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業界団体VS市民団体(容器包装、リサイクル推進、牛乳パック、飲料用紙パック、回収率、資源回収)

ここ数日、早朝の寝覚めが悪い。コロナの感染が全国で急拡大しているためではない。

その最大の理由は後述するとして、この4月1日で、小生が数年間、10年ほど前まで関与していた環境改善を推進する業界団体と、その活動に協力している市民団体が連携・協力・協働の関係を解消したという。

市民団体が一方的に解消を宣言し、関係者にその文書を配布したと聞いている。業界団体が三行半を突き付けられた格好だが、数年前から飲料用紙パックの回収率(リサイクル率)が減少していたため、それに対する双方の思惑が変化し、かい離しつつあったことから、業界団体も数年前から連携の解消を検討していたそうである。

創業家の2代目であり、上から目線のプライドが高い代表の資質を考えれば、このようなやり方をするだろうと思ったが、まるで喧嘩別れの様相だ。


その発端を市民団体のHPに見出すことが出来た。

2020年12月25日発の「通信」(http://www.packren.org/pdf/no115.pdf)には、『・・・(連携して進めてていたはずの啓発DVD製作の)企画の提案に、(業界団体)からは「条件付き承認」という2002年に連携関係を築いて以来の失礼極まりのない対応を取られました。編集途中においても、いっそ連携事業とせずに(市民団体)独自で発行しょうと思ったことさえありました。・・・』と、業界団体を中傷するような刺激的な文面がさらに続く。内部事情を知る小生にとっては、こんな“内輪もめ”を公表するのか、社会性のかけらも全く感じられないと、驚くばかりである。

ただし、業界団体が市民団体によって、このように批判されたとしても、それはCOP(気候変動枠組条約締結国会議)において、日本国が環境NGOやNPOから批判され、化石賞を恥ずかしくも受賞することは意味合いとインパクトが大いに異なる。業界団体が資金と労力を提供し、市民団体が労力を割いて協力しているのであって、いわばBtoBBusiness to Business)の関係にあり、市民団体は上記の地球温暖化防止を担う環境NPOに匹敵しないことは明らかだし、逆に、市民団体の品格が問われかねない。

この事態を喧嘩別れと見るならば、双方どちらとも理由があるはずだ。

業界団体にはその団体内のルールがあり、それに沿って市民団体に理解を求めたと思うが、それまでの過去の連携事業では市民団体のみが突っ走ったとしても、業界団体はルールを度外視しても資金と労力を提供してきた経緯がある。これに対し、このコロナ禍にあって、対面での啓発活動ができない市民団体が提案した“我が優秀なる企画”を、連携携事業として従来通りの素直さと素早さで承認してくれないと一方的に判断して、業界団体に対し不信感と不満が満ち溢れたことは容易に想像できる。

この事態に至った要因の一つには、市民団体の顧問となっている業界団体に所属していたOBが、現役時代から長期に渡り、市民団体の行動を助長させてきたためと言えるだろうし、しいては仲裁すべき立場にあったかとも思う。

それにしても、端緒となった連携事業の企画なるものが、YouTubeによる情報発信を選択せずに、何故DVD製作なのかと疑問を感じる。内容は別として、DVDを配布するという方法は時代遅れなのではないだろうか。


現在、この市民団体は母娘2代、約30年間続いている。明確な“組織”という基盤がないからか、残念ながら、後継者は育っていない。

創業から年1回継続して開催していた市民団体による「全国大会」の第19回目は、2005年に大阪で開催された。その時の業界団体からの寄付金は、うちわの製作費と称して450万円であったと記憶している。その多寡は何とも言えないが、その数倍の資金を毎年提供してきた。

その翌年の2006年に山梨県甲府市で「20周年大会」が開催されたが、これが全国大会の最後であった。市民団体名には「全国」を冠しているが、20周年大会に招待された農水省のノンキャリ官僚は、『このような市民活動の衰退は、一般論として時代変化による地域社会の基盤の変化と社会のニーズの多様化にあり、また個別問題としては創業者である母親時代が築き上げた市民のネットワークが崩壊していることにある。』と語っていた。

このことは、2012年10月1日のマイブログに「市民活動団体との連携・協働に必要なもの」と題して記した。この結論は『業界団体が資金と労力を提供し、連携・協力・協働する市民団体は、その組織・収支決算・活動の公明性を高め、透明性をもって公表すること、しいてはNPO法人化を進めることが必須である。』である。

