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「大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応」への反応(サステナビリティー、SDGs、ESG、CSV、KGI、KPI)

2019年11月4日にトランプ大統領は「パリ協定」からの離脱を国連に正式に通告した。大国としての責務から逃れることにより、大国としての権威の失墜につながる暴挙と言える。これに対し、小泉環境大臣も呆れているようで、翻意を促せないと発言している。ごもっともなことだ。

かって用水削減の方法を聞いてきた現役の知人に「大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応」をPDFで送付したところ、「KPIの数値目標を求められており、頭が痛い。」と連絡があった。

事業の長期的な目標を表す尺度の「KGI」(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)に対する「KPI」(KeyPerformance Indicator:重要業績評価指標)であるが、海外のグローバルな大手食品企業を調査したところ、この「KGI」には「水」への対策が必ず入っている。これに対し、国内の大手食品企業は、この意識が非常に乏しく、目標にすら掲げていないのが現実である。

国内にあっては、災害などにより地域社会が、また、驚くことだが羽田空港が断水すると、「水」が「電気」以上に、生活になくてはならないものとして、大きく取り上げられるが、一時的なものに終わる。一方、海外の企業はグローバルに事業活動していることから、グローバルな視点で「水」を扱っているということである。

天皇が「水」に注目されていると同様に、国内にあっても、食品企業の経営者にも、そういう意識が欲しいものである。


# by ecospec33 | 2019-11-07 09:36 | ●CSRと環境対策  

大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応Ⅸ(サステナビリティー、SDGs、ESG、CSV:共有価値の創造)

<別紙1>食品企業(ビール製造業/乳業)の「CSR全般」の評価と項目の比較表
大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応Ⅸ(サステナビリティー、SDGs、ESG、CSV:共有価値の創造) _e0223735_12191718.jpg
<別紙2>食品企業(ビール製造業/乳業)の「環境」の評価と項目の比較表
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# by ecospec33 | 2019-11-06 12:25 | ●CSRと環境対策  

大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応Ⅷ(サステナビリティー、SDGs、ESG、CSV:共有価値の創造)

5.まとめ

東洋経済の『CSR企業総覧』、『CSR企業白書』から、そのCSR評価について検証を試みた。大手食品企業の評価ポイントは僅差となっているが、企業間を詳細に比較する査定をおこなった結果、大きな差があることが判明した。

CSR関連のWebサイトの内容を精査した結果、大手食品企業のそのページ数は売上高に深く関連しており、それぞれの企業に多くの課題があることが明らかとなった。

日経BP社『環境ブランド調査』の結果から、大手食品企業の社会的評価とCSR関連Webの情報開示量とは強い相関がみられた。

経営戦略をCSRからCSVへ、また環境マネジメントをISO14001外部審査認証から自己適合宣言へ転換している状況を示した。

あとがき

かって、著者は自社工場についてISO14001認証取得を進めたが、高額な維持経費の点から関係会社の工場について手をこまねいていた。キリンビールの研究所がエコアクション21(EA21)の認証を登録したことをWeb上で知って、先進的な食品企業もEA21で対応していることを理由にして、これを実行に移した。

このEA21認証登録状況を「社会・環境報告書」に記載したところ、その次年度に同業他社が「環境報告書」に記載した。その担当部署の長が、「参考にさせてもらった。次の一手はどうする。」と聞いてきたので、「経費の点からも、本社のISO認証取得によるマルチサイト化だ。」と答えた。その後は自社も他社もその通りに進めることになった。また別の他社の担当者からは、「CSRレポートに変えましたね。参考にさせてもらいました。」と丁寧に挨拶頂いたこともあった。

競合する他社とは競争しながらも協調し合い、切磋琢磨しながら環境およびCSRの対応を進めてきたし、それは現在も変わらないはずである。

今回、東洋経済の「CSR企業総覧」、CSR関連のWebサイトから、それらの企業を見直したところ、GRIスタンダードの準拠およびSDGsを組み込みなど、大きな進展も見られたが、変化していないと感じることもあった。

例えば、関係会社に対する統治力が依然と弱いこと、かって他企業を参考にした項目を記載続けているにもかかわらず、本家の企業にはその記載がないこと、グローバルな視野が不足していること、社会的に大問題となった事件を引きずった状態が続いていること、マスコミで取り上げられた事故、事件の情報さえも開示していないことなどである。

これも、それも、企業の体質と風土は一朝一夕には変わらないということかも知れない。

著者は企業で勤めるかたわら、東京理科大学で2003年から6年間教鞭をとっていた。毎年、「環境報告書」または「CSRレポート」を、大手企業4社から120冊送ってもらい、これを工業化学科3年の学生に配布し、「装置工学」講座の教材とさせてもらっていた。

