人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日本の電力供給システムを考えるⅢ(電気事業者、自家用発電、コージェネ、事業者別、発電電力量)

今年のゴールデンウィークは甚大な被害をもたらした大竜巻で終わったが、大気が不安定な状態が続いており、同様に政治も経済も不安定だ。
小沢一郎元民主党代表は党員資格停止処分を解除されたが、控訴され被告人のままであり、またヨーロッパの政治の変革が世界経済に暗い影を落としている。
政治はローカルで進展なく、経済はグローバルで変動多しという世情に動かされることのない、自然環境豊かな野川は豪雨で水量が増えて、下流から大きな鯉がのぼり、水辺には自生のアヤメが咲きだした。
日本の電力供給システムを考えるⅢ(電気事業者、自家用発電、コージェネ、事業者別、発電電力量)_e0223735_1211862.jpg
このゴールデンウィーク中に北海道電力の泊原発3号機が停止し、日本国内全ての原発が停止状態となった。数値を入れて、「日本の電力供給システムを考える」第3回目を記述する。

6.事業者別の発電電力量について
電気事業法に規定されている「電気事業者」は、一般電気事業者(10電力会社)、卸電気事業者(電源開発、日本原子力発電)、特定電気事業者(六本木エネルギーサービスなど4社)、新電力(特定規模電気事業者(PPS)、エネットなど50数社)の4類型である。また、この他に、卸供給事業者(独立発電事業者(IPP)、公営水力と共同火力)と自家用発電設備を所有する民間の発電事業者がある。
しかしながら、これら6類型(事業者)別に発電電力量が公表されてはいない。特に2010年度からは「電気事業者」以外は全て「自家用発電」に包含された。また、1,000kW未満の発電設備(発電所)は含まれていないため、家庭の太陽光発電、事業者がピークカット用に設置した小型の発電設備などはカウントされていないので、注意が必要である。
日本の電力供給システムを考えるⅢ(電気事業者、自家用発電、コージェネ、事業者別、発電電力量)_e0223735_1215230.jpg
日本の電力供給システムを考えるⅢ(電気事業者、自家用発電、コージェネ、事業者別、発電電力量)_e0223735_1221736.jpg
これらの図から、次のような実態が明らかとなった。
●2005年度以降、日本国内の二次エネルギーとしての発電電力量は増加していない。
●2000年以降、一般電気事業者と卸電気事業者の発電電力量に大幅な増加は見られない。
特定電気事業者の発電量は少なく、増加傾向にない。
新電力(特定規模電気業者)の発電量は少ないが、増加傾向にある。
新電力50数社中8社しか発電設備を所有しておらず、他の発電事業者から電力を購入し、電力を一般需要家に小売りしている実態があり、電力小売りの自由化が行き詰まることは必定である。
自家用発電設備の発電量は着実に増加してきたが、2005年以降は停滞傾向にある。
2010年は卸供給事業者の発電量が加えられたため急激に増加している。
自家用発電設備の発電量のうち、電力事業者に売却する割合が増え、自家消費する割合が年々低下している。自家発電には自家消費が多いコージェネレーションが含まれているが、燃料費の高騰によってコージェネレーションを停止させている設備が多いためと思われる。これについては次々回以降に詳述する予定である。
日本の電力供給システムを考えるⅢ(電気事業者、自家用発電、コージェネ、事業者別、発電電力量)_e0223735_123370.jpg

次回第4回は、「7.電源種別の発電電力量」について記述する。

by ecospec33 | 2012-05-10 12:13 | 〇日本の電力供給システム  

<< 原発再稼働と電力需給問題Ⅲ(需... 食品中の放射性セシウム新基準1... >>