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海水注入中断事件から企業倫理と企業風土を考える

東京理科大学では、環境に関する「装置工学概論」という講座を持っていたが、「企業倫理と技術者倫理」を「法令順守(遵守)」とともに説明した。
その中で、東京電力の不祥事問題を挙げていたが、3年目までの話と、それ以降の話は全く異なったものとなった。
その違いは、次の東京電力のホームページ抜粋から、理解してもらえると思う。

企業倫理・法令遵守の取り組み:http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/trust/index-j.html
『皆さまからの信頼に応えられるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。私ども東京電力は、平成14年8月の原子力不祥事以降、信頼回復のため「しない風土」と「させない仕組み」のもとで、グループの総力をあげて企業倫理や法令の遵守、安全・品質管理、情報公開による透明性の確保に全力で取り組んでまいりました。しかしながら、平成18年11月以降、当社発電設備においてデータ改ざんや手続き不備等の不適切な事案が明らかになり、再び立地地域の皆さまやお客さまの信頼を大きく損なうことになりました。こうした事態を踏まえ、当社は再発防止対策として、これまで取り組んできた「しない風土」と「させない仕組み」を充実・徹底させるとともに、「言い出す仕組み」を構築することといたしました。』

野党が政争化させている福島第1原発1号機の海水注入中断は虚偽であったか、どうかなど、その真相を解明することは難しいことと思うが、昨日、枝野官房長官が「福島第一原発の敷地内で事故直後に実施した放射線のモニタリング(監視)について、一部公開していないデータがあった。」と発表した。
今になってと誰もが思うだろう。細野豪志首相補佐官も「当初であれば混乱があったことは理解できるが、2カ月半たっている。タイミングが遅い。」と話している。
東京電力は社内の仕組みを変えたとしているが、「虚偽」と「隠蔽」の体質、風土は容易に変わらない。

食品会社では製品の品質クレームを減少させる体制を整えてきたと思うが、経営トップにクレームが伝わらないように、また営業部門に迷惑をかけないように、生産工場段階で、また本社の生産部門段階で、そのクレームを社内で最少に収めることが業務と考えている従業員が多いように思う。
クレームを社内の大クレームにさせない工場長、また生産部長は能力評価が高く、人事査定評価が高いという不文律が出来上がっているために、従業員は、それを目指すことになる。
クレームを減少させるという体制を整えても、「虚偽」、「隠蔽」の体質、風土はなくならないのである。

東京電力の二度あることは三度あると同様に、すべての企業で起こりうる問題と思って良いだろう。
株主総会が近い。企業の風土づくりは、人事に起因すると思って良い。
従業員は人事異動の適正さ、公正さを見て行動するものである。

by ecospec33 | 2011-05-28 09:21 | 〇企業倫理と企業風土  

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