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「CSRレポート」への転換(環境報告書、サステナビリティレポート、ガイドライン、GRI)

ここ数年で、どこの大手食品会社も「CSRレポート」を発行するようになった。
環境への取組の説明責任を果たし、社会から信頼を得る一手段である「環境報告書」を他社より早く発行していこうという競争意欲をかきたてた時期が2000年前後であり、「環境報告書」から「社会・環境報告書」、さらに「CSRレポート」へと転換した時期が、私が編集を担当していた2004年~2008年の5年間であったと思う。
企業の社会的責任であるCSR(Corporate Social Responsibility)については、2004年に経団連が「企業の社会的責任推進にあたっての基本的考え方 」を公表してから、各企業はCSRの部署を新たに組織し、または組織横断的なチームを結成したこともあり、「CSRレポート」への転換が促されたのである。

2003年に環境省は「環境報告書ガイドライン」を策定し、報告内容の標準化が図られたが、国際的な動きはもっと早く、国連環境計画(UNEP)の公認協力機関であるGRI(Global Reporting Initiative Guideline)は、2000年にCSRに関するレポートのガイドラインを策定している。
キリングループは環境省のガイドラインの策定にも関与していたが、早くからGRIに則した「CSRレポート」への転換を図り、食品会社にとって模範とすべき報告書であった。
私は部下に対し、キリングループの「経済面、社会面及び環境面のトリプルボトムライン」を参考とするよう指導していたので、おのずと環境から幅の広いCSRへと転換していき、その報告内容にあった「CSRレポート」へと表題も改めていった。
余談であるが、私は東京理科大学で環境に関する「装置工学概論」を6年間講義していたが、毎年キリングループの「CSRレポート」を教材として利用させてもらった。

環境対策を専任していた担当者は、この「CSRレポート」時代に反発している部分もある。
昨年末のエコプロダクト展で、大手乳業メーカーの知人に「CSRレポート」一冊をお願いしたところ、「乳業と製菓を一緒にまとめたこともあるが、昔ほど内容は面白くないよ。」と言いながら手渡してくれた。知人が言うとおり、環境対策のページが約3分の1に圧縮されて、環境対策の実態が掴みにくくなくなったため、参考とならないのである。このため、「CSRレポート」の他に、環境だけを取り出した冊子を発行する大手企業もある。

ヨーロッパの企業では、業績などの「Annual report(年次報告書)」と、CSRに関連した「Sustainability Report(持続性報告書)」を発行するのが常識のようだが、米国の企業は、私が知る限りでは発行していなかった。
キリングループは、2010年版からレポートの名称を「CSRレポート」から「サステナビリティレポート」に変更した。これも大手食品企業の世界戦略の一環だろうか。

by ecospec33 | 2011-04-23 10:36 | ●CSRと環境対策  

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