東京電力の現社長である小早川智明氏が営業で何度か来社を受けるなど、東京ガスさんと東京ガスさんとは様々な場面でお付き合いがあり、その報告書をエネルギー、地球温暖化問題の教材として、JFEさんとは早大大学院の同期で、還元剤として廃プラスチックの高炉投入を推進した研究所部長(現東北大学名誉教授の有山達郎氏)に照会してもらい、その報告書を重工業における環境対策の教材とした。またキリンビールさんとは当時の環境部長が学科は異なるが大学の2年先輩で、よく相談にのってくれていたこともあり、その報告書は本業である食品企業からの選択であった。その内容がアサヒ、サントリーとそれと比較して、広告色が薄く、先進的であり、かつ教科書といえるほど教材として優れていたからである。

当時、ビール三社には数多くの工場を見せてもらい、自社工場の冷凍設備や用排水処理の新増設および新工場の建設の参考にもさせてもらった。アサヒビールさんは「ノンフロン工場」など、当時としては、やり過ぎではないかと思うほどの華々しい環境対策を旭興一専務が率先して講じていたが、その報告書は企業内の楽しさを売りにしたような印象だった。今ではこれを理路整然としたものに作り変えている。また、サントリーさんは環境関連の用語解説集をWeb上で掲載するほど、環境対策に力を入れていた。現在は「天然水」を売りにして環境性と高品質を高らかに広報し続けている。そのホームページには『ビール・発泡酒の仕込の水として使用している「天然水」は、深井戸から採る良質な天然水です。』とある。深井戸、浅井戸に違いがあることは承知しているが、その井戸水を「天然水」と称してCM放送するうまさと、その発信力が際立っている。ただし、ピンチテクノロジーによる用水削減、食品業界で最大級の太陽光発電の設置、PETボトルのダイレクトリサイクルなどの環境対策を実質的に講じている。一方、キリンさんは観念的と言えなくもないが、先進的で論理的な攻めの経営姿勢は変わっていないように思う。

どの時代でも、環境対策、CSR(狭義・広義)、ESG、SDGs、サステナビリティ、CSVであろうが、社会の動向と制約を素早く捉え、実質的な活動を行うことによって企業価値を高め、企業ブランドと社会的イメージを上げるべく、真摯に情報公開することが肝要である。


# by ecospec33 | 2019-11-06 10:39 | ●CSRと環境対策  

大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応Ⅶ(サステナビリティー、SDGs、ESG、CSV:共有価値の創造)

4.先進的な対応

4.1 「CSR:社会的責任」から「CSV:共通価値の創造」へ

2003年は、「日本のCSR経営元年」と言われており、ソニー、パナソニック、東芝などグローバル企業が先行してCSR専門部署を組織し、CSRレポートを作成した。食品企業では、2004年にアサヒが、2005年にキリン、サントリー、味の素が続いた。

2011年には、マイケル・ポーターらが「CSV(CreatingShared Value:共通価値の創造):経済的価値と社会的価値を同時実現する共通価値の戦略」を提唱した。企業の倫理的な社会的責任を求める「CSR」とは異なり、「CSV」は企業の利益追求するという本来の目的の中で、自社の強みを生かして社会的課題の解決を目指し、社会的価値の創造を図っていく戦略という。

CSV経営の代表格として、国際的な大手食品企業であるネスレとユニリーバが紹介されるが、国内ではキリンHDと味の素HDが、この概念で経営を進めている。

グローバルな意識を醸成するために、参考として「世界の食品企業ランキング」を右図に示す。

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キリンHDは2019年2月に公表した「長期経営構想」の中で、『・・・キリングループを取り巻く環境は、先行きの見通しがますます困難になってきており、国内外で経営に影響を及ぼす様々な社会課題が顕在化してきています。このような中、持続的な成長を実現するには、CSV経営の深化により社会的価値と経済的価値を創出し、社会と共に歩んでいくことが不可欠です。こうした認識のもと、キリングループは、2027年までに「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを目指す・・・・・。』と述べている。

また、味の素HDは「非財務(ESG)」Webサイトの中で、『味の素グループは、事業を通じた社会的課題解決に取り組み、社会・地域と共有する価値を創出することで経済価値を向上し、成長につなげてきました。この取り組みをASV(Ajinomoto Group Shared Value)と称し、これを進化させていくことが「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」の実現につながると考えています。』と述べている。

また、アサヒグループHDは「サステナビリティ」Webサイトに、「アサヒの強みを活かした価値創造」を掲げ、『企業が持続可能な事業を営むためには、企業を取り巻く環境が抱えている問題を解決しながら、事業を進めていくことが不可欠です。現在、世界人口の増加による食糧不足や栄養・健康問題など、世界には食に関わる様々な問題が存在しています。アサヒグループは自らの事業で培った強みやノウハウを活用して、これらの課題解決に貢献できると考えています。』と、「CSV」の概念を取り込んでいる。