ちなみに、この市民団体において副代表と事務局長として、かって活躍した人物は代表と喧嘩別れし、同様の環境NPO法人を設立している。彼らこそが容器包装のリサイクル・ネットワークの構築に貢献した人物と思っている。ここで、喧嘩別れと断言する理由は、2007年に郡山市で開催された地域会議の席上、人前で大声で言い争いをしていたからである。


一方、業界団体については、競合する企業の個人から出来上がっている。

このために、それぞれの企業の理念と風土はぶつかりやすく、そこで育った個人も同様であり、それに個性も加われば、それ以上にぶつかることだろう。それでも、業界内のトップ企業に包容力が少しでもあれば、他企業を排除するかのような行動をとらないし、個人も同様である。

業界団体に参画する個人は数年で必ず交代する。このため業界団体の一貫性に欠ける点があるが、新たな参画者によって、新陳代謝を繰り返しながら業界団体は次世代へと継続していく。

この中で、業界団体での企業間の確執、個人間の軋轢の中で、鬱を発症し、自殺未遂を起こしたOBを身近に見ていたことからこそ、今回の事態がそのような労働災害を及ぼさないかと、夜半に思案しだすと寝覚めが悪いのである。


ここで付け加えておくが、これまで長年にわたり、業界団体が容器包装のリサイクル率(回収率)などを調査依頼していた企業が廃業した。2007年に政策科学研究所の閉所に伴い、改めて調査会社を立ち上げた真面目な社長が高年齢になったことが廃業の理由である。ベビーブーム世代が様々な舞台から降りる時が迫っているということだ。

市民団体も同様の経過をたどるのだろう。代表がコロナワクチンを優先接種する高齢者ではなくとも、取り巻きが高齢者ばかりなので時間の問題である。

このため、この事態をきっかけにして、業界団体は短期間ではなく長期間の課題を設立当初の基本から見直し、リサイクル・ルートの再構築など低迷する回収率への最適解を求めて欲しいものである。


2008年に札幌ドームで開催された「洞爺湖サミット記念環境総合展」に業界団体のみが出展した際に、業界団体の創設に関与した厚生労働省の元官僚が立ち寄ってくれた。約30年前の創設当時、彼から『市民団体はヤクザと同じであるから、業界団体は付き合わないように。つかみ金は渡せても協力金は出せない。』と、お達しがあったそうである。

彼は昼食前にたびたびある企業を訪問したという。その企業の同年代で同名の取締役は鰻屋に毎回連れて行ったという。「彼は酒好きだから、昼からジョッキのビールを飲んでいた。」と、小生はその鰻屋でうな重を頂きながらお話を伺った。

快活な印象の彼は、今回の騒動を知れば、『俺のアドバイスも聞かないで、市民団体に深入りしやがって』と、笑うに違いない。


# by ecospec33 | 2021-04-16 13:25 | 〇容器包装リサイクルの行方  

「大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応」への反応(サステナビリティー、SDGs、ESG、CSV、KGI、KPI)

2019年11月4日にトランプ大統領は「パリ協定」からの離脱を国連に正式に通告した。大国としての責務から逃れることにより、大国としての権威の失墜につながる暴挙と言える。これに対し、小泉環境大臣も呆れているようで、翻意を促せないと発言している。ごもっともなことだ。

かって用水削減の方法を聞いてきた現役の知人に「大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応」をPDFで送付したところ、「KPIの数値目標を求められており、頭が痛い。」と連絡があった。

事業の長期的な目標を表す尺度の「KGI」(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)に対する「KPI」(KeyPerformance Indicator:重要業績評価指標)であるが、海外のグローバルな大手食品企業を調査したところ、この「KGI」には「水」への対策が必ず入っている。これに対し、国内の大手食品企業は、この意識が非常に乏しく、目標にすら掲げていないのが現実である。

国内にあっては、災害などにより地域社会が、また、驚くことだが羽田空港が断水すると、「水」が「電気」以上に、生活になくてはならないものとして、大きく取り上げられるが、一時的なものに終わる。一方、海外の企業はグローバルに事業活動していることから、グローバルな視点で「水」を扱っているということである。

天皇が「水」に注目されていると同様に、国内にあっても、食品企業の経営者にも、そういう意識が欲しいものである。


# by ecospec33 | 2019-11-07 09:36 | ●CSRと環境対策  

大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応Ⅸ(サステナビリティー、SDGs、ESG、CSV:共有価値の創造)

<別紙1>食品企業(ビール製造業/乳業)の「CSR全般」の評価と項目の比較表
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<別紙2>食品企業(ビール製造業/乳業)の「環境」の評価と項目の比較表
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# by ecospec33 | 2019-11-06 12:25 | ●CSRと環境対策  

