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食品の放射性セシウムの新基準と牛乳、乳製品Ⅱ(原乳、日本乳業協会、CSR、社会的責任)

昨日1月17日に、学校給食用牛乳(学乳)などの放射能データの公表を拒んでいた大手乳業メーカーの業界団体である日本乳業協会が、行政の検査とは別にメーカー各社が独自に牛乳を検査し、結果を公表する方針を固めたという。

共同通信社による「勇み足」的な記事のようであるが、その真偽は別として、この背景には、学乳の放射能データの公表要請を全く受け付けない東京学乳協議会とその上部団体である日本乳業協会に業を煮やした東京都の特別区長会が、12月20日に「給食用牛乳の放射性物質測定検査の結果数値公表に関する要望について」を、農林水産大臣、厚生労働大臣、文部科学大臣に突き付けたことがある。
これによって行政も動かざるを得なくなり、12月27日に厚生労働省は都道府県知事、各保健所設置市長、特別区長に対して、「乳の放射性物質の検査の実施について」を通達し、『2週間毎にクーラーステーション又は乳業工場で実施している検査について、概ね1週間毎に実施する』よう促し、また日本乳業協会、全国農協乳業協会、全国乳業協同組合連合会の乳業メーカーの業界団体に対して、「牛乳の放射性物質の検査結果の公表について」を通達し、『牛乳の放射性物質に係る検査結果を適切に公表し、関係者に適切な説明を行う』よう促す行政指導をおこなった。

昨年8月9日に、私は「社団法人の日本酪農乳業協会と日本乳業協会は、それぞれのHPで牛乳の放射能問題を、前者が7月12日、後者が6月15日にニュースリリースしている。ただし、原乳の放射性物質の検査には言及しているが、製品である牛乳の検査はしない対応である。ダイオキシンについては、農水省が不必要と思うほどの長年の間、原乳ではなく牛乳での検査をおこなってきたのであるから、同様な対応をとり、消費者の安心・安全を確立すべきと考える。」と、原乳(生乳)だけでなく牛乳についても、放射能検査とデータを公表するべきであると主張していたので、今回の日本乳業協会の対応は当然と受け止めている。

このような行政指導を受け、後手に対応するような業界団体は、構成する大手乳業メーカー含めて「社会的責任」を果たしていないということになるだろう。「CSRレポート」でステークホルダーとのコミュニケーションを唱えているのなら、社会の動向に敏感でなくてはならない。
ともあれ、乳業の監督官庁が経済産業省であれば、通達という文書による行政指導をおこなわず、メーカーと調整して自主的な行動を促したではずであり、監督官庁が農林水産省であるからこそ、厚生労働省による「縦割り」的な行政指導になったと思っている。

by ecospec33 | 2012-01-18 12:45 | 〇明治粉ミルク放射能汚染  

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