ともあれ、前述したとおり、キリン、味の素ともに「CSR」を先進的に進めてきたが、その舵を「CSV」へ転じた意味は大きいと考えるべきである。

4.2 ISO14001外部審査認証から自己適合宣言へ

2017年に、キリンHD内の主要企業であるキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンの3社について、15年近く維持してきたISO14001外部審査による認証から自己適合宣言に変更した。

著者は、企業においてこの環境マネジメントの管理を長年担当し、本社の頂点としたマルチサイト化を進め、企業内の内部監査員制度を作るなど、その維持経費の削減を進め、また外部審査員の能力不足を感じたことから、審査会社を変更するといった改革も進めた。しかしながら、それでも認証維持に多大な労力と経費を要しており、その効果は大きくないと考えていた。

ステークホルダーとの関連があるから、また世間体があるからと、関係会社についてもEA21(エコアクション21)からISO14001認証取得に変更する企業もあるようだが、先進的なキリンのこの動静を受けて、これまで外部審査によるISO14001認証維持とその範囲を拡大させてきた、全ての食品企業について環境マネジメントシステムを再考する時期にある。


# by ecospec33 | 2019-11-06 10:24 | ●CSRと環境対策  

大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応Ⅵ(サステナビリティー、SDGs、ESG、CSV)

2.5 CSR関連Webサイトに求められるもの

あるブランド評価会社が2017年に、「CSR・環境への取り組み」のWebサイトについて、良かった点をアンケート調査している。その複数回答の結果は、「活動内容が分かりやすい」(37.6%)、「方針が明確である」(29.3%)、「内容が充実している」(27.7%)、「情報が探しやすい」(24.%)、「活動の意義が分かりやすい」(23.9%)、「内容に興味が持てる」(23.5%)であった。この結果について、『活動方針をきちんと伝えるとともに、各活動が方針のもとに実施されていることを伝えることが重要』と説明している。

これは、各企業自らが、これらの視点からWebサイトを見直しが必要であることを意味する。

3.社会的な評価

日経BP社は『環境ブランド調査』を毎年実施している。各企業の環境に関する活動が一般消費者にどう伝わっているかについてインターネットを利用してアンケート調査し、その結果を集計・分析しており、2019年で20回目という。

評価方法は『企業ブランドの形成に強く影響する4つの指標、環境情報に触れた度合いである「環境情報接触度」、環境報告書や各種メディアなど環境情報の入手先を集計した「環境コミュニケーション指標」、環境面で当てはまると思うイメージについて集計した「環境イメージ指標」、環境活動への評価度合いを集計した「環境評価指標」、これを総合した「環境ブランド指数」を主要指標とする。』としている。

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全業界の総合ランキングでは、食品企業が毎年上位20社中に6~8社が、また上位100社中に24~27社が占めている。これは、他の業界に比べても高い評価である。当然のように、取り扱う食品自体が環境に優しくないはずはないと確信のもとで、その企業ブランドも環境イメージが高いに違いないという社会的な評価であり、もともと業態の全く異なる全業界でのランキング付けには無理があるのだろう。

右図のとおり、食品業界の評価ではサントリーが他を大きく引き離しての1位であり、全業界の総合評価は3年続けて1位という。キリン、アサヒビール、アサヒ飲料、日本コカ・コーラ、サッポロビール、と5位まで続き、その下位グループの大手食品企業に大きな順位の変動はない。

この環境ブランド指数に対する、「CSR」関連のWebサイトのページ数、また東洋経済の「CSR企業ランキング」の「環境」評価ポイントとの関係を、右図に示す。

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図に示すとおり、環境ブランド指数はWebサイトのページ数と強い関連性が見られたが、「環境」評価ポイントとは強い関係は見られなかった。これは、Webでの情報開示量が多い企業は環境ブランドが高いことを示している。

サントリーHDによる「天然水」のCMテレビ放送のように、CMの露出時間の方が消費者の環境ブランド形成に直接的に貢献していると思うが、そこはWebサイトに多くの情報開示出来るという、企業の基礎力が関連している。

また、サステナ㈱は、ESG/CSR活動に積極的に取り組む企業を、AIによっってESG評価と財務評価し、「ESG経営先進企業」として、「SUSTAINA ESG AWARDS2018」を表彰しており、ここでも、食品企業として、味の素、サントリーHD、、アサヒグループHDを選定している。

食品企業の上位は変わらないという結果である。下位の大手食品企業はこれらの企業の対応を参考とすべきである。


# by ecospec33 | 2019-11-06 10:19 | ●CSRと環境対策