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ポスト京都に暗雲(京都議定書、不平等条約、気候変動枠組条約、地球温暖化対策)

6月6日~17日に、ドイツのボンで開催された気候変動枠組み条約の特別作業部会で、ポスト京都(2013年以降の温室効果ガス削減義務など新たな枠組み)に向けた温暖化交渉に進展が見られなかった。
また、環境保護団体「気候行動ネットワーク」が、日本を地球温暖化交渉で後ろ向きな発言をした国として、「化石賞」に選んだという。この受賞理由は、「京都議定書に基づく新たな削減義務をいかなる条件でも拒否する。」との従来の立場をあらためて表明したことだそうである。なお、前回の受賞理由は「発展途上国への原発輸出で先進国が温暖化ガスの排出枠を得られる仕組みを改めて提唱した。」ことだそうだ。

そもそも、「京都議定書」自体が、ヨーロッパ諸国に有利な基準年の設定、米国の脱会しかりで、日本にとって「不平等条約」と考えられること、また最大排出国である中国の傲慢姿勢を考えれば、日本が2013年以降に「京都議定書」の延長を拒否する姿勢を貫くのは、当然の主張と考えている。
1997年当時、京都会議で開催された第3回締約国会議(COP3)と採択された「京都議定書」の内容に関心を持っていた人は少なかったように思う。
この会議が開催された直後に、私は本社に全工場の担当者を集合させた。
各工場でCO2排出量を算出させて会議に臨ませたのであるが、肝心の上司の役員は、この会議の意義をまったく理解せず、従来からの「省資源・省エネルギー会議」の延長としか捉えていなかった。

環境団体からの不満は、日本国民の民意を反映できない、政治家と官僚とのせめぎ合で集約される、日本政府の一貫性に乏しい不連続な対応にあるのではないかと思っている。
そこで、過去を振り返ってみたい。
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2007年 5月 安倍首相「美しい星50(Cool Earth 50)」国際交流会議「アジアの未来」
2007年12月 ポーランドのポズナンで「第16回締約会議(COP16)」
2008年 1月 福田首相「クールアース推進構想」世界経済フォーラム年次総会
2008年 6月 福田首相「福田ビジョン」
2008年 7月 第34回主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)
2009年 6月 麻生首相「未来を救った世代になろう」
2009年 9月 鳩山首相「鳩山イニシアチブ」国連気候変動首脳会合
2009年12月 デンマークのコペンハーゲンで「第15回締約会議(COP15)」
2011年 5月 菅直人首相「OECD設立50周年式典演説」
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自民党政権では、徐々に「京都議定書」の束縛からの脱却を目指していたかに思うし、またある程度は民意を反映させる努力を取っていたように思うが、民主党政権になってからは、首相個人のパフォーマンスに終止しているように感じる。特に鳩山前首相は尋常ではない。
ともあれ、段階的な脱原発という民意を反映させつつ、2008年~2012年の「京都議定書」第一約束期間における温室効果ガス排出削減を条約通りクリアすることによって、次のステップを踏み出すことが、日本の国際的な信用を取り戻すための必要な手段と考える。

by ecospec33 | 2011-06-20 12:31 | ●地球温暖化問題  

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