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気化熱の冷却効果とガスタービン(水打ち、コージェネレーション)

電力不足の夏を乗り越えるため、気化熱の冷却効果の活用が盛んに報道されている。
屋外でミスト吹き出しての雰囲気温度低減、濡らした布を首に巻きつける体感温度低減、スーパークールビズ向けのクールテックシャツなどの吸湿速乾機能による体感低減などがある。

小池さんが環境大臣だったころから盛んに行われ始めた「水打ち」イベントは、気温を2℃下げる効果があるという。涼を得たという見た目もあるのだろうが、これも気化熱による冷却効果である。
旧国鉄時代に新幹線の車両が見られた中央鉄道学園跡地に建設された「都立武蔵国分寺公園」には、風変わりな噴水がある。ミストが下から噴出して周囲が霧となる「霧の噴水」である。この中に入れば、びしょ濡れにならないで結構涼しいものである。
自然界では滝周辺が涼しいことはもちろんのこと、降雨の後に森林周辺の気温が低下するのは、葉っぱの水分蒸発による気化熱の冷却効果である。

産業用では、冷蔵庫や冷凍庫を冷却する冷凍機において冷媒の凝縮熱を、水冷式の冷却塔で放熱している。この水冷式凝縮機は空冷式よりも効率的で大容量に向いている。
空冷式でも、夏場だけ水を噴射して気化熱の冷却効果で効率を上げる方法もあるが、使用する水質と周辺空気の質によっては、放熱管にダメージを与えかねないので、実施時は注意が必要である。
節電に合わせた報道で紹介されても良いと思うのだが、換気装置のトップメーカーである鎌倉製作所には、気化熱の冷却効果を利用した涼風装置がある。

コージェネレーションで発電割合が大きいガスエンジンに押され気味なガスタービンは、一番使用したい夏場に発電出力が低下する。気温が30℃まで上がると、約一割出力が低下する。
このため、吸気する空気を井戸水で冷却するなどの工夫をするのだが、低温の用水が得られない工場があったので、この気化熱の冷却効果を試みた。砂漠などでは良く活用されている技術なのだが、高温多湿な日本では無理と思われていたが、東京ガスの若手技術者と技術開発をおこなった。
大きな投資が不要な気化熱冷却の成果は、2003年5月の月刊誌「省エネルギー」に掲載された。その数ヵ月後、この技術を適用したいとの連絡が旭化成の姫路工場からあった。

ともあれ、節電対策として、気化熱はまだまだ活用出来るに違いない。

by ecospec33 | 2011-06-27 09:31 | ●エネルギー問題  

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