今回の外部処理委託にあたって適切な手続きを踏んでいたものと認識しているところであり、今後も関係行政機関の調査に協力してまいります。』とあるが、社会に対する謝罪は一切見られない

5月30日の毎日新聞地方版には、29日の報告徴収時の様子を記している。
『D社(DOWA ハイテック)は、全窒素などを明示した分析結果、廃液のサンプルを処理業者に提供したと説明。HMT(ヘキサメチレンテトラミン)が全窒素を構成する窒素化合物のため、全窒素を排水基準値以下に処理すればHMTなどの濃度も低減されるとした。(5月)17日には群馬県高崎市の処理業者で現地確認も行ったとし、処理業者から「問題なく処理されている」との説明を受けたとしている。だが(埼玉)県は、17日の現地確認以外は運搬業者2件を介した情報のやり取りだったとし、「必要な情報を運搬業者2件任せにしている」(葛西聡・産業廃棄物指導課長)と指摘。運搬業者2件にも詳しい報告を求めるとともに、処理業者については群馬県と高崎市と連携して対応し、告知義務違反に当たるかどうか全容解明を進める方針だ。』

この記事から、DOWAハイテックは契約締結前ではなく、ヘキサメチレンテトラミンを大量に含んだ廃液が流出している最中に、廃棄物処理業者である高崎金属工業の排水処理設備を確認していたことが判明した。まことに悠長な他人事のような話である。
また、『処理会社の工程が全窒素およびホルムアルデヒドを処理可能な酸化分解および生物処理を含んでおり、HMT等の窒素化合物も処理可能である』というDOWAホールディングズの発表内容から、排水処理設備の工程も垣間見ることができる。
次回は、この設備について、工学的な検討を加える。

なお、5月28日に、埼玉県はJFEグループの産業廃棄物収集運搬業者に対して報告の徴収命令を出し、また5月29日に、群馬県高崎市は産業廃棄物処理会社2社から、DOWAハイテックとの委託契約書や産業廃棄物管理票などを受けたそうである。

by ecospec33 | 2012-05-31 16:41 | 〇利根川水系の水質汚濁  

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