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自然エネルギー導入について (バイオマス利活用、グリーン電力証書、日本自然エネルギー、柏木孝夫教授)

勤務していた会社で新工場を数年前に建設した際に、環境良好性をアピールする必要があることから、太陽光、風力、水力という自然エネルギーの導入を推進した。
新工場は海に面した埠頭に立地していることから、大規模な風力発電を設置したいという会長の強い要望もあったが、風況から風力発電に適していない気象条件であること、また採算性がないことなどを理由に、小型のものを導入した。その他の自然エネルギーも、数か所の照明に利用できる程度の小さなものであったが、地域の子供たちへの環境教育と他社への波及効果を狙って導入を推進した。

一方、この新工場の建設が開始されると同時に、グリーン電力証書を発行する日本自然エネルギーと交渉を重ねた。
日本自然エネルギーは、東京電力の関係会社で、担当者の中には原子力発電所と火力発電所を経験した人物もいた。彼らと協議して乳業工場に関連したグリーン電力を獲得することを企画し、北海道に出向き、乳牛の糞尿を発酵して得たメタンを燃料として発電している酪農家に、その電力の環境付加価値を売却してくれるよう交渉した。
これら酪農家のバイオマス設備は、そのほとんどが国、北海道、町などの補助金で建設されており、酪農家が独自で建設しても経済性を追求できるものではない。
北海道庁の研究案件ということで無駄足だったところもあったが、新工場の建設と同時に、数軒の酪農家のグリーン電力証書を得ることができた。
ただし、このグリーン電力は、新工場の使用電力量の5%程度にしか相当しなかった。

また、この新工場の建設が開始される前から、乳業工場のバイオマスの利活用の検討も開始していた。これについては、10年ほど前のゴルフ帰りに、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長の東工大柏木孝夫教授から、食品企業なのだからバイオマスに取り組くよう勧められたことが契機となっている。
市乳工場の回収液を利用したメタン発酵のテストをクボタさんの協力で進め、また抽出後のコーヒー粕から熱回収するボイラーのテストをタカハシキカンさんの協力で進めていた。
最終的には、東京ガスの子会社であるエネルギーアドバンス(ENAC)さんの技術支援を得て、NEDOとの共同研究案件として、新工場で計画を実行に移すことができた。
この生産工程へ送気する蒸気を得るバイオマス利活用は、新工場で使用燃料エネルギーの50%以上を削減することができた。

新しいことを進めるには社内に様々な障害があり、自然エネルギーの導入も容易ではないし、その効果も大きいとは言えない。しかしながら、原発事故の今の時期にこそ、企業も率先して取り組まなくてはならない案件であることを認識すべきと思う。

by ecospec33 | 2011-04-21 14:14 | ●エネルギー問題  

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