大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応Ⅷ(サステナビリティー、SDGs、ESG、CSV:共有価値の創造)

5.まとめ

東洋経済の『CSR企業総覧』、『CSR企業白書』から、そのCSR評価について検証を試みた。大手食品企業の評価ポイントは僅差となっているが、企業間を詳細に比較する査定をおこなった結果、大きな差があることが判明した。

CSR関連のWebサイトの内容を精査した結果、大手食品企業のそのページ数は売上高に深く関連しており、それぞれの企業に多くの課題があることが明らかとなった。

日経BP社『環境ブランド調査』の結果から、大手食品企業の社会的評価とCSR関連Webの情報開示量とは強い相関がみられた。

経営戦略をCSRからCSVへ、また環境マネジメントをISO14001外部審査認証から自己適合宣言へ転換している状況を示した。

あとがき

かって、著者は自社工場についてISO14001認証取得を進めたが、高額な維持経費の点から関係会社の工場について手をこまねいていた。キリンビールの研究所がエコアクション21(EA21)の認証を登録したことをWeb上で知って、先進的な食品企業もEA21で対応していることを理由にして、これを実行に移した。

このEA21認証登録状況を「社会・環境報告書」に記載したところ、その次年度に同業他社が「環境報告書」に記載した。その担当部署の長が、「参考にさせてもらった。次の一手はどうする。」と聞いてきたので、「経費の点からも、本社のISO認証取得によるマルチサイト化だ。」と答えた。その後は自社も他社もその通りに進めることになった。また別の他社の担当者からは、「CSRレポートに変えましたね。参考にさせてもらいました。」と丁寧に挨拶頂いたこともあった。

競合する他社とは競争しながらも協調し合い、切磋琢磨しながら環境およびCSRの対応を進めてきたし、それは現在も変わらないはずである。

今回、東洋経済の「CSR企業総覧」、CSR関連のWebサイトから、それらの企業を見直したところ、GRIスタンダードの準拠およびSDGsを組み込みなど、大きな進展も見られたが、変化していないと感じることもあった。

例えば、関係会社に対する統治力が依然と弱いこと、かって他企業を参考にした項目を記載続けているにもかかわらず、本家の企業にはその記載がないこと、グローバルな視野が不足していること、社会的に大問題となった事件を引きずった状態が続いていること、マスコミで取り上げられた事故、事件の情報さえも開示していないことなどである。

これも、それも、企業の体質と風土は一朝一夕には変わらないということかも知れない。

著者は企業で勤めるかたわら、東京理科大学で2003年から6年間教鞭をとっていた。毎年、「環境報告書」または「CSRレポート」を、大手企業4社から120冊送ってもらい、これを工業化学科3年の学生に配布し、「装置工学」講座の教材とさせてもらっていた。

東京電力の現社長である小早川智明氏が営業で何度か来社を受けるなど、東京ガスさんと東京ガスさんとは様々な場面でお付き合いがあり、その報告書をエネルギー、地球温暖化問題の教材として、JFEさんとは早大大学院の同期で、還元剤として廃プラスチックの高炉投入を推進した研究所部長(現東北大学名誉教授の有山達郎氏)に照会してもらい、その報告書を重工業における環境対策の教材とした。またキリンビールさんとは当時の環境部長が学科は異なるが大学の2年先輩で、よく相談にのってくれていたこともあり、その報告書は本業である食品企業からの選択であった。その内容がアサヒ、サントリーとそれと比較して、広告色が薄く、先進的であり、かつ教科書といえるほど教材として優れていたからである。

当時、ビール三社には数多くの工場を見せてもらい、自社工場の冷凍設備や用排水処理の新増設および新工場の建設の参考にもさせてもらった。アサヒビールさんは「ノンフロン工場」など、当時としては、やり過ぎではないかと思うほどの華々しい環境対策を旭興一専務が率先して講じていたが、その報告書は企業内の楽しさを売りにしたような印象だった。今ではこれを理路整然としたものに作り変えている。また、サントリーさんは環境関連の用語解説集をWeb上で掲載するほど、環境対策に力を入れていた。現在は「天然水」を売りにして環境性と高品質を高らかに広報し続けている。そのホームページには『ビール・発泡酒の仕込の水として使用している「天然水」は、深井戸から採る良質な天然水です。』とある。深井戸、浅井戸に違いがあることは承知しているが、その井戸水を「天然水」と称してCM放送するうまさと、その発信力が際立っている。ただし、ピンチテクノロジーによる用水削減、食品業界で最大級の太陽光発電の設置、PETボトルのダイレクトリサイクルなどの環境対策を実質的に講じている。一方、キリンさんは観念的と言えなくもないが、先進的で論理的な攻めの経営姿勢は変わっていないように思う。

どの時代でも、環境対策、CSR(狭義・広義)、ESG、SDGs、サステナビリティ、CSVであろうが、社会の動向と制約を素早く捉え、実質的な活動を行うことによって企業価値を高め、企業ブランドと社会的イメージを上げるべく、真摯に情報公開することが肝要である。


# by ecospec33 | 2019-11-06 10:39 | ●CSRと環境対策  

大手食品企業のCSRの第三者評価と先進的な対応Ⅶ(サステナビリティー、SDGs、ESG、CSV:共有価値の創造)

4.先進的な対応

4.1 「CSR:社会的責任」から「CSV:共通価値の創造」へ

2003年は、「日本のCSR経営元年」と言われており、ソニー、パナソニック、東芝などグローバル企業が先行してCSR専門部署を組織し、CSRレポートを作成した。食品企業では、2004年にアサヒが、2005年にキリン、サントリー、味の素が続いた。

2011年には、マイケル・ポーターらが「CSV(CreatingShared Value:共通価値の創造):経済的価値と社会的価値を同時実現する共通価値の戦略」を提唱した。企業の倫理的な社会的責任を求める「CSR」とは異なり、「CSV」は企業の利益追求するという本来の目的の中で、自社の強みを生かして社会的課題の解決を目指し、社会的価値の創造を図っていく戦略という。

CSV経営の代表格として、国際的な大手食品企業であるネスレとユニリーバが紹介されるが、国内ではキリンHDと味の素HDが、この概念で経営を進めている。

グローバルな意識を醸成するために、参考として「世界の食品企業ランキング」を右図に示す。

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キリンHDは2019年2月に公表した「長期経営構想」の中で、『・・・キリングループを取り巻く環境は、先行きの見通しがますます困難になってきており、国内外で経営に影響を及ぼす様々な社会課題が顕在化してきています。このような中、持続的な成長を実現するには、CSV経営の深化により社会的価値と経済的価値を創出し、社会と共に歩んでいくことが不可欠です。こうした認識のもと、キリングループは、2027年までに「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを目指す・・・・・。』と述べている。

また、味の素HDは「非財務(ESG)」Webサイトの中で、『味の素グループは、事業を通じた社会的課題解決に取り組み、社会・地域と共有する価値を創出することで経済価値を向上し、成長につなげてきました。この取り組みをASV(Ajinomoto Group Shared Value)と称し、これを進化させていくことが「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」の実現につながると考えています。』と述べている。

また、アサヒグループHDは「サステナビリティ」Webサイトに、「アサヒの強みを活かした価値創造」を掲げ、『企業が持続可能な事業を営むためには、企業を取り巻く環境が抱えている問題を解決しながら、事業を進めていくことが不可欠です。現在、世界人口の増加による食糧不足や栄養・健康問題など、世界には食に関わる様々な問題が存在しています。アサヒグループは自らの事業で培った強みやノウハウを活用して、これらの課題解決に貢献できると考えています。』と、「CSV」の概念を取り込んでいる。

ともあれ、前述したとおり、キリン、味の素ともに「CSR」を先進的に進めてきたが、その舵を「CSV」へ転じた意味は大きいと考えるべきである。

4.2 ISO14001外部審査認証から自己適合宣言へ

2017年に、キリンHD内の主要企業であるキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンの3社について、15年近く維持してきたISO14001外部審査による認証から自己適合宣言に変更した。

著者は、企業においてこの環境マネジメントの管理を長年担当し、本社の頂点としたマルチサイト化を進め、企業内の内部監査員制度を作るなど、その維持経費の削減を進め、また外部審査員の能力不足を感じたことから、審査会社を変更するといった改革も進めた。しかしながら、それでも認証維持に多大な労力と経費を要しており、その効果は大きくないと考えていた。

ステークホルダーとの関連があるから、また世間体があるからと、関係会社についてもEA21(エコアクション21)からISO14001認証取得に変更する企業もあるようだが、先進的なキリンのこの動静を受けて、これまで外部審査によるISO14001認証維持とその範囲を拡大させてきた、全ての食品企業について環境マネジメントシステムを再考する時期にある。


# by ecospec33 | 2019-11-06 10:24 | ●CSRと環境対策